2016年6月26日日曜日

イギリスのEU離脱は(4):スコットランド独立か、ウェールズにも独立の動き、そして台湾独立への先例になるか?

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 イギリスの国民投票は大きなインパクトを与えた。
 国民投票により、国の行く先を決められる、という事実を突きつけたということである。
 この事実から世界は揺れることになるだろう。
 スコットランドの独立、カタルーニャの独立、そして台湾の独立が舞台に上がってくることになってしまった。」。
 中国は足元を救われることになる。
 南シナ海ではアメリカを呼び込んでしまった。
 台湾は親中勢力は急激に低下している。
 さらにはウイグル、チベットも不穏になってくる。
 

AFP=時事 6月24日(金)14時40分配信
http://www.afpbb.com/articles/-/3091626?cx_part=topstory

英国がEU離脱へ、
スコットランド首相は独立を示唆

【AFP=時事】
 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は24日、英国放送協会(BBC)によると382選挙区のうち374選挙区で開票が行われた段階で「離脱」票が52%となり、離脱派の勝利が確実となった。
 為替市場では英ポンドが急落し、31年ぶりの安値を付けている。

 こうした中、スコットランド(Scotland)のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)自治政府首相は
 「スコットランドの未来はEUの一部となることだ」
と発言し、独立を目指す可能性を示唆した。
 英スカイニュース(Sky News)がBBCへのコメントとして伝えたところによると、スタージョン氏は
 「スコットランドは62%がEU残留に投票した。
 明確かつ断固とした答えだ」
などと語ったという。

 一方、北アイルランド(Northern Ireland)でも、カトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)が、アイルランドとの統一の是非を問う住民投票を行うべきだと表明。
 「北アイルランドは、イングランドの投票結果に引きずられている。
 シン・フェイン党は今こそ長年の要求である南北統一をかけた国民投票の実施を強く求める」
とデクラン・キアニー(Declan Kearney)党幹事長が述べた。



ロイター 2016年 06月 25日 06:45 JST
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=3111299725321485166#allposts/postNum=5

カタルーニャ独立可能、
英EU離脱が証明=州首相

[マドリード 24日 ロイター] -
 スペイン北東部カタルーニャ自治州のプチデモン州首相は、英国の欧州連合(EU)離脱により、同州がスペインからの独立を求める根拠が強まったとの認識を示した。

 プチデモン氏は声明で、英国がEU加盟国の承認を得ずに離脱を決定できたことで、カタルーニャ州もスペイン政府の承諾を得ずに独立を主張することが可能と指摘。
 「他のすべての国が行なっているように、主権について決定を下すことが可能なことを示している」
と述べた。

 また英国からの独立の是非を問う住民投票を再び実施する「可能性が非常に高い」とスコットランド行政府のスタージョン首相が発言したことをめぐり、支援する立場を示した。



ニューズウィーク 2016年6月26日(日)19時35分 遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/eu-27.php

イギリスEU離脱と中国の計算

 イギリスのEU離脱に備え、中国はいくつもの手を打っていた。
 ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領の訪中だけでなくAIIB新規参加国を24カ国も増やしている。
 一方、薄熙来以来強化された中英貿易の中での中国の戦略を読み解く。

■先手を打った中国

 イギリスがEUから離脱したがっている傾向は、今に始まったことではない。
  早くからあった。
 中国はそれを知った上で、AIIB(アジアインフラ投資銀行)立ち上げに際して、イギリスとバーター交渉をしていたようなものだ。
 まず金融センターの中心をアメリカのウォール街からイギリスのシティに移して、イギリスの自尊心をくすぐる。
 つぎにチャールズ皇太子やキャメロン首相らによるダライ・ラマとの蜜月を批難して、困窮するイギリスの痛いところを突く。

 キャメロン首相が折れたところで、「それならば」とばかりにAIIBへの一番乗りを名乗らせたのである。
 この経緯の詳細は2015年3月18日付けのコラムの「イギリスをジリジリと追い込む習近平の戦略」という項目のところに書いた。
 同年3月2日付けの「ウィリアム王子訪中――中国の思惑は?」でも書いている。

 AIIB加盟に関し、イギリスに率先して手を挙げさせることによって先進7カ国(G7)の切り崩しを図ったわけだ。
 日米を除くG7のAIIB参加に成功した中国は、イギリスのEU離脱の日に備えて、イギリスとは別にEUとの連携を強化し、EUで最大の力を持っていると中国がみなしているドイツをターゲットにした。
 日本とドイツとの戦後対応を比較してドイツを持ち上げ、習近平国家主席や李克強首相によるたび重なるドイツ訪問やメルケル首相の訪中を何度も成功させ、万一の場合に備えてきた。もちろんEU本部が置かれているベルギー訪問も怠っていない。

 ドイツのメルケル首相による訪中は、今年6月13日で9回目を迎え、尋常ではない。
 中国がドイツをひいきにする理由は、第二次世界大戦に対する戦後処理に関して日本と比較して日本批難を行なうのに好都合だという理由だけではない。
  改革開放後、中国が自家用車の製造に関して技術提供を世界に求めたとき、日本が中国を見向きもしなかったのに対して、ドイツはフォルクスワーゲンの技術提供を申し出た。
 フォルクスワーゲンの意味は「国民の車」。
 まさに中国の自家用車開発の理念にピッタリで、中国はフォルクスワーゲンを「大衆」と訳して自家用車「大衆」を大量生産していったという過去がある。

■イギリスとの貿易は薄熙来が強化した
――ニール・ヘイウッド殺害事件と関係

 かたや、イギリスと中国。実は近年、中英貿易協力を強力に進めてきたのは、何を隠そう、あの薄熙来だった。
 2004年、遼寧省の副書記&省長から中央行政省庁の商務部部長になった薄熙来は、2007年11月の党大会ではチャイナ・ナイン(胡錦濤時代の中共中央政治局常務委員9名)入りを果たそうと野心を抱いていた。

 ところが2007年2月に父親の薄一波が逝去。
 江沢民に圧力を加えていた薄一波がいなくなれば、江沢民としても危険な薄熙来をチャイナ・ナイン入りさせることはない。
 そこで重慶市書記に「島流し」になったわけだ。
 しかし2007年の党大会におけるチャイナ・ナイン入りを目指していた薄熙来は、商務部部長になるとすぐ、活発な貿易活動を展開し始めた。
 そこで目をつけたのがイギリス人のパウウェル卿だった。

 パウウェル卿は『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』で詳述したように、サッチャー首相やメージャー首相のPS(Private Secretary、個人秘書)であるとともに、「英中貿易協会」の主席だった。
 薄熙来はパウウェル卿を通して中英貿易の基礎を強靭なものにしたという貢献をしている。

 問題はパウウェル卿がMI5(情報局保安部)やMI6(情報局秘密情報部)など、諜報機関と関係していたため、パウウェル卿と親しかったビジネスマンのニール・ヘイウッドが巻き込まれて、薄熙来の妻・谷開来に殺害される結果になったことだ。

 ただ、このような「事件」はあったものの、その後の中英貿易の強化には大いに貢献した。
 そんなわけで、
 イギリスがEUから離脱しても、イギリスはますます中国への経済依存度を高めるだけで、中国がEUとの距離をメルケル首相を通して強化していれば、中国は漁夫の利を得ることになる。

■24カ国にAIIB新規加盟意向を取りつけた中国の思惑

 たしかにロンドンの金融街シティを媒体として、世界金融の中心をウォールストリートから北京と上海に移そうとしていた中国の目論みは、イギリスのEU離脱によって挫折する可能性を孕んでいる。
 ようやく人民元の国際化に向けて突き進んできた中国にとっては痛手ではある。

 そこで中国が次に打って出た手は、AIIBの加盟国を増やすことだった。
 これまで57カ国が創設メンバーとなっていたのだが、6月25日に北京で開催されたAIIB第1回年次総会において、新たに加盟の意向を表明した24カ国の代表が総会に参加していることをAIIBの金立群総裁が明らかにした。

 この24カ国は、一朝一夕に「突然」加盟意向を表明したわけではない。
 この日のために、早くから交渉が進められていた。
 つまり中国はイギリスがEUから離脱する日に備えて、ドイツのメルケル首相との関係を緊密化してきただけでなく、AIIBの強化をも、もくろんできたのである。
 来年には加盟国が80ヶ国を越え、日本が中心となっているADB(アジア開発銀行)(現在、67ヶ国)を抜くことになる。

 そして中国の目は、西欧から中央アジアあるいは東欧との連携にも向けられていた。

■上海協力機構とプーチンの訪中

 中国やロシアが主導し、中央アジア諸国が参加する上海協力機構の首脳理事会が6月23日と24日、ウズベキスタンのタシケントで開かれていた。上海協力機構はもともと安全保障のために設立されたもので、どちらかというとNATOに対抗する目的があったが、1991年末のソ連崩壊以降の中国の電撃的な動きが、この性格を象徴している(これに関しては2015年10月26日付の本コラム「安倍首相中央アジア歴訪と中国の一帯一路」で詳述)。

 今般の上海協力機構で注目すべきは、インドとパキスタンが正式メンバーとなることが意思確認されたことだ。
 インドのモディ首相と習近平国家主席の「うれしそうな顔と握手」が、中央テレビCCTVで何度も映し出されたし、ネットでも数多く報道された。

 それに続くロシアのプーチン大統領の中国公式訪問(6月25日)。
 この報道は中露両国から大々的に宣伝され、まるで「イギリスのEU離脱を祝賀する」と言わんばかりのプーチンの勢いが感ぜられた。

 CCTVだけでなく、ネットにおける関連写真の多いこと!
 中露は「互いの核心的利益」を重視することを強調し、プーチン大統領は、これまで中立だった南シナ海問題に関しても、中国寄りの姿勢をアピールしている。

 イギリスがEUから離脱すれば、NATOの力も弱まる。
 となれば今年6月13日付のコラム「尖閣接続水域進入は中露連携なのか?――中国政府関係者を直撃取材」から透けて見える中露の思惑が、ここで一段と強化されることになる。

 G8だろうが、G7だろうが、先進国だけが形成しているサミットになど、いかなる実体的効果もなく、9月初めに中国で開催されるG20こそが「地球を動かす」と、習近平は叫びたいからだ。

 イギリスのEU離脱で、ダメージを避けながら漁夫の利を模索する中露の行動には、警戒が必要だろう。
 AIIBの顧問に就任したという鳩山元首相が、日本に災禍をもたらさないよう、祈るばかりだ。


ロイター 2016年 06月 27日 17:10 JST George Hay
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-scotland-breakingviews-idJPKCN0ZD0QL?sp=true

コラム:英国の分裂は「時間の問題」か



[ロンドン 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)は英国の将来に深刻な影響をもたらす。
 英国民投票では52%が離脱を支持したが、同国の構成国ではそれは反映されなかった。

 北アイルランドでは56%が残留を支持し、スコットランドでも残留支持が62%に達している。
 論理的な次のステップは、スコットランドが英国から独立し、EUに残留することだ。
 だがそれはすぐには起きないだろう。

 英国の正式名称「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」の「連合」部分を重んじる人々は、致命傷に近いダメージを被った。
 スコットランドは2014年9月の住民投票において、主に離脱すべき経済的な道理がないという理由で、英国に残留することを選択した。

 スコットランド行政府のスタージョン首相は、スコットランドの将来がEU内にあると言明した。
 また、北アイルランドのマクギネス副首相は、アイルランド民族主義政党シン・フェイン党が要求するアイルランド統一の是非を問う国民投票の実施を改めて訴えた。

 政治は経済より分かりやすい。

 民間シンクタンクの英財政研究所(IFS)によると、2014年以降の原油価格の崩落によって、スコットランド単独での財政赤字は2017年半ばまでに域内総生産(GDP)比で9.4%に膨らむと見込まれている。
 英国全体では同2.9%にとどまるという。

 つまり、英国から独立した場合、スコットランドは国際市場の信用に足る通貨創設に苦労するということだ。
 北アイルランドも財政赤字を抱えている。

 ユーロへの参加は厄介だ。
 ユーロ圏の富裕国が、他のユーロ加盟国による不均衡を是正するための財政支出には二の足を踏むからだ。

 ただ、政治も簡単ではない。

 ある世論調査では、北アイルランドの人口の大半が英国残留を支持している。
 最近の選挙を受け、スコットランド民族党はもはやスコットランド議会で絶対多数を持たないため、思い通りにはできない。
 最後に、ロンドンの政治家は、英国のEU離脱交渉に注力するため、それと同時にスコットランドに集中したくないだろう。

 とはいえ、
 今や英国の分裂は、それが起きるかどうかではなく、いつ起きるかという問題となっているようだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


テレビ朝日系(ANN) 6月28日(火)10時32分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160628-00000012-ann-int

ウェールズにも独立の動き 
英連合王国、解体の危機



 EU(ヨーロッパ連合)からの離脱を決めたイギリスでは、北部のスコットランドのほか、西部のウェールズも独立を目指すと表明するなど「連合王国」解体の危機に直面しています。

 ウェールズ民族党のウッド党首は27日、国民投票でEU離脱派が勝利したことを受けて「EUに残るためにウェールズも独立を目指す」とイギリスのテレビ局「ITV」とのインタビューで明らかにしました。
 ウェールズは国民投票でEU離脱派が過半数を占めましたが、「ウェールズの人々はEUのメンバーでありたいと思っている」として今後、党内で話し合いを進める方針です。
 スコットランドや北アイルランドは「EU残留」のためにイギリスからの独立に向けた動きを強めていて、4つの地域で成り立つ連合王国が解体する恐れが出てきました。



テレビ朝日系(ANN) 6月30日(木)10時34分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160630-00000019-ann-int

スコットランド首相「EU残留を決断」独立に意欲



 イギリスがEU(ヨーロッパ連合)からの離脱を決めたことを受け、残留支持の多かったスコットランドの自治政府の首相が欧州議会の議長と会談し、EU残留に強い意欲を見せました。

 スコットランド自治政府・スタージョン首相:「私はスコットランドの意見が聞き入れられ、立場が理解されるのを確かめるためにきょう、ここにいます。
 そして、それが正しいと確信しています」
 ロイター通信によりますと、スコットランド自治政府のスタージョン首相は、欧州議会のシュルツ議長とベルギーのブリュッセルで会談した後、「スコットランドはEUに残ると決断した」と強調しました。
 また、
 「EUとの関係を守る唯一の方法がイギリスからの独立ならば、
 スコットランドには実現する権利がある
と述べ、イギリスからの独立に意欲をにじませました。





【2016 異態の国家:明日への展望】


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