●フランクフルト・ハーン空港
『
Record china配信日時:2016年6月29日(水) 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/a143179.html
ウェブサイトすらなし!
ドイツの空港を買収した中国企業の「異常さ」―独メディア
2016年6月28日、独フランクフルト郊外のハーン空港を買収した中国の上海益謙貿易の「異常さ」が現地メディアで報じられている。
現地メディアARDドイツテレビのウェブサイトによると、上海益謙貿易には公式ウェブサイトが存在しない。
また、ネット上には関連情報も掲載されていないという。
商業登記はされており、住所は上海市閘北区のビルの21階とされている。
同区はかつて工場や倉庫が連なった場所で、現在では住宅街に変わっている。
ARDドイツテレビの記者が訪れると、ビルの中には上海益謙貿易の事務所があることを示す看板や広告などは一切なく、事務所内の床に置かれた段ボールには生活用品が詰められていた。
事務所にいた若い女性職員は、ここは間違いなく上海益謙貿易だと証言したが、会社の運営モデルや関係者の情報については口を閉ざした。
同社の代表は現在海外にいるため、質問があれば帰国後に伝えるとだけ話したという。
このほか、同社の大株主である人物が法定代理人を務める上海国青投資管理公司についても情報がなく、中国経済界に明るいドイツの専門家もこの投資会社は聞いたことがないと話している。
こうした「異常」な状況に、ハーン空港のあるラインラント・プファルツ州の依頼を受けた国際会計事務所KPMGが上記の2社に関する調査を行ったが、結果はいずれも「信用できる」というものだった。
同州の議会ではこの報告の妥当性を検討するという。
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Record china配信日時:2016年6月29日(水) 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/a143179.html
ウェブサイトすらなし!
ドイツの空港を買収した中国企業の「異常さ」―独メディア
2016年6月28日、独フランクフルト郊外のハーン空港を買収した中国の上海益謙貿易の「異常さ」が現地メディアで報じられている。
現地メディアARDドイツテレビのウェブサイトによると、上海益謙貿易には公式ウェブサイトが存在しない。
また、ネット上には関連情報も掲載されていないという。
商業登記はされており、住所は上海市閘北区のビルの21階とされている。
同区はかつて工場や倉庫が連なった場所で、現在では住宅街に変わっている。
ARDドイツテレビの記者が訪れると、ビルの中には上海益謙貿易の事務所があることを示す看板や広告などは一切なく、事務所内の床に置かれた段ボールには生活用品が詰められていた。
事務所にいた若い女性職員は、ここは間違いなく上海益謙貿易だと証言したが、会社の運営モデルや関係者の情報については口を閉ざした。
同社の代表は現在海外にいるため、質問があれば帰国後に伝えるとだけ話したという。
このほか、同社の大株主である人物が法定代理人を務める上海国青投資管理公司についても情報がなく、中国経済界に明るいドイツの専門家もこの投資会社は聞いたことがないと話している。
こうした「異常」な状況に、ハーン空港のあるラインラント・プファルツ州の依頼を受けた国際会計事務所KPMGが上記の2社に関する調査を行ったが、結果はいずれも「信用できる」というものだった。
同州の議会ではこの報告の妥当性を検討するという。
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『
Record china 配信日時:2016年7月1日(金) 16時40分
http://www.recordchina.co.jp/a143576.html
中国の「怪しすぎる」会社のドイツ空港買収に待った、
対抗の中国2社との買収交渉は継続か―海外メディア
2016年6月30日、環球時報によると、負債を抱える独フランクフルト・ハーン空港の買収に中国企業3社が名乗りを上げ、その1つの上海企業について、「ウェブサイトも連絡手段も不明だ」と各国メディアが疑念とともに報じ話題となったが、この買収が独当局から中止を命じられた。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ハーン空港のあるラインラント=プファルツ州政府のフォルカー経済大臣は、買収側に対する信頼性に疑惑が生じたことから、同空港の売却が中止されたと明らかにした。
6月初旬、州政府は株式の82.5%を上海にあるとされる益謙貿易公司に売却することを発表したが、野党から
「この会社はウェブサイトもなければ、会社のロゴもなく、電話番号もメールアドレスも不明だ」
と反対に遭い、計画は頓挫となった。
独国際ラジオ放送ドイチェ・ヴェレもこの事案について報じたが、内容はやや異なる。
州ドイツ政府は7月に予定していた同空港の売却を延期したが、益謙貿易公司以外の2社との間では協議を継続する計画だと伝えている。
フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングによると、益謙貿易公司以外の2社は、海南航空の親会社である海航集団(HNAグループ)と国有企業の河南民航発展投資有限公司(HNCA)。国際会計事務所・KPMGは州政府から依頼を受け、この2社を調査。
その結果、2社の信頼性が確認された。
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Record china 配信日時:2016年7月1日(金) 16時40分
http://www.recordchina.co.jp/a143576.html
中国の「怪しすぎる」会社のドイツ空港買収に待った、
対抗の中国2社との買収交渉は継続か―海外メディア
2016年6月30日、環球時報によると、負債を抱える独フランクフルト・ハーン空港の買収に中国企業3社が名乗りを上げ、その1つの上海企業について、「ウェブサイトも連絡手段も不明だ」と各国メディアが疑念とともに報じ話題となったが、この買収が独当局から中止を命じられた。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ハーン空港のあるラインラント=プファルツ州政府のフォルカー経済大臣は、買収側に対する信頼性に疑惑が生じたことから、同空港の売却が中止されたと明らかにした。
6月初旬、州政府は株式の82.5%を上海にあるとされる益謙貿易公司に売却することを発表したが、野党から
「この会社はウェブサイトもなければ、会社のロゴもなく、電話番号もメールアドレスも不明だ」
と反対に遭い、計画は頓挫となった。
独国際ラジオ放送ドイチェ・ヴェレもこの事案について報じたが、内容はやや異なる。
州ドイツ政府は7月に予定していた同空港の売却を延期したが、益謙貿易公司以外の2社との間では協議を継続する計画だと伝えている。
フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングによると、益謙貿易公司以外の2社は、海南航空の親会社である海航集団(HNAグループ)と国有企業の河南民航発展投資有限公司(HNCA)。国際会計事務所・KPMGは州政府から依頼を受け、この2社を調査。
その結果、2社の信頼性が確認された。
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現代ビジネス 2016年07月08日(金) 川口マーン惠美
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49133
ドイツの空港を「爆買い」しようとした、
中国人投資家の正体
〔PHOTO〕gettyimages
■お荷物空港売却のニュース
フランクフルト国際空港から120キロも離れたところに、もう一つ空港がある。
フランクフルト・ハーン空港。
昔、米軍が空軍基地として使っていたもので、戦闘機の発着の多さに、一時はドイツ国の航空母艦とまで言われた。
その後、東西冷戦が終わり、米軍は去った。
90年の終わりからは、アイルランドの格安航空会社ライアン・エアが利用し、あまりお金のない旅行客を運んだ。
ちなみに、ライアン・エアはヨーロッパで最大の利用客を誇る航空会社だ。
信じられないほど格安のチケットを出すからだが、その経営方針がまた凄まじい。
スーツケースは、空港ビルから飛行機までゴロゴロ自分で引きずって行かなければならないし、座席は自由席でエコノミーだけ、リクライニングはできない。
飲み物もなければ(頼む時は有料)、座席の前のポケットもテーブルもない。
たいていの空港はアクセスが悪く、したがって、基本的に乗り継ぎ客は存在しない。
つまり、遅延によって乗り継ぎが出来なかったケース、あるいは、荷物が乗り継ぎ便に乗らなかったケースの保証は生じない。
フランクフルト・ハーン空港は、このライアン・エアが使っていた不便な空港の一つだった。
空港の所有者は、95年よりラインランド−プファルツ州(82.5%)とヘッセン州(13.5%)に変わったが、経営自体はずっと赤字だったようだ。
そのうち、ライアン・エアが離れ、いくつかの貨物輸送会社も離れ、空港は深刻な経営難に陥った。
しかたなく州の税金を注ぎ込んだら、州民の抗議が始まり、まずいことに空港関係者の汚職も明るみに出た。
ラインラント・プファルツ州が、こんなお荷物は早く売り払ってしまいたいと思ったのは、ごく当然の成り行きだった。
空港売却のニュースが流れたのが今年の6月6日。
買主は中国のSYT社(Shanghai Yiqian Trading)。
本社は上海。
SYT社の全権代表のChou氏が、州の内務大臣レヴェンツ氏と大喜びで握手をしているおめでたい写真が出た。
空港の値段は1300万ユーロ。
■部屋に積み上げられた段ボール箱
Chou氏によれば、SYT社は中国でも有数のホールディングカンパニーで、多くの子会社を持つという。
資金を提供するのは、傘下のゼネコンGuo Quig社。
こちらは20万人の従業員を抱える建設会社で、アジア全体にプロジェクトを展開している。
資本金7200万ユーロ、本社はやはり上海。
Chou氏は何者かというと、それがよくわからない。
見た目は40歳ぐらいの大男で、本職は医者なのだそうだ。
フランクフルト・ハーン空港を、中国人旅行者のメッカとするとか、独中貿易に特化した空港として大開発をするとか、勇ましい限りだ。
これが実現すれば雇用も増え、地域の活性化に役立つだろう。
ただ、
「SYT社、あるいはGuo Quig社に、空港運営の経験はあるのか?」
と聞かれると、
「自分はパイロットの免許を持っており、以前、フランクフルト・ハーン空港に、最初の輸送機を操縦してここに着陸したのは自分である」と答えた(信じた人がいたかどうか・・・)。
いずれにしても、とにかく商談は進行(正式な成立は州議会の承認を待ってから)。
州によると、SYT社、およびGuo Quig社の信用度は、KPMGというコンサルティング会社が太鼓判を押しているということだった。
KPMGは確かに、世界的に有名なコンサルティング会社である。
日本にもある。
ところが、一週間も経たないうちに、どうもおかしいという話が出てきた。
第一回目の支払いがなされなかったのだ。
そこで調べると、SYT社のことを、中国では誰も知らない。
中国の商工会議所さえ知らない!
KPMGは何を調査したのだろう?
6月22日には、南西ドイツ放送(SWR)の上海特派員がSYT社の本社であるはずの場所を訪ねてみた。
しかし、ビルには会社の名前さえなく、ようやく辿り着いたのは17階の小さな部屋で、積み上げられた段ボール箱の間に5人の従業員が座っていた。
しかし、後で明らかになったところでは、彼らもSYT社の従業員ではなかった。
こうなると、SYT社はペーパーカンパニーに限りなく近いが、部屋に積み上げられた段ボール箱にちなんで、ドイツの新聞は同社を「段ボールカンパニー」と名付けた。
次に特派員は、空港の出資者であるGuo Quig社も訪ねた。
20万人の従業員を擁するというゼネコンだが、こちらはさらにいかがわしかった!
粗末な雑居ビルには、7200万ユーロの資本金を持つ企業の面影すらない。
それどころか、お隣のタイヤ会社に尋ねたところ、
「お宅も詐欺にあったの?」
という答えが返ってきたという。
■ドイツ人の琥珀商人まで現れて……
これらの報道が始まると、本国のラインラント−プファルツ州では大騒ぎになった。
内相は、議会での承認に向かって進めていた準備に、慌てて「ストップ」をかけた。
しかし、Chou氏は一向に悪びれず、
「中国政府が外国送金の許可を出すのが遅れているだけ。
許可はもうすぐ出るので、もしも、そんなにご心配なら、あとの支払い分も前倒しで払いましょう」
と言ったとか。
大風呂敷を広げる人の発想だ。
そもそも、こんな(些細な?)ことが、これほど大きなニュースになるとは思わなかったそうだ。
粗末な事務所のことを尋ねられときは、
「同じような名前の会社がたくさんあるので、混乱しているのではないか」
と答えた。
一方、不思議なのは、ドライアー州首相の態度だった。
6月末の時点でも、彼女は、あくまでも中国側を信用していると表明していた。
KPMGの調査では、支払い能力には問題がないので大丈夫というわけだ。
ところが7月4日、調査を依頼されたKPMG社が、実はいくつかの疑問点を報告していたということがわかった。
こうなると、州政府の立場は丸つぶれ。KPMGの報告が、なぜ、どこで消えてしまったのか?
そもそも、SYT社もGuo Quig社も、ダミー会社であることは間違いない。
ドイツの政治家が、医者兼パイロット(?)であるChou氏の大言壮語を本気で信じていたとも思えない。
それどころか今では、20万の従業員を抱え、アジア全土でプロジェクトを展開しているはずの大企業Guo Quig社は、実は去年の11月に初めて登録された会社だということもわかっている。
では、州のトップたちが、なぜそれでも大丈夫と言い張ったのか?
ダミー会社の後ろにはいったい誰がいるのだろう?
そうこうするうちに、おかしな話はますます増えた。
この商談において、SYT社に代わってサインをしたのが、ドイツ人の琥珀商人であることもわかった。
この琥珀商人は、レヴェンツ内相と長年親しかった人間で、しかも、Chou氏は彼のところで琥珀を仕入れたこともあるという。
わけがわからない。
7月5日、遅ればせながらも、州の内務次官が調査のために大慌てで上海に飛んだ。
SYT社の社長Wang氏、および中国政府の役人と会い、事情を聞くためだ。
現在、SYT社の事務所には、まだ会社名の看板はないが、ドアに張り紙がされ、
「用事のある人はここへ電話してください」
とWang社長のケータイの電話番号が書いてあるそうだ。
冗談みたいな話だ。
しかし、そのWang社長、自分の会社についての情報を提供するつもりはないという。
「州との契約が正式に結ばれ、動かぬものとなったなら、そのときには自社についての情報を開示する」
と主張しているらしい。
世界の常識とは、順序が逆だ。
■疑り深いドイツ人が、なぜ?
7月6日になって、数日前は「心配していない」と言っていたドライアー首相が意見を180度転換、今回の取引に対して重大な懸念を表明した。
詳細はいまだ定かではないが、州側に重大な過失があったことは確かだろう。
入札の不正も考えられる。
野党は、ドライアー氏を厳しく追及する構えだ。
Chou氏やWang氏は、単なるペテン師だったのか?
それとも、中国政府による資金規制で、現在、本当に外国送金の許可が出なかったのか?
実は、中国の投資家がドイツの空港に狙いを定めたのは、これが最初ではない。
2014年には、倒産したあとのリューベック空港を中国人投資家が買っている。
この時の大風呂敷は、「同空港を、中国からドイツへの医療ツアーの一大拠点とする」というものだった。
しかし、その翌年、空港は再び倒産した。
ふだんは疑り深いドイツ人が、
なぜ中国に対しては、こんなに無防備なのだろう?
7月7日、SYT社との取引が白紙に戻されることがほぼ決まったというニュースが流れた。
これ以後、州政府は、入札で2位、3位につけた投資家と新たに交渉を始める。
しかし、少なくともそのうちの1社は、また、中国企業である。
』
現代ビジネス 2016年07月08日(金) 川口マーン惠美
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49133
ドイツの空港を「爆買い」しようとした、
中国人投資家の正体
〔PHOTO〕gettyimages
■お荷物空港売却のニュース
フランクフルト国際空港から120キロも離れたところに、もう一つ空港がある。
フランクフルト・ハーン空港。
昔、米軍が空軍基地として使っていたもので、戦闘機の発着の多さに、一時はドイツ国の航空母艦とまで言われた。
その後、東西冷戦が終わり、米軍は去った。
90年の終わりからは、アイルランドの格安航空会社ライアン・エアが利用し、あまりお金のない旅行客を運んだ。
ちなみに、ライアン・エアはヨーロッパで最大の利用客を誇る航空会社だ。
信じられないほど格安のチケットを出すからだが、その経営方針がまた凄まじい。
スーツケースは、空港ビルから飛行機までゴロゴロ自分で引きずって行かなければならないし、座席は自由席でエコノミーだけ、リクライニングはできない。
飲み物もなければ(頼む時は有料)、座席の前のポケットもテーブルもない。
たいていの空港はアクセスが悪く、したがって、基本的に乗り継ぎ客は存在しない。
つまり、遅延によって乗り継ぎが出来なかったケース、あるいは、荷物が乗り継ぎ便に乗らなかったケースの保証は生じない。
フランクフルト・ハーン空港は、このライアン・エアが使っていた不便な空港の一つだった。
空港の所有者は、95年よりラインランド−プファルツ州(82.5%)とヘッセン州(13.5%)に変わったが、経営自体はずっと赤字だったようだ。
そのうち、ライアン・エアが離れ、いくつかの貨物輸送会社も離れ、空港は深刻な経営難に陥った。
しかたなく州の税金を注ぎ込んだら、州民の抗議が始まり、まずいことに空港関係者の汚職も明るみに出た。
ラインラント・プファルツ州が、こんなお荷物は早く売り払ってしまいたいと思ったのは、ごく当然の成り行きだった。
空港売却のニュースが流れたのが今年の6月6日。
買主は中国のSYT社(Shanghai Yiqian Trading)。
本社は上海。
SYT社の全権代表のChou氏が、州の内務大臣レヴェンツ氏と大喜びで握手をしているおめでたい写真が出た。
空港の値段は1300万ユーロ。
■部屋に積み上げられた段ボール箱
Chou氏によれば、SYT社は中国でも有数のホールディングカンパニーで、多くの子会社を持つという。
資金を提供するのは、傘下のゼネコンGuo Quig社。
こちらは20万人の従業員を抱える建設会社で、アジア全体にプロジェクトを展開している。
資本金7200万ユーロ、本社はやはり上海。
Chou氏は何者かというと、それがよくわからない。
見た目は40歳ぐらいの大男で、本職は医者なのだそうだ。
フランクフルト・ハーン空港を、中国人旅行者のメッカとするとか、独中貿易に特化した空港として大開発をするとか、勇ましい限りだ。
これが実現すれば雇用も増え、地域の活性化に役立つだろう。
ただ、
「SYT社、あるいはGuo Quig社に、空港運営の経験はあるのか?」
と聞かれると、
「自分はパイロットの免許を持っており、以前、フランクフルト・ハーン空港に、最初の輸送機を操縦してここに着陸したのは自分である」と答えた(信じた人がいたかどうか・・・)。
いずれにしても、とにかく商談は進行(正式な成立は州議会の承認を待ってから)。
州によると、SYT社、およびGuo Quig社の信用度は、KPMGというコンサルティング会社が太鼓判を押しているということだった。
KPMGは確かに、世界的に有名なコンサルティング会社である。
日本にもある。
ところが、一週間も経たないうちに、どうもおかしいという話が出てきた。
第一回目の支払いがなされなかったのだ。
そこで調べると、SYT社のことを、中国では誰も知らない。
中国の商工会議所さえ知らない!
KPMGは何を調査したのだろう?
6月22日には、南西ドイツ放送(SWR)の上海特派員がSYT社の本社であるはずの場所を訪ねてみた。
しかし、ビルには会社の名前さえなく、ようやく辿り着いたのは17階の小さな部屋で、積み上げられた段ボール箱の間に5人の従業員が座っていた。
しかし、後で明らかになったところでは、彼らもSYT社の従業員ではなかった。
こうなると、SYT社はペーパーカンパニーに限りなく近いが、部屋に積み上げられた段ボール箱にちなんで、ドイツの新聞は同社を「段ボールカンパニー」と名付けた。
次に特派員は、空港の出資者であるGuo Quig社も訪ねた。
20万人の従業員を擁するというゼネコンだが、こちらはさらにいかがわしかった!
粗末な雑居ビルには、7200万ユーロの資本金を持つ企業の面影すらない。
それどころか、お隣のタイヤ会社に尋ねたところ、
「お宅も詐欺にあったの?」
という答えが返ってきたという。
■ドイツ人の琥珀商人まで現れて……
これらの報道が始まると、本国のラインラント−プファルツ州では大騒ぎになった。
内相は、議会での承認に向かって進めていた準備に、慌てて「ストップ」をかけた。
しかし、Chou氏は一向に悪びれず、
「中国政府が外国送金の許可を出すのが遅れているだけ。
許可はもうすぐ出るので、もしも、そんなにご心配なら、あとの支払い分も前倒しで払いましょう」
と言ったとか。
大風呂敷を広げる人の発想だ。
そもそも、こんな(些細な?)ことが、これほど大きなニュースになるとは思わなかったそうだ。
粗末な事務所のことを尋ねられときは、
「同じような名前の会社がたくさんあるので、混乱しているのではないか」
と答えた。
一方、不思議なのは、ドライアー州首相の態度だった。
6月末の時点でも、彼女は、あくまでも中国側を信用していると表明していた。
KPMGの調査では、支払い能力には問題がないので大丈夫というわけだ。
ところが7月4日、調査を依頼されたKPMG社が、実はいくつかの疑問点を報告していたということがわかった。
こうなると、州政府の立場は丸つぶれ。KPMGの報告が、なぜ、どこで消えてしまったのか?
そもそも、SYT社もGuo Quig社も、ダミー会社であることは間違いない。
ドイツの政治家が、医者兼パイロット(?)であるChou氏の大言壮語を本気で信じていたとも思えない。
それどころか今では、20万の従業員を抱え、アジア全土でプロジェクトを展開しているはずの大企業Guo Quig社は、実は去年の11月に初めて登録された会社だということもわかっている。
では、州のトップたちが、なぜそれでも大丈夫と言い張ったのか?
ダミー会社の後ろにはいったい誰がいるのだろう?
そうこうするうちに、おかしな話はますます増えた。
この商談において、SYT社に代わってサインをしたのが、ドイツ人の琥珀商人であることもわかった。
この琥珀商人は、レヴェンツ内相と長年親しかった人間で、しかも、Chou氏は彼のところで琥珀を仕入れたこともあるという。
わけがわからない。
7月5日、遅ればせながらも、州の内務次官が調査のために大慌てで上海に飛んだ。
SYT社の社長Wang氏、および中国政府の役人と会い、事情を聞くためだ。
現在、SYT社の事務所には、まだ会社名の看板はないが、ドアに張り紙がされ、
「用事のある人はここへ電話してください」
とWang社長のケータイの電話番号が書いてあるそうだ。
冗談みたいな話だ。
しかし、そのWang社長、自分の会社についての情報を提供するつもりはないという。
「州との契約が正式に結ばれ、動かぬものとなったなら、そのときには自社についての情報を開示する」
と主張しているらしい。
世界の常識とは、順序が逆だ。
■疑り深いドイツ人が、なぜ?
7月6日になって、数日前は「心配していない」と言っていたドライアー首相が意見を180度転換、今回の取引に対して重大な懸念を表明した。
詳細はいまだ定かではないが、州側に重大な過失があったことは確かだろう。
入札の不正も考えられる。
野党は、ドライアー氏を厳しく追及する構えだ。
Chou氏やWang氏は、単なるペテン師だったのか?
それとも、中国政府による資金規制で、現在、本当に外国送金の許可が出なかったのか?
実は、中国の投資家がドイツの空港に狙いを定めたのは、これが最初ではない。
2014年には、倒産したあとのリューベック空港を中国人投資家が買っている。
この時の大風呂敷は、「同空港を、中国からドイツへの医療ツアーの一大拠点とする」というものだった。
しかし、その翌年、空港は再び倒産した。
ふだんは疑り深いドイツ人が、
なぜ中国に対しては、こんなに無防備なのだろう?
7月7日、SYT社との取引が白紙に戻されることがほぼ決まったというニュースが流れた。
これ以後、州政府は、入札で2位、3位につけた投資家と新たに交渉を始める。
しかし、少なくともそのうちの1社は、また、中国企業である。
』
『
Record china配信日時:2016年7月9日(土) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/a144240.html
“空港爆買い”の中国企業はペーパーカンパニー、
取引はお流れに―独メディア
2016年7月6日、独ラジオ局ドイチェ・ヴェレは記事「中国企業によるフランクフルト・ハーン空港買収はお流れに」を掲載した。
独南西部ラインラント・プファルツ州政府は6月6日、同州が保有するフランクフルト・ハーン空港の株式の82.5%を中国企業・上海益謙貿易公司(SYT)に1000万ユーロ(約11億円)で売却すると発表した。
「中国は空港まで爆買いするのか!」
と世界を驚かせたニュースは意外な展開を見せている。
SYT社は複数回に分けて支払いをすると発表していたが、第1回目の支払いから届かなかったのだ。
そもそも中国では誰もSYT社について知らない。
独メディアがSYT社の本社を訪ねると、雑居ビルの一角に小さな部屋があるだけ。ペーパーカンパニーだったという。
この異常事態にラインラント・プファルツ州政府も取引に問題があると声明を発表、SYT社に対する空港売却はお流れになることが決まった。
』
Record china配信日時:2016年7月9日(土) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/a144240.html
“空港爆買い”の中国企業はペーパーカンパニー、
取引はお流れに―独メディア
2016年7月6日、独ラジオ局ドイチェ・ヴェレは記事「中国企業によるフランクフルト・ハーン空港買収はお流れに」を掲載した。
独南西部ラインラント・プファルツ州政府は6月6日、同州が保有するフランクフルト・ハーン空港の株式の82.5%を中国企業・上海益謙貿易公司(SYT)に1000万ユーロ(約11億円)で売却すると発表した。
「中国は空港まで爆買いするのか!」
と世界を驚かせたニュースは意外な展開を見せている。
SYT社は複数回に分けて支払いをすると発表していたが、第1回目の支払いから届かなかったのだ。
そもそも中国では誰もSYT社について知らない。
独メディアがSYT社の本社を訪ねると、雑居ビルの一角に小さな部屋があるだけ。ペーパーカンパニーだったという。
この異常事態にラインラント・プファルツ州政府も取引に問題があると声明を発表、SYT社に対する空港売却はお流れになることが決まった。
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『
Record china 配信日時:2016年7月10日(日) 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/a144342.html
ウソの空港買収案に州政府が激怒、
“中国人詐欺師”を提訴へ―ドイツ
2016年7月7日、独ラジオ局ドイチェ・ヴェレは記事
「ラインラント・プファルツ州政府、中国人詐欺師を提訴へ」
を掲載した。
南西部ラインラント・プファルツ州は今、“中国人詐欺師”の話題で持ちきりだ。
6月6日、中国企業・上海益謙貿易公司(SYT)がフランクフルト・ハーン空港を買収すると発表されたが、ほどなくしてSYT社が実態のないペーパーカンパニーだと判明したためだ。
ラインラント・プファルツ州政府は取引中止を発表したが、野党は州トップの辞任を要求するなど政治問題にまで発展している。
この許し難い詐欺師に賠償を求めて州政府は提訴する方針を固めている。
』
州政府のバカとしかいいようがない。
【2016 異態の国家:明日への展望】
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