2016年5月8日日曜日

中国高速鉄道輸出(3):なにが何でも欲しい「シンガポールとマレーシアの高速鉄道」受注

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ニューズウイーク 2016年5月16日(月)16時41分 舛友雄大(シンガポール国立大学アジア・グローバリゼーション研究所研究員)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/05/post-5095.php

何もなかった建設予定地、
中国-ラオス鉄道が描く不透明な未来
「一帯一路」構想を掲げ、雲南~ビエンチャン~バンコク~シンガポールに至る鉄道建設を狙う中国だが、その実態は……



 市の中心部から離れるにつれ、車や歩行者がより一層まばらになってきた。
 たまに商店を見かける以外は、草木や田畑が辺り一面に広がるだけ。
 幹線道路から、赤土が丸出しになっている未舗装の路地に入ると、乗っている車がガタガタと揺れた。
 こうして、ようやく目的地についた。


●建設開始の気配なし 首都ビエンチャンの郊外、中国-ラオス鉄道の起工式が行われ、最初の主要駅が建設される予定の場所(撮影:筆者、2016年2月7日)

 ラオスの首都ビエンチャンの郊外。
 ここに、東南アジアで中国が「南進」を進めている高速鉄道網の最初の主要駅が建設される予定になっている。
 大きな空き地の正面真ん中にポツンと黒い礎石が立っている。
 その表面には、ラオス語もあるが、もっと大きな中国語で「奠基(定礎)」と誇らしげに書かれている。


●主要駅の建設予定地へと続く未舗装の路地(撮影:筆者)

 ラオス建国40周年記念日にあたる2015年12月2日、両国の政治家や商人がここを訪れ、中国-ラオス鉄道の起工式を行った。
 2カ月以上過ぎた2月7日に訪れた際、ここで建設が始まる気配は全く感じられなかった。

 この空き地のすぐ側に、粗末な小屋で働く地元民がいた。
 聞いてみると、耕作や魚釣り、鶏の飼育などの手伝いをしているという。
 その中の1人、バンクさん(26)は鉄道計画について複雑な思いを持っている。
 「開発自体はいいことだが、自分たちには(工事について)何の事前通知もなかった。
 だから嬉しくはない」。
 そう言葉少なに語った。

 ただ、多くの現地人はむしろこの計画を歓迎している。
 この国には、ビエンチャンとメコン川を挟んだタイ側のノンカイとを結ぶ全長わずか3.5キロの路線があるのみで、本格的な鉄道建設は初めてだからだ。

 近くに住み、観光業を営んでいるポン・バンナシーさんもこのプロジェクトに期待を寄せる。
 「中国に行くのが便利になるし、中国製の商品がもっと手に入りやすくなる」。
 ただ、
 「僕たちは中国とラオス政府がどう合意して、何を取引したのかは知らない。
 ラオス人は怠惰で、プロジェクトの詳細について知ろうとはしない」
とも語る。

<参考記事>パクリもここまで来た仰天「ディズニーラオス」

 今回の鉄道計画は、中国の雲南省昆明からラオスのビエンチャンまでの全長427キロ。
 このうち、60%以上が高架やトンネルになり、中国で普及している旅客貨物混用の線路となる予定だ。
 最高時速が160キロで、中国側は2020年の建設完了を謳っている。
 10万人に達する労働者が必要で、そのうちの多くが中国人になると見られている。

 東南アジアでは鉄道計画が相次いでおり、中国側としては、雲南からビエンチャン~バンコク~クアラルンプール、そしてシンガポールに至る鉄道建設を狙っている。
 インドネシアの首都ジャカルタと同じジャワ島のバンドンを結ぶ高速鉄道について、先日、中国が日本を退けて受注したのは記憶に新しい。
 また、クアラルンプール~シンガポール区間についても、早ければ2017年に入札が実施される予定で、こちらも中国が日本に対して優勢な情勢だ。

 ラオスにとって、中国は最大の投資国であり、1989年から2014年まででその累計額は約54億ドルに上る。
 実際に、現在ビエンチャンで建設中のビルの大半には中国資本が入っている。
 今回の鉄道建設はラオス国内で史上最大のインフラ案件だ。
 総工費は約60億ドル
――実に、この国のGDPの半分にあたる
――で、そのうちの約42億ドルを中国が負担することになった。

 東南アジアで唯一の内陸国であるラオスは、周辺国との連結を通して経済発展を実現しようと切望してきた。
 ラオス投資計画部のある役人は、ラオス政府の負担が差し当たって10億ドルに満たないと聞き(中国のほか、ラオスの国有企業も別途負担するため)、懐疑的な見方を改めたと言う。
 鉱物を輸出するのに役立つほか、ラオス国内の農業への投資を促進することになると見込む。

 だが、ラオスでの鉄道計画は順調に進むのだろうか。
 2月にラオス政府関係者は、中国-ラオス鉄道の建設はまだ始まっていないと筆者に証言した。
 ラオスとしては、隣国タイが中国と交渉中のバンコク~ノンカイ区間の鉄道計画の建設を待っている段階だという。
 バンコクと接続されなければ、昆明~ビエンチャン区間の建設の意義が格段に低くなるからだ。
 この計画に通じている中国の鉄道関係者は2月時点で、
 「機械を持ち込み、春節後すぐには施工を始めたい」
と言っていたのだが。

 計画の推進者にとっては頭の痛い問題が3月に浮上した。
 中国とタイの間で交渉が続いていた融資条件が折り合わず、タイのプラユット暫定首相が、タイ政府の自己調達資金で、当初予定の3分の1にあたるバンコク~ナコンラチャシマだけを建設すると発表したのだ。
 そして、残るラオスとの国境があるノンカイまでの区間は無期限延期となった。

 ラオス鉄道の建設については、中国・ラオス両国は2010年に合意がついていたものの、融資条件が決まらずに宙に浮いた状態にあった。
 しかし、一旦中国が「一帯一路」構想を提唱すると、計画が動き出した。
 中国政府は「一帯一路」の具体的プロジェクトを正式には発表していないが、東南アジアでは現地政府が中国主導のプロジェクトを推進するための合言葉になっている。

<参考記事>【マニラ発】中国主導のAIIBと日本主導のADBを比べてわかること

 昨年末に起工式が行われたもう1つの理由は、ラオスの政治動向と関連しているかもしれない。
 ソムサワート・レンサワット副首相はラオスでは珍しい華人政治家で、中国語も流暢だ。
 彼は通信衛星「ラオス1号」を含め、数々のプロジェクトを中国と立ち上げ、ラオス政府の債務を増やしてきた。
 なお、この副首相は、2013年9月に北京で中国中鉄という鉄道会社の国際部門幹部と共にゴルフをしていたことが確認されている。
 今年1月には党務から離れ、5月には副首相を辞任する予定で、この鉄道計画はまさに、彼がぶち上げた「最後の打ち上げ花火」(アジア経済研究所の山田紀彦・海外研究員)と言える。
 中国側には、彼がいるうちに話をつけておこうという思惑があったのかもしれない。

 この鉄道計画は中国-ラオス関係にどのような影響を与えるのだろうか。
 今年のASEAN議長国として、ラオスが南シナ海の問題をどう扱うのかが注目されてきた。
 そんな中、4月末に中国が
 「南シナ海問題は、ASEAN全体の問題ではなく、係争が起こっている当事者のみの問題」
という点でラオスを含めた3カ国と合意したと発表し、周辺国を驚かせた。
 一方、この地域で米中が睨み合いを続ける中、アメリカのオバマ大統領が今年、米国のリーダーとしては初めてラオスを訪れる予定だ。

 人口700万足らずで、東南アジアで最も経済的に未発達な国の1つであるラオスが、米中そして周辺諸国にとって、外交戦略上の大きな舞台になろうとしている。

[筆者]
舛友雄大
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院アジア・グローバリゼーション研究所研究員。カリフォルニア大学サンディエゴ校で国際関係学修士号取得後、調査報道を得意とする中国の財新メディアで北東アジアを中心とする国際ニュースを担当し、中国語で記事を執筆。今の研究対象は中国と東南アジアとの関係、アジア太平洋地域のマクロ金融など。これまでに、『東洋経済』、『ザ・ストレイツタイムズ』、『ニッケイ・アジア・レビュー』など多数のメディアに記事を寄稿してきた。



サーチナニュース 2016-04-23 07:11
http://news.searchina.net/id/1608140?page=1

日本には負けない!
シンガポールとマレーシアの高速鉄道計画で中国が意欲

 マレーシアのナジブ首相がこのほど、シンガポールとマレーシアを結ぶ高速鉄道計画について言及し、締結が遅れている覚書は
 「2016年中にシンガポールと締結できる」と
の見方を示したことで、同高速鉄道路線に対する関心がにわかに高まっている。

 シンガポールとマレーシアの首都クアラルンプール間の約350キロを結ぶ高速鉄道計画は2013年に両国首相間で正式合意したものの、覚書が締結されないままとなっていた。
 しかし、ナジブ首相が16年中と時期を明言したことで、中国では同計画の受注に向けて意欲を示す報道が数多く見られるようになった。

 中国メディアの華声在線はこのほど、同高速鉄道計画は中国はもちろん、日本も受注を狙っていることを指摘したうえで、資金や価格競争力による受注合戦とはならないと主張する記事を掲載した。

 インドネシアの高速鉄道計画において、中国はインドネシア側の財政負担や債務保証を求めない条件を提示したことで受注につなげたとされるが、シンガポールとマレーシアを結ぶ高速鉄道計画においては「中国が資金力という武器を用いるかどうかは未知数」と主張。その理由として、まず中国はすでにインドネシア高速鉄道を受注しており、東南アジアで一定の地位を確立していることから、資金力で物事をすすめる必要性に薄いことを挙げた。

 さらに、資金力という武器は必ずしも万能ではないとしたうえで、タイ政府が高速鉄道建設にあたって中国の借款を受けないと発表したことを挙げ、
 「政局が不安定である地域においては資金と設備をまとめて提供すべきかどうか、実際の状況に応じて検討する必要があるからだ」
と論じた。

 また記事は、日本と中国がアジアの高速鉄道市場で受注を競っているのは「世界経済における日中の争いの縮図」であるとし、こうした争いにおいて価格競争は長く続くものではないと指摘し、中国は計略や協力、互恵という観点に基いて受注競争を展開すべきであると論じている。



サーチナニュース 2016-04-25 07:09
http://news.searchina.net/id/1608168?page=1

シンガポールとマレーシアの高速鉄道計画、
日本が受注競争を勝ち抜くためには

 マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画がにわかに熱を帯びてきた。
 同計画は日本、中国のみならず、韓国が受注競争に参入する意向を示しているが、中国メディアの今日頭条はこのほど、現時点で日本が有利な点と中国が有利な点の双方を紹介する記事を掲載した。

 記事は同計画において、日本が有利と考えられる点について、まずシンガポール側が新幹線に好意的な見方を示していることを挙げた。
 シンガポールは新幹線の車両や信号システムを手掛ける日本企業の豊富な経験に好感を抱いていると紹介している。

 一方記事は中国が有利な点について、マレーシア側が中国高速鉄道のコストパフォーマンスを高く評価していると説明。
 同計画における大部分の区間はマレーシア側に敷設されるため、マレーシア側はより巨額の建設費用を負担しなければならない。
 そのためマレーシアは新幹線より安く、資金の調達も容易な中国に注目していると説明した。

 また記事はマレーシアのナジブ首相も中国側に好意な態度を示した一幕を紹介。
 3月21日、中国中鉄は20億ドルを投じてクアラルンプール郊外の開発プロジェクト「大馬城」に参加すると発表したが、会見に同席していたナジブ首相は
 「高速鉄道はクアラルンプールと世界をつなぐ径路になる」
と絶賛した。

 記事が紹介している材料だけで判断するなら、現時点で日本は不利と言えるかもしれない。
 シンガポール側は日本の技術を高く評価しているが、技術的な観点でいえば中国高速鉄道を採用しても大きな問題は生じないと判断する可能性はあるだろう。
 また建設費用の多くを負担するのがマレーシア側であるという材料からも、もしマレーシアがコスト面の理由から中国高速鉄道を採用したいと主張したとき、シンガポール側には新幹線を採用するようマレーシア側の主張をひっくり返すだけの理由はないだろう。

 日本は苦戦を強いられそうだが、日本が受注競争を勝ち抜くためのポイントはシンガポールではなく、マレーシアの心をどう捉えるかにあるといえそうだ。



Record china 配信日時:2016年5月3日(火) 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/a137235.html

アジア覆い尽くす中国の鉄道ネットワーク計画、
魅力はあるが経済的負担大きい―独メディア

 2016年5月1日、独国際ラジオ放送ドイチェ・ヴェレ中国語サイトによると、
 中国が計画している昆明・シンガポール鉄道は「全アジア鉄道ネットワーク」
とも呼ばれ、中国と東南アジア各国を結ぶ巨大プロジェクトで、2020年の開通が予定されているが、その経済的負担は大きい。

 昆明・シンガポール鉄道は中央ルートと東西各ルートの3路線で構成され、完成すれば中国とシンガポール間の10都市が高速鉄道で結ばれることになり、昆明−シンガポールは10時間で移動可能となる。
 専門家は、経済効果は計り知れなく、経済的に豊かとは言えない東南アジア各国にとって大きな魅力があると話す。

 しかし、実現のためにはハードルも少なくない。
 ミャンマー政府は同プロジェクトについて14年に無期限棚上げを宣言。
 タイの軍事政権は中国からの貸し付けを断ったことで、自国で資金を負担しなければならなくなり、一部区間は7〜8月に着工する予定だが、残りの区間は今後の需要と経済情勢による。
 ベトナムは日本の技術への関心が高く、政治的にも中国に対する不信感が根強い。

 中国と東南アジア各国を結ぶ鉄道網の建設は中国の「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」構想の中心をなす存在であり、中国にとっても地域における政治的な影響力を高める重要な意味を持っている。
 しかし、
★.資金面での問題に加え、完成後も多くが赤字区間になることが予想され、
 欧州の外交専門家は「コストが経済効果を上回る可能性は高い」
と指摘している。



サーチナニュース 2016-05-28 07:55
http://news.searchina.net/id/1610811?page=1

中国高速鉄道の世界進出に、いちいち噛みつく日本 
シンガポール―マレーシア鉄道でも=中国メディア

 中国メディア・和訊網は25日、シンガポール―マレーシア高速鉄道の建設受注を目指す中国が、中国政府の省庁としてかつて存在した鉄道部の元部長自ら交渉に乗り出したことを報じるとともに、
 「日本はなおも高速鉄道において中国に噛みついている」
とする記事を掲載した。

 記事は、元鉄道部部長で、現在中国鉄路総公司の総経理を務める盛光祖氏が23日、中国鉄道代表団を引率してマレーシアを訪問、マレーシア側の要人と会談して中国側の意気込みを伝える準備を進めていると報じた。

 シンガポール―マレーシア鉄道は、計画全長約356.1キロメートル(うちマレーシア国内が326.1キロメートル)で、投資金額は745億人民元に上ると紹介。
 巨額な投資額ゆえ中国のほか日本、韓国、欧州の企業も入札に参加しており、資金不足の問題を抱えるマレーシアにとっては資金的な支援の大きさが受注先を選ぶ大事な要素の1つになっていると説明した。
 そして、低いコストと魅力的な融資プランで中国が優位性を持っているとした。

 また、現状では同鉄道の受注合戦が再び「日中対決」の様相を呈しているとの分析が出ており、日本政府や日本企業の関係者がマレーシアに対して「売り込み」を仕掛けていると伝えた。
 そのうえで、
 「これは日本が高速鉄道プロジェクトにおいて中国に噛みついてきたなかでの1例に過ぎない」
と解説。
 これまでに、受注が白紙となったメキシコ高速鉄道、中国が受注を獲得したインドネシアのジャカルタ―バンドン間高速鉄道プロジェクト、日本の新幹線システムを採用したタイの高速鉄道プロジェクトなどで日中両国が激しい戦いを繰り広げてきたことを改めて紹介した。

 技術力や安全性の高さを強みとする日本に対し、製造コストの低さ、潤沢な資金による条件のよい融資プランを掲げて売り込みをかける中国。
 世界の高速鉄道受注を巡る日中両国の争いは、今後も続くことになるだろう。
 もちろん「日本が中国に噛みつく」というのは中国側から見た印象に過ぎず、
日本が中国高速鉄道の世界輸出を妨害している訳ではない。
 最終的には誠意と熱意が、受注先の決定に大きく関わってくるはずである。

 変な記事だが、それだけ苛立っているのだろう。
 それが、なにか自分でもよくわからない不安を抱える自信のなさの現れということなのだろう。
 優位性をもっているなら堂々とすればいいのだが、それができないという苛立ちなのだろう。
 

サーチナニュース 2016-05-29 07:41
http://news.searchina.net/id/1610821?page=1

高速鉄道の輸出は技術だけではダメ
・・・「誠意も必要だ」=中国

 中国が高速鉄道の輸出を推進していることは周知のとおりだが、輸出事業は必ずしも順風満帆というわけではない。
 メキシコでは一旦は受注が決まったものの、入札過程に問題があった可能性があるとして、メキシコ政府は計画の無期限延期を決めたほか、ベネズエラでも計画はほぼ頓挫状態となっている。

 また、タイでも一時はコメと高速鉄道を「物々交換」することで合意したが、タイはその後、中国からの資金提供を受け入れず、自国の資金で一部区間を建設し、そのほかの区間は延期することを発表した。

★.中国では自国の高速鉄道技術に対して、
 「世界をリードする水準にある」
などと高らかに主張している
が、
★.輸出事業が順調ではないことに対し、
 中国共産党機関紙・人民日報はこのほど、
 「中国高速鉄道の輸出には確かな技術だけでなく、誠意も必要だ」
と論じている。

 記事は、中国高速鉄道に対して、 
「絶えず革新と発展を続けたことで、中国は高速鉄道システム全体としての知的財産権を持つに至った」
と主張し、営業速度や営業距離、さらには安全面にいたるまで世界をリードする水準にあるとの見方を示した。

 一方、中国高速鉄道の世界に向けた歩みは「順風満帆ではない」とし、世界経済の成長が鈍化するにつれ、日本や韓国、欧州の一部の国は新たな経済成長の柱として高速鉄道の輸出に力を入れ始めていると主張。
 こうした国々と市場を争ううえで、
 中国高速鉄道は技術だけでなく、
 誠意をもって相手国の政府と国民に対応する必要がある
と論じた。

 中国メディアの新浪によれば、
★.中国がベネズエラから受注し、2009年に建設が始まったベネズエラのティナコ-アナコ間の高速鉄道建設計画は現在、「ほとんど放棄された状態」だ。
 どのような理由であっても、このような状況は「誠意がある」対応とは言えないだろう。
 国同士のビジネスにおいて、自国の国益を考えるのはごく自然なことだが、
★.自国の国益を最優先するよりも相手国の利益を最大化することこそが重要ではないだろうか。

 ということは、中国の高速鉄道は「誠意なき輸出であった」と自ら認めるということなのだろうか。
 

サーチナニュース 2016-05-30 07:25
http://news.searchina.net/id/1610834?page=1

日本は強力な競争相手だ
・・・中国高速鉄道が勝ち抜くためには=中国

 中国メディアの川北在線は24日付の記事で、マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画における受注競争が、
 中国の国家戦略である高速鉄道輸出における「生きた授業」
になっていると主張する記事を掲載した。

 「生きた授業」とはどのような授業のことを指すだろう。
 これは学校教育において言えば、子どもたちが積極的に質問をすることや、子どもたちが本当に理解すること、本当にできるようになること、さらに授業に望む態度が非常に意欲的であるなどの特長があると言える。

 教育する側が努力せずとも学習する側が意欲的に能力を伸ばすことのできる「生きた授業」も存在するが、それは何と言っても競争相手との実戦だ。
 記事は今回の高速鉄道計画における受注競争が中国にとってまさに「生きた授業」になっていると説明している。

 記事は今回の受注競争には日本、ドイツ、フランスなどの強力な競争相手が存在しており、否が応でも「自分を知り、相手を知る」ことをしなければ、こうした強力なライバルに勝利することはできないという見方を示している。
 「自分を知り相手を知る」とは、競争相手に対する自らのアドバンテージを把握し、それをしっかり活かすことを意味する。
 中国のアドバンテージは「資金力、建設コスト、車両製造」
にあると記事は指摘、受注競争の過程でこれらのアドバンテージを効果的にアピールすることが大切だと説明した。

 さらに記事は
 「アドバンテージを活かすと同時にあらゆる方法を講じ、
 予測困難な様々な障害を取り除き、
 顧客を満足させるために真剣な努力を払わなければならない」
と説明。

 今回の受注競争におけるこうした取り組みが、国家戦略である高速鉄道輸出に必要な能力を中国に身に着けさせるという意味で「生きた授業」になっていると記事は見ているようだ。
 中国鉄路総公司の盛光祖総経理はこのほど、代表団を率いてマレーシアを訪問した。
 「代表団の陣容は強大」と記事は指摘しているが、これは熾烈な実戦を通じて国際競争力をさらに向上させようとする中国の真剣さが伝わる取り組みの1つと言える。

 中国商法は「いかに儲けるか」はあっても
 「いかに顧客を満足させるか」
のファクターはない。
 ここが弱みだと気がつきはじめている、ということだろう。


サーチナニュース 2016-06-01 10:33
http://news.searchina.net/id/1611084?page=1

マレーシアとシンガポールの高速鉄道、
わが国は「誠意」で受注を=中国報道

 マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画の受注競争には日本、韓国、ドイツ、フランス、そして中国などの国が参加しているが、中国メディアの高鉄網はこのほど、
 中国は「誠意」をもって
 マレーシアとシンガポールと「ウィンウィン」の関係を目指すべきだ
と主張した。

 誠意とは私利や私欲がなく、正直にそして熱心に事にあたる心を指す。
 そしてビジネスにおいて自分の誠意が相手に伝われば、それは相手の心を動かす非常に強い力となり、相手の信頼を勝ち得ることができる。
 確かに誠意には、技術の高さやコストパフォーマンスと同じほど重要な価値があると言える。

 では中国は今回の受注競争においてどのように誠意を示そうとしているだろうか。
 記事は
 「近年、シンガポールとマレーシア両国に対する中国の投資と貿易は2桁の割合で増加している」
と説明、さらに
 中国市場は大きく、両国の製品を大量に吸収できる」
と指摘。
 つまり投資と貿易によって、これまでシンガポールとマレーシア両国に利益をもたらしてきたこと、また今後ももたらす意欲と能力があるという見方を示した。

 さらに、マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道建設計画は中国のアジア横断鉄道構想、さらには一帯一路の一部分であると説明。
 もし今回中国が受注するなら、将来的に東南アジア地域全体における交通はとても便利になり、人や文化の交流は活発になり、地域経済を活性化する重要な作用をもたらすことができると説明した。

 つまり記事は、もし中国が受注するなら今回のプロジェクトがマレーシアとシンガポールにもたらす利益を超えたプラスアルファを両国に与えることができると説明、
 これが両国に対する中国の誠意である
という見方を示している。

 記事は、中国は高速鉄道受注の見返りとして、利益という形で「誠意」を示すべきだ
と主張しているが、
 日本で一般的に考えられるような「誠意」とは違っている
 ビジネスである以上は利益面の見返りは重要であり、中国ならではの利益提供の方法とも言えるが、何より重要なのは相手の立場に立つことだ。
 中国は自国の利益を重視しすぎる傾向があり、過去にはベネズエラでは高速鉄道計画が途中で頓挫するなど、とても誠意があるとはいえない対応を見せている。
 時間の経過とともに、あの威猛々だったトーンが弱気に変じてきている。
 これまでは政治を全面に出して価格のメリットだけで押し通そうとしてきたが、結果としてはそのはとんどが裏目に出てポシャってしまった。
 これからは作戦をかえてソフトムードでいくということのようである。
 でもその内容たるや、やはりゼニ勘定のようである。


サーチナニュース 2016-06-03 07:25
http://news.searchina.net/id/1611244?page=1

中国高速鉄道の発展史
・・・「外国の技術をだまし取りゆっくり消化」=中国

 中国メディアの今日頭条はこのほど、中国高速鉄道史を振り返る記事を掲載、中国が自主開発路線を変更して外国の技術を導入したことが現在の発展につながったと主張している。

 記事はまず動車組と高速鉄道の違いを説明。
 中国の「動車組」と呼ばれる鉄道は先頭車両以外にも動力をもつ車両が存在する列車、つまり動力分散方式の列車であり、そのうち時速250km以上の速度で走行する動車組が「高鉄」と呼ばれる高速鉄道であると説明した。

 記事は1990年代の初めからすでに中国は高速鉄道の自主開発に着手していたと紹介。
 スウェーデンのアドトランツ社からX2000という名称の車両を導入し、中国はそれをベースに中国初の動車組「藍箭号」を製造した。
 これは2000年の出来事だった。
 しかし藍箭号の速度は時速200kmだったため、高鉄ではなかったと記事は指摘する。

 次に中国は2000年から「中華之星」の自主開発に着手。
 2002年の試運転で時速321kmを記録したが、その後の試験で信号に故障、軸受にも問題が生じたと記事は説明した。
 中国はこの他にも先鋒号、奥星号、天梭号といった動車組を自主開発していたが、これら自主開発プロジェクトは「すべて消失した」と説明。
 この自主開発の中止には、中国市場と外国技術の交換を良しとする中国政府の意向が関係しているだろう。

 記事は市場と技術を交換する当時の中国政府の政策を「魔の手」と呼んでおり、
 中国は外国の技術をだまし取りゆっくり消化、
 その結果CRH380系と呼ばれる高鉄が存在するようになった」
と説明した。
 この魔の手により中国は高速鉄道輸出戦略において50年の歴史を持つ日本を打ち破る力を身に着けるようになったと記事は説明した。

 記事は「外国の技術をだまし取った」と表現、そのおかげで「日本を打ち破ることができるようになった」としている。
 つまり記事は当時の中国政府が用いた市場と技術を交換する政策を「魔の手」と呼びながらも、この行為を悪だとは認識していないことがわかる。

 国外の高速鉄道インフラの受注競争において、今や新幹線と争うほどになった中国高速鉄道だが、中国の高速鉄道開発は日本との歴史問題がある程度関係していると思われる。
 歴史問題の観点からいえば、中国にとって日本は悪であり、日本を打ち負かすために用いる策略は感情的に正当化されるのだろう。

 中国にとって高速鉄道というのはよっぽど嬉しい話題のようである。
 ああでもない、こうでもないと絶えることなく自画自賛している。
 ピカピカのオモチャをもらったガキのような雰囲気が伝わってくる。
 アッチコッチと引っ繰りかえして、ニタニタと顔を崩している。
 とにかく嬉しいのだろう。
 微笑ましいことである。


人民網日本語版 配信日時:2016年6月2日(木) 23時50分
http://www.recordchina.co.jp/a140266.html

ライバルはやはり日本!
マレーシアの高速鉄道めぐってし烈な競争、
中国の売りは「安全―中国メディア

 中国鉄路総公司の盛光祖社長はマレーシアのナジブ首相との会談を翌日に控えた24日、同国メディアの取材に答え、
 「安全こそ高速鉄道の基本的要求。
 中国の鉄道は絶対に安全で信頼できる」
と述べた。

 盛社長は自ら代表団を率い、23日にマレーシアの首都クアラルンプールに到着した。
 同国のナジブ首相を表敬訪問して、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ「シンガポール−マレーシア高速鉄道プロジェクト」の受注にはずみをつけたい考えだ。

 盛社長の代表団は、中国中車株式有限公司、中国交通建設株式有限公司、中国鉄建株式有限公司、中国鉄路通信信号株式有限公司、中国輸出入銀行、中国投資有限責任公司など、少なくとも6企業の責任者をともない、中国高速鉄道プロジェクト分野の設計、建造、運営、資金調達といった各方面の関連機関の関係者も含まれている。

 このプロジェクトを受注するため、中国企業は全力を傾けている。
 シンガポールとマレーシアのクアラルンプールを結ぶ高速鉄道計画で、完成して運転が始まると、これまで鉄道で6時間あまりかかっていた両地域の移動時間がわずか90分ほどに短縮されることになる。
 中国鉄路総公司はこのプロジェクトを
★.中国高速鉄道の海外進出の3つ目のシンボルとなるプロジェクト
と考えている。
★.1つ目はインドネシアのジャカルタ−バンドン高速鉄道
★.2つ目はロシアのモスクワ−カザン高速鉄道
だ。

 シンガポール−マレーシア高速鉄道への投資額は745億元(約1兆2594億円)と見込まれており、巨額の投資をめぐって各方面が激しい争奪戦を繰り広げている。
 入札には、高速鉄道プロジェクトでこれまでもたびたび競争してきた日本の企業をはじめ、韓国や欧州の企業も参加する。
 盛社長はマレーシア訪問2日目、
 「中国の鉄道技術は先進的で、
 安全で信頼でき、
 コストパフォーマンスは高く、
 建設ペースは速い。
 中国は技術や経験の優位性によってこのプロジェクトを勝ち取りたい」
と述べた。

 中国の最大のライバルはやはり日本。東南アジアの高速鉄道を研究する万里常安海外リスク研究院の黄日涵院長は、
 「日本に比べて、中国の高速鉄道技術は全面的で、比較的安い建設費にも高い競争力がある。
 こうした要因は入札にプラスだが、日本とマレーシアやシンガポールなどの東南アジア諸国との長期にわたる複雑に絡み合った国交関係を考えると、変数もいろいろあり、単に商用運転の観点だけから考えることはできない」
と分析する。

 盛社長はナジブ首相との会談前日の24日、マレーシアメディアの取材に答え、
 「安全こそ高速鉄道の基本的要求。
 中国の鉄道は絶対に安全で信頼できる。
 これは国際鉄道連合(UIC)も認めるところで、過去10年間の世界の鉄道安全状況に関するデータをみると、鉄道の乗客死傷者指数で中国は最も低い。
 この指数は低ければ低いほど安全であることを示す」
と分析した。

 ここ数年、中国鉄道事業は急速に発展し、2015年末現在、中国の鉄道営業距離数は12万1000キロメートルに達し、うち高速鉄道は1万9000キロメートルで、世界の高速鉄道営業距離数の60%以上を占め、世界一となっている。
 また、海南島の環状高速鉄道は目下世界唯一の熱帯地域にある環状高速鉄道で、気候や地質環境はいずれもシンガポール−マレーシアの高速鉄道に似ている。

(提供/人民網日本語版・編集KS)



ロイター  2016年 06月 9日 15:41 JST
http://jp.reuters.com/article/china-infrastructure-asean-idJPKCN0YU0TH?sp=true

焦点:中国の「一帯一路」構想、東南アジアでブレーキ

[昆明(中国)/ビエンチャン(ラオス) 5日 ロイター] -
 中国南西部の都市・昆明にとって、南方シンガポールまでの3000キロ(1875マイル)を高速鉄道で結ぶという中国の計画は、すでに数々の恩恵をもたらしている。
 真新しい高速列車、光り輝く駅舎や、物件ショールームに若年層が群がる不動産ブームなどだ。
 だが、東南アジアを貫いて延びる鉄道路線で、最初の国外部分となるラオスでは、まだ工事が始まってさえいない。
 東南アジア地域でも最も貧しい国の1つであるラオスにとっては、
 70億ドル(約7500億円)に達する工費の一部調達だけでも一苦労であり、
 資金面の条件についてまだ中国と合意に達していない。

 ラオスから先、鉄道路線はタイに入る予定だ。
 だがタイと中国政府の交渉も、資金面を含め難航しており、中
国にとっては頭痛の種となっている。
 また、現代版シルクロード構想「一帯一路」において、アジアを横断する経済ハイウェイの開発を進めたい中国政府が直面する問題を浮き彫りにしている。

 2013年に中国の習近平国家主席が発表した「一帯一路」計画は、アジア大陸を横断し、さらにその先の欧州に至る陸路、海路、空路のルートを築こうという野心的な計画だ。
 その狙いは、今後10年でこのルート上での貿易を2兆5000億ドル拡大することにある。
 中国の経済成長が鈍化するなかで、中国政府は自国企業に外国市場の獲得を促しているのである。

 だが、東南アジア諸国との国境を越えて同計画を進めようとする中国の野心は、最も複雑かつ恐らく最も重大な障害に向き合いつつある。
 近隣諸国が、中国からの要求が過大であり、資金面の条件も不利だと抗議しているのだ。
 東南アジア諸国は、鉄道路線のどちらか一方の側での土地開発権を求める中国の要求に抵抗している。
 中国政府は、土地開発によって利益を上げることで、残りのプロジェクトの商業的な実行可能性が高まり、より大きな先行投資を中国が約束できるようになる、と主張している。
 資金面以外では、ミャンマーが環境面での懸念を理由に同プロジェクトへの参加を2014年にキャンセルしている。

 ローウィ国際政策研究所(シドニー)のピーター・ケイ研究員は、東南アジア諸国の懸念は中国にとって、「一帯一路」計画を遂行するうえで最初の大きなハードルになりそうだと指摘する。
 中国外交部と中国輸出入銀行にコメントを求めたが、回答を得られなかった。

■<陸路の要衝>

 2013年時点では、ラオスでの計画は早期完了するという兆候があった。
 中国・ラオス双方の首脳は建設加速で合意。中国はプロジェクト資金の大半を融資する旨を申し出ていた。
 11月には、路線の終点である昆明での工事が始まった。

 総工費21億元(約340億円)を投じた昆明の高速鉄道駅は、竣工からもう何カ月も経っている。
 だが、12月には周到な準備のもとで起工式が行われたにもかかわらず、ラオス政府はまだ何の動きもない。
 外交筋によれば、中国からの本格的な支援がないため、ラオス側にはこのプロジェクトを進める資金力がないという。
 ラオスに対する影響力という点でベトナムと争っていた中国が、なぜラオス政府にとって受け入れ可能な条件を提示できなかったのか、理由は不明である
 中国・ラオス双方にとって、このプロジェクトは政治的に大きな意味を持っている。
 中国は東南アジア地域への勢力範囲の拡大と影響力強化を狙っており、ラオスは内陸国から陸路の要衝に変身したいという希望を口にしている。

 「調印式には双方からかなりの高官が顔を揃えた」とラオス首都ビエンチャン駐在の西側外交官は言う。
 「大方の予想では、総工費は70億ドルを超えると見ているが、
 ラオスはそのうち20億ドルを調達するのにも苦労している」

 この記事のためにラオス政府にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
 外交筋によれば、ラオス政府がこの件について動かないのは、中国との交渉をどのように処理するか共産党内部で対立が生じていることを反映しているという。
 ラオスの党政治局がソムサワート・レンサワット副首相を上層部の意思決定機関から排除するという衝撃的な決定を1月に下したことは、プロジェクトの条件があまりにも中国側に有利ではないかという懸念が上層部にあることを示唆していると外交筋は指摘する。

 ソムサワート氏は中国関連のプロジェクトについての交渉を主導してきた人物であり、中国寄りすぎるとの党内からの批判があった。
 ロイターの取材に対し、ソムサワート氏は「条件はラオスにとって有利だった」と語っている。
 建設が遅れているのは、ラオスがあいかわらず「些末な点を調査して」いることと、土地取得をめぐって地元からの反対があることが原因だという。

 外交筋によれば、ラオス人民共和国の建国40周年記念日である12月2日に起工式を行ったことにも、首脳部は眉をひそめたという。
 ソムサワート氏が政権中枢から排除されたことで、
 「ラオス政府内部の動きは、この鉄道プロジェクトに関する協定の再交渉に向かっている」
とある外交官は話している。

■<非現実的>

 中国はこのプロジェクトに関して少なくとも300億ドルの借款・与信枠の設定を提示している。
 北京交通大学のZhao Jian教授(交通科学)によれば、中国は利率2%─7%で譲許的借款を提供しており、他国がさらに有利な融資を望むのは「非現実的」だという。

 だが、タイのサイアム商業銀行のKamalkant Agarwal頭取によれば、この種のインフラ整備プロジェクトには補助金を与える必要があるという。
 「政府かサンタクロースが費用を出してくれるならばプロジェクトの建設も可能だ」
と同頭取は言う。
 「さもなければ、こうしたプロジェクトで採算性を確保するのは非常に難しい」

 資金調達、投資、コスト面で歩み寄りを実現できなかったタイのプラユット首相は、3月に海南で行われた中国の李克強首相との会談で、タイは独自に資金調達を行うと述べており、今のところプロジェクトの一部のみ建設している。

 今年初め、タイのアーコム運輸相はロイターの取材に対し、
 「中国にとってメリットのある戦略的経路だけに、彼らはもっと投資しなければならないだろう」
と語った。
 タイは、路線沿いの土地開発権を求める中国側の要求を拒絶している。
 「中国との交渉初日から、土地開発権については何の妥協もしないと伝えている」
と同相は述べた。

 タイ財務省筋によれば、タイははるかに低い金利で日本から資金を調達できるという。
 日本はタイにとって最大の投資家であると同時に、アジア全域にわたる影響力という点で、強引さを増している中国と張り合っている。
 それだけに、日本からの資金調達というアイデアを中国政府は警戒するだろう。
 中国との交渉に何度か出席したタイ財務当局者は、
 「財務省としては、このプロジェクトを支えるために、他のオプションに比べて高くつく借款を受けて批判されたくない」
と話している。

 他方、中国側の現地当局者の一部は、プロジェクトの遅れは東南アジア諸国の側にためらいがあるからだと見ている。
 昆明投資促進委員会で副委員長を務めるSun Xiaoqiang氏は、
 「東南アジアと直接向き合っているのは私たちだ。
 もちろん私たちも皆、各国での建設がもっと早く進むことを願っている」

■<大きなギャップ>

 中国と東南アジアのギャップは、ビエンチャンと昆明の街路を歩いてみれば何よりもはっきりする。
 ラオスでは数百社もの中国企業が事業を営んでいる。
 その1つがWang Feng Shanghai Real Estate社だ。
 同社は在ラオス中国人向けにマンションやショッピングセンターを提供する16億ドル規模の建設プロジェクトを進めている。
 だが、新規の鉄道・道路整備に向けたラオス政府による投資はほとんど見られない。

 昆明には、新たな鉄道駅周辺の地区も含め、何十億ドルもの投資が流入している。
 だが、ここも6年前には世界銀行が「ゴーストタウン」と表現した地域なのだ。

 Jinという姓だけを教えてくれた1人の教師は、
 「『一帯一路』は昆明にとっては良いプロジェクトだ」
と言う。
 「しかし(他の国々には)政治やガバナンスの点で多くの問題がある。
 中国は準備ができているが、東南アジア諸国は違う」

(Brenda Goh記者、Simon Webb記者、翻訳:エァクレーレン)



サーチナニュース 2016-06-20 07:39
http://news.searchina.net/id/1612332?page=1

マレーシア-シンガポール高速鉄道を狙う韓国、
「新幹線より・・・」=中国報道

 マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画が大きな関心を集めるなか、中国メディアの環球網はこのほど、シンガポールの華字紙の報道を引用し、日本と中国のみならず、韓国も同計画の受注を目指して代表団をマレーシアに派遣したと伝えた。

 記事は、韓国の政府関係者が14日に代表団を引き連れてマレーシアを訪れたと紹介、韓国政府が同計画を非常に重視していることを伝えつつ、
 「安全かつ高効率の高速鉄道サービスを提供できるうえ、技術移転の意向もあることをマレーシアに伝えた」
と紹介。
 さらに、韓国側は
 「運用にかかるコストを他国の65%程度の水準に抑えることができる」
と主張していることを紹介した。

 さらに韓国の関係者の話として、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画における韓国の最大の強みは「安全性」と「定時運行率」だと主張し、さらに、
 国際鉄道連合の安全指数において、韓国高速鉄道(KTX)は世界一である
と主張した。
 また、同関係者は
 「KTXの開業は新幹線より遅かったが、KTXの運用コストは新幹線より低い」
などと、新幹線を引き合いにKTXの優位を強調したことを紹介した。

 KTXはフランスの技術を導入した高速鉄道だ。
 韓国の関係者は安全指数が世界一だと胸を張ったが、これまでにたびたび脱線事故を起こしている。
 直近では5月26日に脱線事故を起こしたほか、2012年には停車駅を通過したKTX車両が逆走するという事故も起こしている。



サーチナニュース 2016-06-23 07:55
http://news.searchina.net/id/1612662?page=1

マレーシア-シンガポール高速鉄道、
中国「新幹線を採用すれば・・・」

 マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画に注目が集まるなか、中国メディアの一財網はこのほど、同高速鉄道計画には中国のほか、日本、韓国などが入札の意向を示していると伝えた。

 記事は、マレーシアの政府関係者が20日、同高速鉄道計画は「2017年にも入札が行われる見通し」と述べたことを紹介し、同関係者が中国高速鉄道は世界最先端の技術の導入に長け、安全性が高く、速度などの点で非常に先進的と評価したと伝えた。

 さらに、マレーシアの政府関係者が同計画においては
 「安全性と技術力という2つの要素のみならず、入札者が鉄道沿線の経済発展にどれだけ貢献できるかも重視する」
と述べたことを紹介。
 また、マレーシアは16年7月にもシンガポールと計画について協議を行う予定だと伝えた。

 さらに、中国鉄路副総経理の言葉として、中国は長年にわたって高速鉄道を運用しており、
 「先進的な技術のみならず、安全性と信頼性、コストパフォーマンスの高い高速鉄道を作り上げた」
と述べたことを紹介。
 一方、日本や韓国の政府関係者が相次いでマレーシアを訪問し、受注に向けて積極的なアピールを行っていることを伝え、すでに政府間でのアピール合戦が加熱していることを伝えた。

 また記事は、中国側はマレーシアに対し、中国とタイを結ぶ高速鉄道や、中国と東南アジアを結ぶ高速鉄道計画の存在を指摘したうえで
 「中国高速鉄道を採用すれば、連結という点で有利」
と働きかけていると紹介。
 さらに、新幹線を採用すれば
 「異なるシステムであることから理想の結果が得られない可能性があるとマレーシア側に伝えた」
と報じた。

 日本はインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画で受注を目前にしながらも、中国に奪い取られた苦い経験がある。
 一部報道では、シンガポール側は新幹線を高く評価しているというが、今回の建設計画では路線の大半がマレーシア側に建設されるため、マレーシア側の意見がより尊重されるとの見方もある。
 日本としてはぜひともジャワ島の雪辱を果たしたいところだ。





【2016 異態の国家:明日への展望】


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