2016年6月24日金曜日

イギリスのEU離脱は(2):離脱へ、首相辞任へ、しばらくは混沌が続く

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BBC ニュース 2016/06/24
http://www.bbc.com/japanese/video-36617441

「6月23日をこの国の独立記念日に」



 英国で23日に実施された欧州連合(EU)からの離脱か残留かを問う歴史的な国民投票の開票が進み、離脱が52%の支持を得た一方、残留は48%となり、離脱が確実な情勢となった。
 離脱派有利となった時点で、離脱を長く推進してきたイギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首は早々に勝利宣言をして、「6月23日をこの国の独立記念日として歴史に刻みましょう!」と熱弁をふるった。



朝日新聞デジタル 2016年6月24日14時16分
http://www.asahi.com/articles/ASJ6R7WSFJ6RUHBI03W.html

英国がEU離脱へ 
BBC「過半数上回る」、
初の脱退例

 23日に投票が行われた欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票で、英公共放送BBCは24日午前6時(日本時間午後2時)、独自集計の結果、離脱票が投票総数の過半数を上回ったと速報した。
 28カ国からなるEUから加盟国が脱退する初の例となる。
 拡大と深化を進めてきた欧州統合は大きな転換点を迎える。

■残留派、楽観ムード一転
特集:EU離脱問う英国民投票

 離脱派の英国独立党(UKIP)のファラージ党首は24日午前4時、ロンドン市内の集会で「独立した英国の夜明けが来ようとしている」と述べ、事実上の「勝利宣言」をした。
 投票は23日午後10時(同24日午前6時)に締め切られ、ただちに開票が始まった。
 英BBCによると、24日午前5時40分(同午後1時40分)時点で、382地区のうち364地区で開票が終了。
 離脱が1625万2257票(51・8%)、残留が1513万139票(48・2%)となっている。

 全国的な集計結果は、24日午前(同午後)にも中部マンチェスター市庁舎で発表される見通し。
 選管によると、有権者数約4650万人で投票総数は3356万8184票、投票率は72・2%だった。
 昨年5月の総選挙の投票率66・1%を上回った。

 開票の結果、労働党支持者が多く、残留派が多いと見られていた中部の工業都市ニューカッスルでは、残留が50・7%、離脱が49・3%と得票率が伯仲。
 日産自動車が工場を置く近郊のサンダーランドでも離脱が61%を占めるなど、各地で離脱派が予想以上に得票を伸ばした。

 一方、残留派が優勢とみられていた地区では、投票率が伸び悩んだ。
 北部スコットランドの主要都市グラスゴーでは残留票が過半数を占めたが投票率は56%台と他地域に比べて低かった。
 残留派が優勢とされた中部マンチェスターも投票率は60%を下回った。

 ロンドンを含む英南東部は22日夜から豪雨に見舞われた。
 投票日の23日も断続的な大雨で浸水の被害が発生したり、交通網が大きく乱れたりした。
 荒天が有権者の出足を鈍らせた可能性もある。

 国民投票に向けたキャンペーンで、離脱派は移民問題に焦点を絞り、「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張。
 「主権を取り戻せ」と訴えた。
 またEUから出ることで、英議会の主導権を取り戻すべきだと説いた。

 一方、キャメロン首相が率いる残留派は、経済のリスクを前面に掲げた。
 オバマ米大統領ら各国首脳も残留を呼びかけた。
 投票日1週間前の16日に残留支持だった女性下院議員の射殺事件が発生。
 残留派が巻き返したものの、離脱派の勢いが最後まで伸長した。

 英国は今後、EU基本条約の規定に従い、2年をかけてEU側と離脱の協定を結ぶ交渉に入る。
 ただ加盟国の全会一致で交渉期間は延長できる。
 また英国は欧州の単一市場へのアクセスを失うため、改めてEU側と貿易協定の交渉を行うことになる。

 今後は、残留を訴えたキャメロン首相の進退が焦点となる。
 残留派の多い北部スコットランドでは、EU離脱を嫌う住民の間で英国からの独立運動が再燃する可能性もある。



AFP ニュース 2016年06月24日 17:38 発信地:ロンドン/英国
http://www.afpbb.com/articles/-/3091664?cx_part=txt_topstory

英キャメロン首相、辞任の意向表明 EU離脱派の勝利受け

【6月24日 AFP】
 英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は24日、同国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で離脱派が勝利した結果を受け、辞任する意向を表明した。

 国民投票を前にキャメロン首相は、離脱した場合の経済的損失について警告し、EU残留を訴えていたが、投票結果は離脱派の勝利だった。
 キャメロン首相は向こう数か月間「船(英国)を安定」させることを誓約したが、10月初旬までに新たな指導者が就任すべきだとの考えを示し、首相官邸前で報道陣に
 「われわれの国を次の目的地へ導こうとする船長に私がなろうとすることは適切でないと思う」
と語った。

 また同首相は、英国のEU離脱過程の開始は後任となる首相に任せたいとし、EUからの離脱に関する
 「(リスボン条約、Treaty of Lisbon)第50条をいつ行使するかは、新しい首相が決定するのが妥当だと思う」
と述べた。

 キャメロン首相は英国がEUに残留するために努力したと述べた上で、
 「英国民はこのように非常に明確に、異なる道を進む意思を示した。その方向へ進むためには新たなリーダーシップが必要だと思う」
とし、
 「欧州諸国に住んでいる英国民、またここに住んでいる欧州市民には、今状況に急激な変化はないことを保証したい」
と語った。

 英国民投票の最終結果は、EU離脱支持が52%、残留支持が48%で、100万票以上の差で離脱派が勝利した。



2016年6月24日 14時35分配信 小林恭子  | 在英ジャーナリスト
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kobayashiginko/20160624-00059221/

英国がEU国民投票で離脱を決断へ 
―疑問点をまとめてみました

 英BBCによると、23日に英国で行われた欧州連合(EU)を離脱するか、残留かについての国民投票で、離脱派が大勢を占める見込みとなったという。
 自分自身は残留を望んでいたので、残念だし、信じられない思いもする。
 これほど英国人はEU嫌いだったのかと愕然とする。
 離脱派が勝つ見込みとはいっても、残留支持派も半分近くいたわけだから、英国は大きく2つに割れたことになる。

 改めて、現状とこれまでの経緯をまとめてみた(23日付けの筆者の「まとめ」記事に追加しました。)

―結果は予想されていたか?

 今回の国民投票の結果ほど「予想がつかない」と言われた選挙はないといってよい。
 複数の世論調査では離脱派と残留派の意見が拮抗した上に、これまでのような総選挙と違い、過去の結果と比較しながらの判断ができなかったからだ。

ーなぜ離脱派が支持されたのか?

 巨大になったEUの官僚体制への不満、
 ユーロ圏経済の混迷にみる先行き不透明感、
 難民問題に対処できずおろおろするEU
といった、EU自体への不満に加え、
 国民に強い危惧感をもたらせたのが、移民流入問題だ。

―EUはなぜ生まれた?

 EUはもともと、第2次大戦後、欧州内で2度と大きな戦争が起きないようにと言う思いから生まれた共同体だ。
 当初は経済が主体だったが、欧州連合(EU)と言う形になってからは政治統合の道を進んでゆく。
 単一市場に加入するという経済的目的を主としてEC(後にEUとして発展)に英国が加盟したのは1973年。
 当時は加盟国は英国を含めて9カ国。
 人口は約2億5000万人。
 現在は28カ国、5億人だ。

 当初は西欧の経済状態が似通った国が加盟国だったが、今は加盟国内での所得格差、失業率の差が大きい。
 英国では2015年、純移民の数が33万人となった。
 英国から出て行った人と入ってきた人の差だ。
 そのうちの半分がEU市民だ。
 英国は多くの人が使う国際語・英語が母語だし、失業率も低い。
 EU他国から働き手がどんどん入ってくるのも無理はない。
 人、モノ、サービスの自由化を原則とするEUにいるかぎり、市民がやってくることを止めることはできないのだ。

―なぜ今、国民投票が行われたのか?

 底流として長い間存在してきたのが、反欧州、あるいは欧州(=EU)への懐疑感情だ。
 大英帝国としての過去があるし、「一人でもやっていける」という感覚がある。
 社会の中の周辺部分、つまり、英国には階級社会の名残があるが、労働者階級の一部、および中・上流階級の一部に特にそんな感情が強い。

 社会全体では、
 「他人にあれこれ言われたくない」
 「自分のことは自分で決めたい」
という感情が非常に強い。
 だから常に、政府でも地方自治体でもいいが、いわゆる統治者・管理者が何かを上から押さえつけようとすると、「反対!」と叫ぶために抗議デモが起きる。
 EUが拡大して、EU合衆国になる・・・というのはまっぴらごめんと言う感覚がある。
 英国の司法、ビジネス、生活に及ぼすEUのさまざまな細かい規定を「干渉」と見なす人も多い。
 今回の国民投票の話以前に、もろもろのこうした底流が存在していた。

―政治的な動き

 底流での流れが政治的な動きにつながってゆくきっかけは、2004年の旧東欧諸国のEU加盟と2007-8年からの世界金融危機。
 04年、10か国の新規加盟に対し、各国は人やモノの受け入れのための準備・猶予期間を数年間、導入した。
 しかし、英国は制限を付けなかった。
 そこで、最初から自由に人が出入りできるようになった。
 ポーランド人の大工、水道工やハンガリー人のウェイターが目につくようになり、東欧食品の専門店があちこちにできてゆく。
 若く、仕事熱心な新・移民たちは評判も上々だった。

 しかし、金融危機以降に成立した2010年の保守党・自由民主党新政権は厳しい財政緊縮策を敷いた。
 公共費が大幅削減され、地方自治体が提供するサービスの一部もカットされた。
 EU市民については制限を付けない移民策の結果、病院、役所、学校のサービスを受けにくくなった。
 政府統計によれば、人口約6000万人の英国で、2014年時点、300万人のEU市民が在住。
 その中の200万人が2004年以降にやってきた人である。特に英国南部、そしてロンドンが最も多い。
 「無制限にやってくるEU市民をどうにかしてほしい」
-生活上の不便さから、そんなことを言う人が英国各地で増えてきた。

 しかし、人、モノ、サービスの自由な移動を原則とするEUに入っている限り、域内の市民の移動を阻止できない。
 また、一種の人種差別的発言とも受け取られるから、政治的に絶対にといっていいほど、認められない。
 だから、既存の政党はこんな市民の声をくみ上げられずに何年もが過ぎた。
 ずばり、「EUを脱退するべきだ」と主張してきたのが英国独立党(UKIP)。
 数年前までは「頭がおかしい人が支持する政党」だった。

―潮目が変わった

 しかし、2014年、潮目が変わった。
 この年の欧州議会選挙で、英国に割り当てられた73の議席の中で、UKIPが21議席を取って第1党に躍り出たのである。市民の声が政治を動かした。
 どんなに恰好の悪い本音でも、本音は本音である。

 UKIPは与党・保守党を大きく揺り動かす。
 もともと、EU懐疑派が多い保守党。
 この懐疑派が40代半ばにして党首となったキャメロンの足を引っ張る。
 保守党議員がUKIPに移動する事態が発生し、キャメロンは懐疑派=超右派を黙らせるため、また党の存続のため、EUについて何かをしなければならなくなった。

 「制限がないEUからの移民流入が不都合をきたしている」
-そんな思いをくみ取れなかったのは最大野党の労働党も同じ。

 「EUは大切だ」という姿勢を崩さなかった労働党に加え、2015年4月まで連立政権の一部だった自民党も大のEU推進派だ。
 「今度こそ、単一政権を実現させたい」-2015年5月の総選挙で、そう思ったキャメロン首相は「保守党が単一政権になったら、EUの離脱・残留について国民投票を2017年までに行う」と約束して、選挙戦に臨んだ。
 ふたを開けてみると、労働党惨敗で、保守党は単一政権を打ち立てることができた。
 その後、UKIPを中心として国民投票実現へのプレッシャーが高まる。
 キャメロン首相はとうとう、今年6月23日の実施を宣言せざるを得なくなった。

―誰が残留をあるいは離脱を支持したか

 残留はキャメロン首相、大部分の内閣、下院議員、労働党、自民党。エコノミストたち。OECD、IMF、イングランド中央銀行。カーン現ロンドン市長、オバマ大統領、ベッカム選手、ハリーポッターシリーズのJKローリングや俳優のベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレーなど。中・上流階級(日本の中流よりは少し上の知識層)、国際的ビジネスに従事する人、若者層。

 離脱はジョンソン元ロンドン市長、ゴーブ司法大臣、ダンカンスミス元年金・福祉大臣、ダイソン社社長、労働者・中低所得者の一部、英連邦出身者の一部、中・上流階級の一部・保守右派で「大英帝国」信奉者、高齢者の一部。

-2つに割れた、英国民。また仲良くやっていける?

 しばらくは溝を埋める時間が必要と言う見方があるが、英国はもともと、階級制の名残がある国だから、
 「自分は人違う」ことを当たり前としてきた。
 したがって、このまま、溝は溝のまま、続いていくのではないかと筆者はみる。
 ただ、「残留派=高い教育を受けた人、グローバル化の恩恵を受ける人、国際的な経験が豊富な人、一定の収入がある人、若者層」であり、
 一方は「離脱派=労働者階級の一部、それほど教育程度の高くない人、グローバル化の恩恵を受けない人、一部の高齢者」という形に割れたことから、
 まさに階級の差がくっきりと出た。

―残留派のキャメロン首相は辞任する?

 今回の結果が出る直前まで、首相は辞めないことを明言しており、昨晩、開票が始まった時点でも内閣や保守党幹部が「キャメロン首相の続投」を支持する書簡が公表された。
 しかし、残留派のキャメロン氏が離脱に向けての動きを主導できるかと言うと疑問符が付く。
 自らが辞任を表明する可能性が高い。

―手続きはどうなる?

 離脱の場合、下院でこの問題を議論する見込み。
 離脱交渉を開始するために、リスボン協定の第50条を発動させると、2年以内に交渉を終了する必要があるという。
 しかし、キャメロン首相がいつこの条項を発動させるのかは不明。
 事前にEU他国との交渉をしてから、発動させるという見方もある。

―EUと英国の関係はどのように変わる?

 離脱後、英国が単一市場にこれまで通りに加盟できるのか、一切シャットアウトされるのかなどは、EUがどのように意思決定をするかで変わってくる。
 EU域内に住む英国人、そして英国に住むEU市民の処遇も明確には決まっていない。
 追い出されることはないとは思うがー。

―経済はどうなる?

 24日早朝時点ではポンド安。
 今後、株価市場の下落も含め、相当の大波が来る可能性がある。
 しかし、英イングランド銀行(中央銀行)が市場介入などを行うことでショックが緩和されることもありそうだ。
 いずれにせよ、初期の負の影響は避けられない。

―スコットランドは?

 残留派が多いと言われるスコットランド。
 2014年に住民投票をし、僅差で英国から離脱しないという結果が出たばかり。
 英国がEUから離脱のすれば、スコットランドで再度住民投票が行われる可能性は否定できない。
 ただし、これもEUがどう出るかで状況は変わってくるだろう。

―ほかのEUでも国民投票が起きる?

 ほかのEU諸国で、国民投票を望む国民が多いと言われているのが、フランス、イタリア、オランダなど。
 右派政党が中心になって、実施に向けた運動が始まりそうだ。
 ドイツのショイブレ財務大臣は、これまでのような深化・拡大路線を見直す必要があるのではないか、と発言(21日)している。

―日本企業への影響は?

 英政府によれば在英の日本企業は1000社を超え、約14万人の雇用を支えているという。
 離脱となれば、まずはポンドが下がる可能性があり、円高と言うことになれば一般的に日本の輸出企業は打撃を受けるだろう。
 これが長く続かどうかは分からない。
 在英の日本企業が欧州他国とビジネス上の手続きをいちいちやり直す必要があるとすればこれも煩雑だ。
 ただ、これで英国から日本企業が出ていくかどうかは疑問だ。

小林恭子
在英ジャーナリスト
英国、欧州のメディア状況、社会・経済・政治事情を各種媒体に寄稿中。新刊『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)、『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)。



2016年06月24日(Fri)  BBC News
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7140

【英国民投票】キャメロン首相辞意表明 EU離脱支持の勝利で

 欧州連合(EU)からの離脱か残留かを問う歴史的な英国民投票が23日に行われ、離脱が52%の支持を得た一方、残留は48%で、離脱が確実となった。
 結果を受けてキャメロン英首相は24日朝、辞意を表明した。
 一方で、離脱運動を長年推進してきたイギリス独立党(UKIP)のファラージ党首は、6月23日は英国の「独立記念日」になると喜んだ。

 EU残留を強く呼びかけていたキャメロン首相はダウニング街で記者会見し、自分はEU残留が国や国民のためだと心から確信していたと述べ、「船を落ち着かせる」ためにしばらく続投するが、離脱に向けては「新しい指導部」が必要だと辞意を表明。
 「10月の保守党大会までに新しい首相が着任しているべきだ」
と述べた。
 サマンサ夫人と共に首相官邸前に立った首相は、朝のうちにエリザベス女王のもとを訪れ、短期間は続投するものの、10月の保守党大会までに新首相と交代すると女王に報告したと話した。

 リスボン協定第50条を発動し、EUと離脱条件を交渉する2年間を開始するのは、新首相の役目になるとキャメロン氏は述べ、
 「英国民は欧州連合を離脱すると投票し、その民意は尊重しなくてはならない」
と強調した。

 離脱運動の中心的な「顔」だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現下院議員、保守党)は今や、次期首相の最有力候補。
 そのジョンソン氏は、有権者が「自分の心の中を探った』結果、英国は今や自分たちの法律を自分たちで作り、税金を自分たちで定め、国境を自分たちで管理する「素晴らしい機会」を手にしたと結果を歓迎した。

 国民投票の投票率は71.8%で、3000万人以上が投票した。
 1992年以来、英国では最多の投票者数となった。
 現地時間午前7時(日本時間午後3時)過ぎに全ての開票結果が発表された。
 離脱支持は51.9%で、1741万742票。
 残留支持は48.1%で1614万1241票だった。

 スコットランド、北アイルランドではEU残留支持が明確に出たが、
 ウェールズは離脱を支持
 イングランドでは都市部を除き、残留支持が予想以上に伸び悩んだ。

 スコットランドでは32投票区のすべてが「残留」を支持。
 スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首席大臣は24日、国民投票の結果は
 「スコットランドの人々が、自分たちの未来は欧州連合の一部としての未来だと考えていることが明らかになった」
と述べ、スコットランドを何としてもEU内に留めると決心していると言明。
 そのため、スコットランド独立を問う2回目の国民投票を実施する可能性は「非常に高くなった」と表明した。

 英通貨のポンドは離脱勝利の見通しを受けて1985年以来の水準に下落し、一時1ポンド=1.3459ドルを付けた。
 投票が締め切られた直後は残留が勝つとの見通しから上昇していた。

 イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は24日、英国の金融機関は「相当の資本と膨大な流動性」を確保しているため、今後も事業や家庭に融資できると述べた。
 さらにイングランド銀行としても2500億ポンドの追加融資をする用意があると述べた。

 労働党の「影の内閣」のジョン・マクドネル財務相は、ポンドの為替レートを支えるため、中央銀行のイングランド銀行による市場介入が必要になるかもしれないと述べた。
 ポンドはサンダーランド地区で離脱支持が残留を大きく上回った結果を受けて、ユーロに対して3%下落し、6.5%下落する場面もあった。

 英国はEU成立以来、離脱する最初の加盟国になる。
 ただし、今回の投票結果を受けてただちにEU加盟国でなくなるわけではない。
 離脱手続きには最低でも2年かかる見通し。
 離脱派は、2020年に予定される英国の次の総選挙までには終わらないかもしれないと示唆していた。

■交渉期間は2年

 リスボン協定第50条に定められる離脱条件の交渉期間は2年。
 首相は、この期間をいつから開始するのか決めなくてはならない。
 第50条を発動させた国は、他の全加盟国の同意がない限り、再加盟できない。
 キャメロン首相はこれまで、国民投票で離脱が決まればただちに第50条を発動させると発言してきたが、保守党で離脱運動を進めてきたジョンソン氏やゴーブ氏は、拙速に急ぐべきではないと慎重を促してきた。

 ただしジョンソン氏やゴーブ氏は、実際の離脱に先立ち、欧州司法裁判所の権限制限や労働者の域内自由移動の制限など、英国の条約上の義務に抵触する内容の変更を呼びかけてきた。
 英国政府はさらに、EUやEU圏以外の国々と、それぞれ今後の通商関係を交渉していかなくてはならない。
 英政府の関係省庁や英議会は今後、40年にわたり積みあがってきた大量のEU法から英国を除外し、EUのどの法律や規制をどのように英国法に取りこんでいくのかを選別しなくてはならない。

 国民投票の実施決定から4カ月に及んだ激しい運動で、離脱派は英国が自国のことを自国で決めるようになるにはEUを去るしかないと主張してきた。
 経済の専門家や国際機関はこぞって、経済への打撃を警告したが、離脱派はこれを保身に走るエリート層が周りを怖がらせようとしているだけと一蹴してきた。

■「独立記念日」

 過去20年にわたってEU離脱を主張してきたイギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首は、
 「普通の人たち、まっとうなとした人たちの勝利になる」
と述べた。
 投票締め切り後、ファラージ氏は当初は残留が多数を占めるとみていたが、離脱優勢との報を受けて、6月23日を「我々の独立記念日として歴史に刻もう」と熱弁した。
 同氏はさらに、デイビッド・キャメロン首相が「今すぐに」辞任すべきだと述べた。
 キャメロン首相は残留支持を訴えていた。

 労働党筋は「離脱多数なら、キャメロン首相は真剣に去就を検討するべきだ」とコメントしている。
 労働党のキース・バズ元欧州担当相はBBCに、英国民が「感情」で投票し、EU離脱が経済的打撃をもたらすという専門家の警告をはねつけたと述べた。

 しかしボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現・下院議員)やマイケル・ゴーブ法相など離脱を支持してきた保守党重鎮は、結果を問わず首相続投を求める書簡に署名している。

 離脱派のリアム・フォックス保守党議員は、有権者は英国の
 「歴史の方向転換を」
選択する「勇気」を示したと述べ、
 「何があったのか冷静に受け止め熟慮し、具体的にどういう対応が必要になるのか検討する期間が必要」
だとして、キャメロン首相の続投を強く促した。

■<分析>選挙世論調査が専門のジョン・カーティス教授

 ロンドンは約6割の人が残留に投票した。
 しかしイングランドのほかの地域は残留を支持しなかった。 
 今回の国民投票は、ロンドンとイングランド地方部の社会的・文化的分断を浮き彫りにした。
 残留派の敗北はもっぱら、(イングランド南部のロンドンと南ウェールズの間を走る)高速道路M4より北に住む有権者によって決まったようだ。
 イングランド中部と北部では、残留派の支持率は低く、英国全体で過半数を獲得するために必要な水準をはるかに下回っていた。

(英語記事 EU referendum: UK votes to leave in historic referendum)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36614513





【2016 異態の国家:明日への展望】


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