2016年6月13日月曜日

アメリカの近未来戦争兵器(2):レールガン

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『
JB Press 2016.6.13(月)  渡部 悦和
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47056

中国を震え上がらせる秘密兵器、
レールガンの実力
飽和ミサイル攻撃に対処でき、南西諸島防衛にも最適


●レールガンの発射実験(ウィキペディアより)












  WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、5月31日、米海軍が開発中の電磁レールガン(以下、レールガンと表現する)について、「米国のスーパーガン」という表現でその能力と安全保障に及ぼす影響についてかなりセンセーショナルに報道*1した。

  私は、以前からレールガンや指向性エネルギー兵器(DEW: Directed Energy Weapon、 後述のレーザー兵器や高出力マイクロ波兵器のこと)に注目してきた。
  なぜならば、これらの兵器が完成し実戦配備されれば、中国やロシアのA2/AD(Anti-Access/Area Denial 接近阻止/領域拒否)の脅威、特に対艦弾道ミサイルや対地弾道ミサイルの脅威を大幅に削減することができるからである。
  米軍にとっては、レールガンを装備することにより、アジアの作戦地域への接近が再び可能となる。

  A2/ADに対抗する米軍の作戦構想であるASB(Air Sea Battle、現在ではJAM-GCに名称が変更された)で想定していた「空母などの大型艦艇の損害を避けるために、紛争直後に一時期、中国の対艦弾道ミサイルの射程外に後退させる」などの作戦が不必要になり、日米同盟の信頼性の向上にも寄与することが期待できる。
  また、我が国の重要施設(空港や港湾など)の防衛や南西諸島の防衛において、諸外国による各種ミサイルの攻撃や航空攻撃に対して有効に対処できる可能性が増大する。

■1 レールガンの開発状況

●WSJの報道内容

 図1を見てもらいたい。



(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47056)

 レールガンは、発射薬(大量の高温ガスを発生させ,その圧力により弾丸、ロケットなどを発射させるのに用いる火薬)や炸薬(砲弾などに充填し、信管等の作動で爆発させる火薬)を必要としない。

  固い発射体を電気伝導体のレールで加速し、目標を破壊する。
 米海軍が開発中のレールガンでは、
 時速7240キロ(マッハ6)まで加速でき、有効射程は200キロで、1分間に10発の射撃が可能
である。
 レールガンは、航空機、ミサイル、戦車などほぼすべての目標に対して有効
である。

 レールガンの発射体を誘導する技術の開発はほぼ完了していると記事は伝えている。
 スーパーコンピューターを使って狙いを定め、スマートフォンの技術(GPSも使用)を使い軌道を修正する。

*1=“A First Look at America’s Supergun”, WSJ, May 31 2016

 発射体の開発は、レールガン全体の開発よりも早く完成する予定である。

 この発射体は、レールガンでのみ使われるのではなくて、既存の海軍艦艇の砲(5インチ砲、6インチ砲)や陸軍の榴弾砲からの発射も可能で、射程延伸(例えば、6インチ砲で24キロから60キロへの射程延伸)や威力の増大の効果があるという。

 またWSJは、米国防省で先進技術の開発を担当し、レールガンの推進者の1人でもあるロバート・ワーク国防副長官の次の発言を伝えている。
 「冷戦時代に欧州に配備した大規模な戦力を再現することは考えられないが、
 高価ではなく非常に大きな抑止力としての価値を有するレールガンを想像することはできる」
 ワーク国防副長官は、第3次相殺戦略を担当していて、その中にレールガン関連事業も入っている*2。
 ワーク国防副長官の肝煎りであるということは、将来的に非常に有望な兵器であることを証明している。

 一方、レールガンを運用するためには、25メガワット(1万8750世帯の電力を賄うことができる電力)の発電装置と大規模な蓄電設備が必要になる。
 そのため、レールガンを搭載可能な艦艇は限定されるが、現在、レールガンを搭載する最有力な艦艇は、ズムウォルト級(Zumwalt-class )駆逐艦(図2参照)で、78メガワットの電力能力を持っている。
 また、艦艇搭載が唯一の選択肢ではなくて、地上設置型のレールガンも有力である。
 なお、レールガン全体の開発は、今後10年以内には完成し、実戦配備されることになると予想
されている。


図2 ズムウォルト級(Zumwalt-class )駆逐艦(ウィキペディアより)

●ONR(海軍研究オフィス)のホーム・ページの内容

 ONR(海軍研究オフィス)によると、レールガンのプロジェクト(INP)は、2005年開始され、
 第1段階の目標である32メガ・ジュールの砲口エネルギーを達成した。
 このエネルギーだと発射体の射程は160キロとなる。

 第2段階は、2012年に開始され、取得計画への移行を可能とする技術の開発を目指す。
 その技術は1分間に10発の発射速度を達成することであり、発生する熱の管理技術の確立である。

 レールガンの反応の迅速性、カバーする範囲の広さ、長射程、破壊力の大きさなどを理由として、ゲーム・チェンジャーであると宣伝されている*3。
 軍事におけるゲーム・チェンジャーとは、戦いにおける優劣を根底から覆すような、新しい技術、兵器、戦法、戦略などである。

*2=筆者がJBpressに投稿した「新時代に突入した米国・ロシア・中国の軍事競争 米国防予算と第3次相殺戦略(オフセット戦略)」を参照

*3=Office of Naval Research, Science and Technologyのホーム・ページ

■2 レールガンと指向性エネルギー兵器(DEW: Directed Energy Weapon)

 2015年3月にワシントンDC所在のシンクタンクCSBA*4(戦略・予算評価センター)を訪問し、将来の作戦構想について議論した時に、CSBAが提示したのが図3である。
 非常に示唆に富む内容であるので紹介する。

 なお、指向性エネルギー兵器は、指向性のエネルギーを目標であるミサイル、ロケット、砲弾などに直接照射し、これを破壊したり、機能低下させる兵器である。

 CSBAの説明によると、敵の航空攻撃やミサイル攻撃に対処する有望な兵器で、
★.今後5~10年以内に実戦配備される可能性のある兵器は、☆.レールガンと
☆.指向性エネルギー兵器である固体レーザー(SSL:Solid State Laser)と
☆.高出力マイクロ波(HPM:High Power Microwave)兵器
である。

★.実戦配備の時期は
 SSLとHPMが5年以内、
 レールガンが5年から10年
と見積もっている。

 1発あたりのコストの比較では、
★.レールガンが3万5000ドル(これはミサイルのコストの20~60分の1)、
★.ケミカル・レーザーが 1000ドル、
★.SSLとHPMが10ドル
であり、SSLとHPMが特に優れている。
 しかし、
★.レールガンの長所は、100マイル以上の長射程を有する点
である。

 図3は、固体レーザー(SSL)、高出力マイクロ波兵器(HPM)、レールガンが水上艦艇に搭載されイージスBMDの一部として運用された場合と航空基地に配置して使用された場合の用途について記述している。



●水上艦艇に搭載された場合

 対艦巡航ミサイル(ASCM)に対しては主としてSSLが対処し、対艦弾道ミサイル(ASBM)に対してはレールガンとHPMで対処する。

●地上(例えば航空基地)に配備された場合

 レールガンやHPMがカバーする範囲が大きく、中距離弾道ミサイル(IRBM)、準中距離弾道ミサイル(MRBM)、短距離弾道ミサイル(SRBM)、対地巡航ミサイル(LACM)のすべてに対処が可能となる。つ
 まり、レールガンの地上配備により、基地防護や重要施設の防護が可能になる。

 SSLは、対地巡航ミサイル(LACM)に対処可能である。

*4= CSBA: Center for Strategic and Budgetary Assessments

■3 レールガンやDEWが米軍に及ぼす影響

●中国やロシアのA2/AD能力を制約できる

 レールガンが実際に配備されれば、中国、ロシアなどの各種ミサイルによる攻撃や航空攻撃を制約することが可能になる。
 そもそもA2/ADのA2(Anti-Access)は接近阻止という意味であるが、相手の各種ミサイルによって作戦地域に接近できないことを意味していた。

 図4を見てもらいたい。

 中国の人民解放軍(PLA)は、空母キラーと言われている対艦弾道ミサイルDF-21Dを筆頭としていくつかの対艦ミサイルを幾重にも配備して、米海軍の接近を拒否している。
 しかし、レールガンなどを導入することによって対艦ミサイルの攻撃を排除し、作戦地域への接近が可能となる。
 また、A2/ADのADはArea Denial(領域拒否)で作戦地域における作戦を拒否するという意味であるが、レールガンなどの導入により、作戦地域におけるミサイルや航空攻撃の脅威が軽減され、日本周辺での作戦が継続できることになる。

 これを別の表現で説明すると、
 「中国のミサイルによる飽和攻撃(同時に多数のミサイルを使用する攻撃)に対処が可能になる」
ということである。

 現在、米軍特に海軍の空母をはじめとする大型艦艇にとって中国のA2/AD能力は大きな脅威である。
 特に、DF-21Dなどの対艦弾道ミサイルによる飽和攻撃に対して、現在の防衛システムでは対処困難であるが、1分間に10発の射撃が可能であるレールガンを主体としたミサイル防衛システムを構築すると、飽和攻撃への対応が可能になることが期待される。



●在日米軍基地の脆弱性が改善される

 レールガンを地上に配置すると、地上部隊のみならず、重要な空港、港湾などの重要施設の防護が可能になる。
 このことは、中国のミサイル攻撃や航空攻撃の脅威に対する在日米軍基地の脆弱性問題の解決が可能になることを意味する。

●米軍の前方展開戦略が可能になる

 ASB(Air Sea Battle)作戦構想の弱点であった、
 「紛争初期において中国のミサイル攻撃を避けて
 その射程外に一度下がってから、
 将来の攻撃を準備する」
という行動が不必要になることを意味する。

 この米軍が一時下がるという行動は、日米同盟の信頼性に大きなマイナスであったが、それが改善されるということである。

●ASBで考えられていた長距離作戦が必ずしも必須でなくなる

 前方展開が可能になると言うことは、米本土の周辺から、遠距離の作戦を強いられるという状況が緩和されるということである。
 第3次相殺戦略で考えていた長距離爆撃機や無人機システムの活用などに対する再検討が必要になってくる。

■4 レールガンやDEWが日本の防衛に及ぼす影響

●自衛隊の南西防衛にとって大きなプラス

 各種報道によると、奄美大島、宮古島、石垣島などの島々に陸上自衛隊が配備される可能性があるが、これらの島々の中でいくつかの島には、対艦ミサイル部隊と対空ミサイル部隊が配備されることになるであろう。
 しかし、これらの部隊の最大の問題は、相手の各種ミサイルによる飽和攻撃と航空攻撃に脆弱だという点である。

 まず制空権の確保は当然であるが、その他に掩体を構築して部隊を防護するという対処策はあるが、これはあくまでも防御オンリーの手段である。
 相手のミサイルによる飽和攻撃と航空攻撃に対し、より積極的に対応しようと思えば、攻撃と防御の能力を兼ね備えたレールガンは理想的な兵器となり得る。
 また、レールガンの地上配備が可能になれば、理論的にはレールガンの部隊のみで対艦任務と対空任務の2つの任務を遂行可能である点も指摘したい。

 さらに、レールガンを南西諸島周辺のチョークポイントを支配する場所に配置すれば、陸上部隊でチョークポイントの支配が理論的には可能になる。

●MD(ミサイル防衛)能力が改善され首都圏等の防衛にプラスである

 レールガンを中心にしたMD(ミサイル防衛)システムを構築し、我が国のSM-3やPAC3を中心としたBMD(弾道ミサイル防衛)システムと組み合わせると、より効果的なMDシステムになる可能性がある。

■結言

 米国をはじめとする主要国の兵器の技術開発競争は激しく、技術の進歩は日進月歩であり、技術の進歩に遅れた国が将来の戦いにおいて敗者となる。
 中国の人民解放軍のA2/AD能力の進歩には目覚ましいものがあり、米軍はこれに対処する方策としてレールガンや指向性エネルギー兵器を開発してきた。

 本稿では、特にレールガンに焦点を当てて記述してきたが、レールガンよりも早く高出力レーザーや高出力マイクロ波兵器が実用化されるであろう。
 複数の手段を開発できる米軍の底力を改めて認識する。

 我が国の防衛を考えれば、自衛隊の南西諸島の防衛や首都防衛などにおいて、各種ミサイルの飽和攻撃に対する脆弱性は克服すべき喫緊の課題である。
 レールガンは、わが国の防衛におけるゲームチェンジャーになる可能性がある。

 防衛省でも、レールガンなどの開発を行っているが、是非とも早期に優秀な装備品を開発し装備化してもらいたいものである。
』

『


●中国を震え上がらせる米海軍の秘密兵器「レールガン」の実力
2016/06/14 に公開
』


【資料】
『
wikipediaから
レールガン


●レールガンの模式図。

レールガン (Railgun) とは、物体を電磁誘導(ローレンツ力)により加速して撃ち出す装置である。
なお、電磁気を使う投射様式全般の呼称としては、電磁投射砲(でんじとうしゃほう)やEML (ElectroMagnetic Launcher) 、電磁加速砲[1]などがある。
原理的には古くから知られていることもあり、サイエンス・フィクション関連やゲームなどの作品に幅広く登場しているが、それらの作品では主に兵器として扱われていることが多い。
なお、レールという言葉が含まれているが、いわゆる鉄道や列車砲とは無関係である。

この装置は、電位差のある二本の電気伝導体製のレールの間に、電流を通す電気伝導体を弾体として挟み、この弾体上の電流とレールの電流に発生する磁場の相互作用によって、弾体を加速して発射するものである。
弾体を加速し発射する力は、アンペールの法則でわかるように、主にレールと移動をつづける弾体(電気伝導体)の接点付近に生じる。
また、直線導体による弱い磁場であるから、非常に大きな電流を流し続ける必要があり、さらに十分な発射速度を得るためには、加速に十分な距離を取る必要がある。
一方、弾体を含め電気回路を形成するためには、レールに弾体(ないしそれに取り付けられた電気伝導体)の一部が接触している必要があり、この箇所に摩擦および移動に際しての摩擦熱が発生する。
さらに摩擦が起きる電気接点において、わずかな電気抵抗でも生じれば、投入される大電流のために大きなジュール熱が発生し、この電気伝導体等の一部が蒸発・プラズマ化する問題もある。
弾体とレールの接点が蒸発して接点が取れなくなれば、電気回路としての装置に電流は流れず、弾体は発射装置内に取り残される。
なお、流体としての性質を持つプラズマにも電気伝導体としてローレンツ力が働くが、このプラズマが飛散してしまえば、やはり弾丸は取り残される。
このため、後述するように、電気伝導体としてのプラズマを逃がさないようにする工夫も見られ、プラズマを電気伝導体として扱うものでは、弾体自体は必ずしも電気伝導体である必要はなく、この弾体の進行方向から見て後方に薄い金属箔を貼り付ける様式もある[2]。
このように実用化には問題が多いと考えられ、これらの装置は2012年現在においては、概念的な架空のものとしてや、実験段階のものや試験段階のものなど、実用化は進んでいないが、後述するように様々な利用も想定されている。
実用化の一つとして、2016年に米軍が、電磁加速砲を洋上実験する計画が明らかになっている。

レールガンの原理的な基本構造は、2本のレールと電源からなる。
これに伝導体製の弾丸を挟み込んで直流の電力を入力し、還流させて電気回路を形成する。
この場合、弾体には電流が流れる必要性から砲身であるレール電極に物理的に接触している必要があるが、電流さえ流れれば伝導体はプラズマでも構わない。なお、プラズマが弾体を押すためには、流体としての性質を持つプラズマが弾体を追い越さないための密封性を必要とし、このため弾体の通り道を残してレール間の隙間を塞いである(砲身として筒状をしている)が、このレールの隙間を塞いだ構造物は非伝導体(絶縁体)である。
弾体を砲身であるレールの間のみで加速するためには相応の電流を必要とするが、この電力供給が必要に見合えば、その形式は問われない。ただし、化学電池程度では、レールガンを動作させるのに見合うだけの電力を短時間で供給することには見合わず、それらで発生させた電力をキャパシターなど起電力を持たない蓄電装置に蓄えるなど工夫を必要とする。
以上がレールガンの構造における基本形態だが、実際に開発・利用されているレールガンでは、プラズマ化に伴う膨張力(→圧力)や熱などに耐えられなければならず、またプラズマ化に伴う膨張圧も弾体の加速に利用する場合は、尾栓に相当する部品を必要とし、これは非伝導体である必要がある。
なお、単純にプラズマ膨張圧のみを弾体加速に用いる形式は、サーマルガンと呼ばれる別形態の装置である。
』

「ヘリコプターマネー」って?:「ベーシックインカム」って?

_

『
ロイター 2016年 06月 5日 10:39 JST Edward Chancellor
http://jp.reuters.com/article/global-cenbank-breakingviews-idJPKCN0YP102?sp=true

コラム:ヘリコプターマネーが招く「金融大混乱」

[ロンドン 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 量的緩和と超低金利は、今もまだ当初の約束を果たせていない。
 マイナス金利の効果は、さらに期待外れで終わっている。
 先進国の経済成長はあいかわらずパッとせず、各国中央銀行の当局者は、しつこいデフレに頭を抱えている。

こうした状況下、金融実験室が生み出す次の作品が、いわゆる「ヘリコプターマネー」であっても不思議はない。
 空から大量の現金をばらまくことで経済の問題を解消するかどうかはさておき、
★.想定される結果の1つは、金融資産の大量破壊である。
 それを思えば、これほど多くの投資家があのような政策を激賞しているのは驚きと呼ぶほかない。

 中銀当局者(そしてその一挙手一投足を執拗に追いかける投資家)たちの見える範囲では、自らが繰り出す金融政策の実験結果を予想することはできないことは、今や当たり前となっている。
 グローバル金融危機以降、金融当局が証券を買い入れ、ゼロ金利政策を導入したことで、富の格差拡大や、年金の支払い不履行、生産性の低下、デフレなど、予期せぬ多くの影響が生じた。

 何よりも、欧州と日本が導入したマイナス金利は、意図していた効果とは真逆となる
★.現金資金の退蔵を促し、同時に市中銀行の貸出意欲を減退させてしまっている。
 他のすべての政策がうまく行っていないように見えるだけに、「ヘリコプターマネー」というアイデアは支持を集めている。
 これは1969年に経済学者ミルトン・フリードマンが生み出した用語で、
★.実質的に国民に直接現金をばらまくことにより、
 インフレと経済生産を加速させるというアイデア
を指している。

 複数の投資家が、このアイデアを支持する意見を表明している。
 かつて「債券王」の異名を取った、資産運用会社ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏は、最新の月報で、ヘリコプターマネーの近日実施に楽観的な態度を見せている。
 「ヘリコプターマネーは乱暴な終わりを迎えるだろうが、だがそれをやらなければ緊縮というリハビリがすぐに到来し、長期リセッションに突入するだろう」。
 13億ドル規模の「ジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンド」を運用するグロス氏は先月、こう書いている。
 「政府と中央銀行は、死ぬくらいなら飛んでみる方を選ぶのではないかと思う」

 だが、グロス氏をはじめ、中央銀行の実験的手段として最後に残された「ヘリコプターマネー」を主張する人々は、この革新的な政策が金融市場にもたらす潜在的な悪影響について十分に考え抜く必要がある。
 「ヘリコプターマネー」に熱を上げる人には、いくつかの思い込みが見られる。
★.第1に、この作戦が行われる経済には、余剰生産能力がたっぷりあるものと想定されている。
★.第2に、現金のばらまきによって生み出されたインフレが制御不能になることはないと想定されている。
★.第3に、どこからともなく現金を生み出すことで逆に経済的に苦しくなる人々はいないものと考えられている。

 つまり、ヘリコプターマネーはコストのかからない、いわゆる「フリー(無料)ランチ」だと思われているのである。
 GAM(ロンドン)でストラテジストを務めるマイケル・ビッグス氏がこの政策を主張する最近の記事タイトル「ヘリコプターからマナが降る」で示唆したように、神からの授かり物なのである。
 だが、こうした想定は疑わしい。
 まず、ある経済の余剰生産能力をリアルタイムで正確に測定することは難しいことで有名である。
 近年の先進国経済が伸び悩んでいるからといって、活用されていない資源が大量にあるとは限らない。

 むしろ、金融緩和時期に資本配分が適切ではなかったこと、また先進国市場において低調な投資水準が維持されたことで、潜在的成長率が低下した兆候かもしれない。
 従来の通念が米国など先進国における余剰生産能力を過大評価しているとすれば、
★.いくら多量の現金を投下しても、短期的にはそれほど成長を刺激しないだろう。
 こうした状況では、ヘリコプターマネーは予想されるよりも大きな価格上昇を引き起こす結果となろう。
 インフレが実現するとして、なぜそれが中央銀行の目標である2%付近で推移するはずだと言えるのか、その理由ははっきりしない。
 要するに、
★.ヘリコプターマネーが中央銀行にとって最大の悪夢、
 つまりインフレ期待に「歯止めがきかない」事態となっても不思議はないのだ。

 ヘリコプターマネーの支持者が約束する「ランチ無料券」にも疑問がある。
 資本主義のシステムは、膨大で複雑な、相互に関連するバランスシート網で構成されている。
 その名前が示すように、バランスシートは「収支が合う」ことを想定している。

 ヘリコプターマネー主義者は、中銀はこの原則の例外だと主張する。
 何しろ、米連邦準備理事会(FRB)など各国中銀は、紙幣を印刷して負債を返済することができるのだ。
 こうした考え方で行けば、会計上、中銀が債務超過に陥っているとしても何の問題はない。
 これでは何だか話がうますぎるように聞こえる。
 なぜなら、そのとおりなのだ。
 ヘリコプターマネー実施後、中銀のバランスシートが
 「バランス」しない場合、その損失は誰かに転嫁されなければならない。
 唯一の問題は、それが誰かということだ。
 最初に犠牲になるのは資金の保有者、つまり銀行の預金者である。
 パイ・エコノミクスのティム・リー氏が書いているように、ヘリコプターマネーは
 「純粋なインフレを意味している。
 それは単なる貨幣価値の破壊である」

 もう1つの潜在的な犠牲者は銀行である。
 銀行は、中銀がゼロ金利しか支払わないとする準備預金の維持を義務づけられているからだ。
 さらに、もっと心配なのはインフレ期待の上昇が債券市場に与える潜在的な影響である。
 近年、短期金利がゼロ近くまで低下する状況に対して、投資家はより償還期間の長い、高利回りの債券を購入することで対応してきた。
 デュレーションのエクスポージャーが増大しているため、長期金利が比較的小幅に上昇するだけでも、巨額のポートフォリオ損失につながる可能性が生まれている。
 さらに、ブリッジウォーター・アソシエイツなどのヘッジファンドが推進している、人気の「リスク・パリティ」戦略によって、多くの機関投資家が債券市場でレバレッジ・ポジションをとっている
 これによって長期金利が予想外に上昇した場合の投資損失の見込みが膨れあがっている。

 債券市場が総崩れになる可能性は、投資銀行が伝統的なマーケットメイクの役割からの撤退を進めているという事実によって、さらに増大している。
 流動性が枯渇するなかで、債券市場はますます不安定になっている。
 ヘリコプターマネーの投下後に長期金利が急上昇すれば、低金利時代に市場価格が上昇した資産、つまり株式、不動産、ジャンク債や新興市場債などさまざまな「キャリートレード」対象の商品のほぼすべてが潜在的リスクに晒される。

 インフレ率の回復と金利上昇は、先進国の硬直化した経済にとって、何らかの長期的な利益をもたらす可能性は十分にある。
 インフレ率の上昇は、多年にわたって積み上がってきた過剰債務の負担を軽減してくれるだろう。
 資産価格の崩壊は、かつてないほどの資産格差の拡大傾向を急激に反転させる。
 住宅価格はもっと手頃になる。
 金利上昇によって年金基金の支払い能力は改善され、保険会社の苦境も緩和される。

 長期的には、金利上昇は資本の配分を改善し、生産性と所得の成長を加速させる可能性さえある。

 だが、理論上は経済的メリットがあるにもかかわらず、ヘリコプターマネーの実施は金融市場の大混乱を招く可能性がある。
 この政策を推奨している投資家は、自分たちが公共サービスに携わっていると思っているのかもしれない。
 だが、投資家の仕事は投資リターンを確保することだ。
 中銀の「ヘリコプター」部隊が離陸する姿勢を見せているなかで、その仕事はひどく難しくなろうとしている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
』

『
朝日新聞デジタル 2016年6月6日10時01分
http://www.asahi.com/articles/ASJ660FMSJ65UHBI01G.html

 スイスで5日、国民に一定額の現金を無条件に給付する「ベーシック・インカム」制度の導入の是非を問う国民投票が行われ、
 賛成23・1%、反対76・9%
で否決された。
 投票率は46・3%だった。

 導入推進派は最低限必要な署名10万筆を超える署名を集め国民投票にこぎつけた。
 推進派は「貧困撲滅」などを訴え、最低限の生活を維持するための金額として、成人に対して2500スイスフラン(約27万円)、未成年に625スイスフラン(約6万8千円)を毎月支払うことを提案した。

 一方、連邦政府は「年間2080億スイスフラン(約22兆7千億円)超」の巨額の費用と、スイスの経済競争力を低下を懸念し、反対の立場を表明
 推進派は、財源について、現行の社会福祉制度の切り替えなどで可能だと主張したが、支持は広がらなかった。
』
 これってヘリコプターマネーになるのでは?

『
ダイヤモンドオンライン  2016年6月8日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
http://diamond.jp/articles/-/92655

ベーシックインカムという優れた制度が日本で実現しない訳

■海外での意外な関心の高まり

 スイスで6月5日に行われた国民投票で、ベーシックインカム(最低限所得保障)の導入が反対多数(約78%)で否決されたという。

 予見性の高い安心なセーフティーネットとしてベーシックインカムという制度はじつに優れている
 今まで何度か本欄のコラムにも書いたように、筆者は、ベーシックインカムという制度に賛成だ。
 賛成理由は、ベーシックインカムが、
★.予見性の高い安心なセーフティーネットであること、
★.行政の裁量を減らして効率を高めるシンプルな仕組みであること、
★.受給が恥ずかしくない再分配であること、
★.ミスや漏れが起こりにくい公平な仕組みであること、
など多数ある(もっとある!)。

 しかし、例えば
 「日本で今世紀の前半中に、ベーシックインカムは実現するか?」
と問われたら、
 「そうなればいいとは思うが、予想としては、そうならない方に賭ける」
と答えるだろう。
 もっとも何十年も先の社会のあり方を予想できる確たる根拠がある訳ではない。
 先の答えは、筆者が単に悲観的な性格であることを意味するだけなのかもしれない。

 スイスの国民投票以外にも、フィンランド、オランダ、カナダなどで、ベーシックインカムについて、実験を伴う研究が行われるなど、ベーシックインカムに対する関心は、筆者が予想した以上に世界的に高まっている。
 ベーシックインカムを実現する上手いやり方はないか、日本でも研究してみたいところである。

■スイスの反対理由

 そのためには、まず、スイスの反対派の意見が参考になる。

 まず、
(1):政府は財源不足を主な反対理由に挙げた。次に、
(2):経済界は勤労意欲が失われる懸念を挙げた。そして、
(3):労働組合は想定する支給額では収入が減る年金受給者がいることを理由に反対した
という。
 いずれも、なるほどという理由ではある。

 スイスで検討されたベーシックインカムでは、実施の場合、金額は改めて検討されることになっていたが、
★.賛成派は大人に対して毎月2500スイスフラン(日本円で27万5000円)の支給を提案していたという。
 ちなみに、子どもは大人の4分の1の625スイスフランだという。
 まず、この金額の水準はどうだったのか。
 賛成派は、付加価値税の引き上げか、金融取引税の導入で財源は補えると、十分な実現性があることを主張したようだ。

 ベーシックインカムの背景にある思想の中には、「尊厳ある生活の権利」といった理想が含まれているし、また制度を魅力的なものに見せるためには、ぎりぎり暮らせるという以上の水準を提示することが必要だったのかもしれないが、追加の財源が必要だということは、月2500フランというのは金額として大きすぎたのではないだろうか。
 参考までに言うと、報道によればスイスでは食品スーパーの初任給が4000フランくらいだという。

 もう一点、スイスの今回の検討の詳細が分からないので確たることは言えないのだが、ベーシックインカムが国民全員に支給されるのだから、個々の国民は概ね現在よりも大きな税金の負担能力を持つことになる。
 個々の国民の状況によって差し引き計算が異なるが、この辺りの事情が上手く伝わっていなかったのかもしれない。
 ただし、ベーシックインカムには「既存の社会保障のより効率的な置き換え」という建前もあるのだから、追加的な財源を要さない支給水準も問うてみるべきではなかったか。

■損する人の抵抗は必至
時間をかけた移行計画が必要

 ベーシックインカムが日本で実現しにくいと筆者が思う理由は、既得権者の反対と、官僚の抵抗の2つだ。
 官僚の抵抗については後で考えるとして、スイスの労働組合が反対したように、制度の変化によって経済的に損をする人の抵抗は、得をする人の推進力を上回ると予想される。

 例えば、現在、「10」のメリットを得ている人のメリットが、制度変化によって、半分の人では「12」に増えて、残り半分の人では「8」に減るとしよう。
 個人が均質であるとするなら、行動経済学でいうプロスペクト理論(2002年にノーベル経済学賞を取ったダニエル・カーネマンが考案した意思決定のモデル)によると、人は参照点(この場合、現状で得ているメリットの状態でいいだろう)からのプラスの変化に対してよりも、マイナスの変化に対して2倍以上の心理的インパクトを感じるという。
 トータルではプラスマイナスゼロなのだが、心理的には12と−16でマイナスの変化に対するインパクトのほうが上回り、集団としても、得よりも損に強く反応するはずだ。
 良くも悪くも、「損得半々」では、世の中は動きにくい仕組みになっているのだ。
 その故に世の中が安定していいのかもしれないし、世の中がいい方向に変わりにくいのかもしれない。

 筆者の思うに、既存の社会保障システムからベーシックインカムに移行するためには、どんなに短くても10年、現実的には20年くらい、移行プロセスに時間をかける必要があるのではないだろうか。
 20年かける場合は、1年目にベーシックインカムを予定額の5%、既存の社会保障給付を95%、2年目にはベーシックインカムを10%で既存の給付を90%、といった調子で徐々に移行する要領だ。
 こうした移行をスムーズにするためには、個人について全ての社会保障関連データが把握できていることが必要だし、社会保障の仕組みも簡素化されている必要がある。
 マイナンバーの活用がもちろん必要だろうし、ベーシックインカム導入以前に、既存の社会保障の仕組みを徹底的に簡素化する段階が必要なのではないだろうか。

 もちろん、スイス人であれ、日本人であれ、ベーシックインカムを導入するとなれば、現実的な移行プロセスを真剣に考えなければならない。
 個人個人の生活に大きく影響する問題なので、それなりの激変緩和措置が必要だ。
 この場合も、一方で減る給付があっても、他方で増える給付があり、変化はその差し引きによってゆっくり行われることの説明が要る。

 ただし、現実の変化に時間をかけることには、たとえば小泉内閣の郵政民営化が時間をかけたこと(と細部を官僚に任せたこと)で中途半端なものになったように、あるいは民主党政権の子ども手当が官僚に巧みに潰されたように、ベーシックインカムへの制度移行が途中で不完全なものに終わるリスクを伴う。

 また、税制も含めて、各種の再分配を伴う制度は、そこに関わる人々の仕事を作り出す必要性のためか、年を追うごとに複雑化する傾向がある。
 これに歯止めをかけることがまずは重要なのだが、それを実現することは、政治的にも、行政的にも、大変困難が大きい。

■類似の制度で着々と進める

 さて、スイスの国民投票でも、ベーシックインカムの長所として、行政の効率化が訴えられていたが、問題は効率化される側の抵抗だ。

 例えば、年金がベーシックインカムに置き換わると、年金に関連する役所や役所の外郭団体の人員は、大いに削減可能だ。
 しかし、そこで不要とされた人が、潔く引退して、ベーシックインカムをもらうことで満足する、というようなことは考えにくい。
 権限やOBの就職先が減ることに対して、直接・間接両方の方法で陰に陽に抵抗するだろう。
 このときの抵抗する側の真剣さと、そもそも日本の社会システムの枢要な部分が政治家やビジネスマンによってではなく、官僚によって動かされていることを思うと、ベーシックインカムが短期間で実現に向けて動き出すとは想像しにくい。

 そのためには、現行の社会保障関連の仕組みと行政システムを徐々に簡素化して、少しずつ「ベーシックインカム的」な仕組みや仕事のやり方を増やしていく方法がいいのではないだろうか。

 ベーシックインカム的とは、
(1):行政の裁量ではなくルールに基づいて給付が決まる、
(2):基本的に使途が自由な給付金による再分配、
(3):制度として簡素・効率的になる、制度の導入または制度変更を指すことにしよう。

 当面期待できるのは、マイナンバーを活用した給付付き税額控除(いわゆる「負の所得税」)だ。
 この制度は、税率をフラットにして、所得捕捉が完璧であれば、ベーシックインカムとの「類似度」は大変高く、「実質的に同じ」と評価してもいい仕組みだ。

 同時に、生活保護などの制度の簡素化を進め、給付開始年齢の引き上げなどによる公的年金の縮小を組み合わせると、ベーシックインカム的な世界に徐々に近づいていく。

 行政の権限も人員も、減らす方向の変化は容易ではないように思われるが、外国でベーシックインカムへの関心が高まる中、日本にも「ベーシックインカム的価値観」の浸透を期待したい。
』
 この筆者とは逆に、なんだか実にくだらない制度のように思えてならない。
 つまり、働かなくてもお金をあげますよ、ということのように映ってならないのだが。
 やはりヘリコプターマネーに近い。
 成長経済学の究極の目標はヘリコプターマネー、なのかもしれない。

『
JB Press 2016.6.10(金)  池田 信夫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47067?page=3
 
ヘリコプターマネーの先には地獄が待っている
「GDP600兆円」で始まる高橋財政の悲劇

 日本は1930年代に似てきた──といっても「戦争法で日本が戦争に巻き込まれる」という類の話ではない。
 安倍首相が消費税の10%への増税を「新しい判断」で再延期し、「GDP600兆円」をめざす大幅な赤字財政を決めたからだ。

 これは30年代の「高橋財政」の運命とよく似ている。高橋是清蔵相は国債の日銀引き受けで赤字財政を可能にし、大恐慌で疲弊していた日本経済を回復させた。
 しかし軍部は際限なく国債増発を求め、それを拒否した高橋は暗殺された。

■メガバンクが国債の買い手から売り手に回った

 今週、1つのニュースが金融村を騒がせた。
 三菱東京UFJ銀行が国債入札のプライマリーディーラー(PD)の資格を返上するというのだ。
 PDは財務省との懇談会に参加できるなどの特典がある一方、発行額の4%以上の応札を義務づけられる。

 しかし日銀のマイナス金利で国債の利回りがマイナスになったため、この義務が重荷になったのだという。
 これ自体は大した事件ではなく、PDを降りても国債は買えるが、メガバンクの最大手が
 「もう国債を買いたくない」
という意思表示をした意味は小さくない。

 「日本の国債の90%以上は日本の金融機関が保有しているから大丈夫だ」
という向きがあるが、邦銀は愛国心で日本国債を保有しているわけではない。
 企業の資金需要がないため、やむなく国債で運用しているのだ。
 その金利がマイナスになっても買うことは、株主に説明がつかない。

 メガバンクは国債保有高を減らし、日本郵政も国債を売って外債を買うようになったが、心配は無用だ。
 彼らの売る国債を日銀がすべて買えば、政府は国債をいくらでも発行できる。
 このように中央銀行が国債を引き受けて財政資金を供給することを財政ファイナンスと呼ぶ。

 高橋是清は1932年に蔵相に就任してから、金解禁でデフレに陥った日本経済を建て直すために金輸出を再び禁止し、農村救済事業を行なって歳出を32%増やした。
 このため国債の発行が増え、それを消化するために日銀に引き受けさせた。

■財政規律はいったん破ると取り戻せない

 実は、これが30年代に日本のとった政策なのだ。
 景気が回復すると高橋は緊縮財政にしようとしたが、陸軍は「国債は国民の債務なると共にその債権なるを以て何ら恐るるに足らず」と、これに反対した(今でもどこかで聞く話だ)。
 高橋は「ただ国防のみに専念して悪性インフレを惹き起こし、その信用を破壊するごときことがあっては、国防も決して安固とはなりえない」」と軍部に反論した(松元崇『恐慌に立ち向かった男 高橋是清』)。

 結果的には、1936年度予算は22億円のうち11億円が軍事費という異常な構成になったが、これでも陸海軍の予算要求を下回り、これに怒った青年将校が高橋を暗殺した。
 この結果、国債の日銀引き受けは歯止めを失い、日本は戦時体制に突入する。
 軍事費はまさにヘリコプターマネーであり、ナチス・ドイツで一時的に景気がよくなったのもこれが原因だった。
 しかし日銀引き受けという「打ち出の小槌」があると分かると、軍部は際限なく軍事費を増やし、戦時国債の発行は爆発的に増えた。

 こうして財政が破綻して通貨への信認が失われると、激しいインフレが起こる。
 戦時中は物価統制令で価格が凍結されたが、敗戦でハイパーインフレが起こり、物価は300倍になった。
 高橋財政の教訓は、いったん財政規律を破ると取り返しがつかないということだ。
 ターナーもそのリスクは認識しており、インフレ目標で歯止めをかけるべきだという。
 しかし日銀は政府支出をコントロールできないので、財政が破綻したらインフレ目標は役に立たない。

 この批判はターナーも認め、政府が際限なく財政支出を拡大しないように制限するルールをつくる必要があるというが、どんなルールをつくっても首相が「新しい判断」で破ることができるので意味がない。
 今回は野党まで増税延期法案を出して政府に「翼賛」し、与野党を挙げて放漫財政への道を走り始めた。
 その意味で今回の増税再延期は、二・二六事件のような歴史の分かれ目になるかもしれない。
』



【2016 異態の国家:明日への展望】


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2016年6月11日土曜日

中国高速鉄道輸出(4):アメリカでもデッドロックに、全面敗北化する中国高速鉄道の危機、何を反省すべきなのか

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● 読売新聞より

 中国の高速鉄道輸出はあちこっちでデッドロックに乗り上げている。
 まともの建設できる路線はあるのだろうか。
 政治目的がどんどん先行して、肝心の路線計画が出来上がっていないようだ。
 通常なら十分な路線計画が検討され、「これなら行ける」と判断したとき「ゴー」がかかる。
 どうも中国のビジネスはそうではないらしい。
 まずはじめに「ゴー」があって走り始めてしまう。
 障害物が小さいものならいいが、それが大きいとその手前でストップしてしまう。
 これは計画とはいわず、夢想にすぎない。
 「できたらいいな!」
はビジネスではない。
 中国国内ではそれは共産党強権で通せるが外国ではそうはいかない。
 その国の事情を十分調べて検討してはじめて可否が決められる。
 はじめに「可」ありきではない
ということを学ばないといけない。

『
サーチナニュース 2016-06-11 07:11
http://news.searchina.net/id/1611799?page=1

嘘であってくれ!
中国高速鉄道の米進出「頓挫の危機」、
米企業が中国側との提携打ち切り

 米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道を建設するため、中国の企業は米国企業と協力して計画を進めてきたが、中国メディアの環球時報(電子版)は、米国側のエクスプレスウエスト(XpressWest)社がこのほど、「中国側との提携を打ち切る」と発表したことを伝えた。

 米国国内に高速鉄道を建設することを目的に、中国企業の中鉄国際集団がエクスプレスウエストと提携した際、中国国内では「中国高速鉄道が米国に進出するのも時間の問題」などと意気揚々と報じていたが、計画は動き出す前に頓挫してしまった形だ。

 環球時報は、英メディアの報道を引用し、エクスプレスウエストが中鉄国際集団との提携を打ち切った理由について
 「中鉄国際集団の行動が遅いうえに、必要な承認を得ることに苦労しているため」
と伝えた。
 エクスプレスウエストは今後も別の提携先ととも高速鉄道計画を推進する予定だという。

 計画によれば、米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道は2016年9月に建設着工の予定だった。
 中国の習近平国家主席の2015年9月22日からの米国訪問に合わせたかのように大々的に発表された提携だったが、わずか9カ月ほどで提携は終了することになりそうだ。
 環球時報も「米国国内における米中企業の高速鉄道計画が流れてしまう危機だ」と伝えている。

 国を跨いだ事業にはトラブルがつきものであり、特に高速鉄道のような巨大なインフラにおける事業ともなれば、すべてが順風満帆に進むほうが珍しいと言える。
 中国ではこれまで「中国高速鉄道の輸出は順調であり、米国進出も間近」などと主張するメディアも少なからず存在したが、ベネズエラの高速鉄道計画もすでに頓挫したことが明らかとなるなか、米国での計画も頓挫となれば、中国側にとっては大きな「失望」と「落胆」につながるものであるに違いない。
』

『
Record china 配信日時:2016年6月11日(土) 0時20分
http://www.recordchina.co.jp/a141152.html

米企業、高速鉄道建設で中国企業との協力を中止
=中国ネット「どんなあくどい手でも使うんだな」
「契約の精神はどこへ?」

 2016年6月10日、米国初の高速鉄道建設で中国企業と合意していた米エクスプレスウエスト社が9日、中国企業との合弁を解消すると発表し、中国ネットユーザーからも不満の声が上がっている。

 ラスベガスに本部を置く同社は昨年9月、中国鉄路公司との間にロサンゼルスとラスベガスを結ぶ高速鉄道の建設のための合弁企業設立で合意した。
 しかし、同社は9日に中国鉄路公司が計画に必要な承認を取りつけるのに手間取っていることなどを理由に合弁解消を決めた。
 今後は、別のパートナー企業を探してプロジェクトを進めるという。

 この報道に、中国のネットユーザーからは、
 「『動きが遅い』って、そんなばかげた理由があるか?」
 「いわゆる自由市場経済の国は、中国経済に圧力をかけるためならどんなあくどい手でも使う」
 「解消は良いけど、違約金はいくら払うんだ?」
 「米国は最近、軍事、外交、経済、世論などで中国を包囲しようと躍起だ。
 中国の台頭に対する焦りと恐怖の表れだな」
 「米国の『契約精神』ってのはどこに行ったんだ?」
などと反発する声が多い。
』

『
Record china 配信日時:2016年6月11日(土) 15時30分
http://www.recordchina.co.jp/a141160.html

習主席訪米の「重要な成果」が一年足らずでご破算に―米メディア

 2016年6月8日、米企業エクスプレスウエストは中国企業との「高速鉄道建設計画」を中止することを明らかにし、今後は別の協力相手を探すと発表した。
 10日付で米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトが伝えた。

 米エクスプレスウエストは昨年9月に中国の国営企業・中国鉄路総公司を中心とする企業連合「中国鉄路国際」と合弁会社を設立。
 米西部ラスベガス―ロサンゼルス間を結ぶ「高速鉄道建設計画」に1億ドル(約106億円)を投入すると発表していた。
 このプロジェクトは中国の米国における最初の高速鉄道の受注となり、早ければ今年9月にも着工予定だった。
 ある専門家はこのプロジェクトの総価値は50億ドル(約5340億円)に上ると見ている。

 また昨年9月の習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪米直前にメディア向けに開かれた「米中経済協力プロジェクト」の説明会の際、今回の米高速鉄道建設計画は中国当局によって米中経済協力による3つの重要な成果の1つと位置づけられ、その後習主席が訪米で達成した49の成果の1つにも選ばれていた。

 今回のプロジェクト中止に関し、エクスプレスウエストはその理由として中国企業側の計画の遅れを挙げた。
 この他、米連邦政府が米国の高速列車は国内で製造し関係部門の監督指導を受ける必要があると規定したことも理由の一つだという。

 中国鉄路国際の幹部は匿名ながらまだ話し合いを進めている最中にエクスプレスウエストが声明を出したことについて「無責任だ」と批判。
 中国は目下高速鉄道技術の輸出を目指し、日本の新幹線とも海外で激しい受注競争を繰り広げているが、タイやメキシコなどでも計画が頓挫している。
』

『
読売新聞 6月12日(日)9時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160612-00050025-yom-int

米中合弁の高速鉄道計画が頓挫
…中国側は反発

 【北京=五十嵐文】
 中国が米国で手がける初の高速鉄道として注目された米西部のネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州ロサンゼルスを結ぶ全長370キロの高速鉄道の建設計画について、米側の事業者が中国企業連合との合弁を解消し、頓挫したことがわかった。

 同路線は昨年9月、中国の習近平(シージンピン)国家主席の訪米直前に、米エクスプレス・ウエスト社と中国国有企業「中国鉄路総公司」が率いる中国企業連合の合弁事業として推進することで合意していた。
 今年9月にも着工予定だった。

 だが、エクスプレス社は今月8日、合弁解消を発表。中国企業連合による認可取得が難しく、工事に遅れが生じることなどを理由としており、米連邦政府が高速鉄道車両の「米国内での生産」を求めていることも障害だと指摘した。

 中国企業連合は10日、一方的な合弁解消は
 「無責任であり、反対」
とする声明を国営新華社通信を通じて発表した。
』

『
サーチナニュース 2016-06-13 11:32
http://biz.searchina.net/id/1611852?page=1

中国高速鉄道の「夢」、
米国企業が提携打ち切りで「無責任だ!」=中国報道 

 高速鉄道の輸出を推進する中国にとって、米国への輸出は悲願だったはずだ。
  米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道建設に向け、米国企業と協業していた中国だったが、米企業のエクスプレスウエスト(XpressWest)社はこのほど、中国企業との提携を「打ち切る」と発表した。

 中鉄国際集団との提携を打ち切った理由について、エクスプレスウエスト社は「中鉄国際集団の行動が遅いうえに、必要な承認を得ることに苦労しているため」としているが、中国メディアの新華社はこのほど、
 「一方的に提携を打ち切ることは、責任のある態度ではない」
と批判する記事を掲載した。

 記事は、中鉄国際集団とエクスプレスウエストは2015年9月に米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道計画のために提携したことを紹介し、
 「公式発表を行う場合は、必ず相手方の同意を得ることが提携内容に持ち込まれていたはずだ」
と主張した。
 さらに、エクスプレスウエストが中鉄国際集団との提携打ち切りを発表したことは「一方的である」と強く批判したうえで、さらに
 中鉄国際集団の「事業を速やかに進める能力」について疑問を呈したことに対し、
 「承服できるものではない」
と主張した。

 また記事は、中鉄国際集団はエクスプレスウエストと提携して以降、
 「エクスプレスウエストによる各種要求に対して、我慢強く交渉を行ってきた」
と主張し、中国側は一部の米国人が高速鉄道を建設したいという願いを理解し、支持してきたと主張。
 「提携における誠意とは、相手方の要求に無条件に応じることを指すものではない」
と反論した。

 エクスプレスウエストが提携打ち切りを発表したことに対し、「誠実さと信頼こそビジネスの基盤」であると主張し、エクスプレスウエストが一方的に提携を打ち切ったことは「自らの信用に傷をつける行為である」と主張した。

 記事が指摘した「誠実さと信頼こそビジネスの基盤」というのは真実だ。
 だが、中国は鉄道インフラの輸出事業において、ベネズエラやフィリピンなどで中国の事業が頓挫しているように、必ずしも誠実な事業推進ができていないのは中国側も同様ではないのだろうか。
』

『
サーチナニュース 2016-06-14 07:19
http://news.searchina.net/id/1611911?page=1

軌道修正を迫られる中国高速鉄道、
米国進出の夢が「頓挫」の危機=中国

 米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道建設に向け、中国企業の中鉄国際集団は米企業のエクスプレスウエスト(XpressWest)社と提携していたが、エクスプレスウエストはこのほど、中国企業との提携を「打ち切る」と発表した。

 中国国内では提携打ち切りに対して動揺が広がっているが、中国メディアの捜狐は
 「米国はなぜ中国側との高速鉄道分野における初の協業を打ち切りにしたのか」
と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、エクスプレスウエストの突然の提携打ち切りに対し、「さまざまな憶測が広がっている」と伝え、エクスプレスウエスト側は「中鉄国際集団の行動が遅いため」と発表しているものの、最大の問題は
 「米国政府が高速鉄道を米国内で製造するよう要求し、
 さらに米当局の許可を得ること」
だったと指摘した。

 米国国内ではこれまで高速鉄道が製造されたことはないため、
★.実際に製造するとなればすべてを一から準備する必要があり、相当の時間が必要となる
ことは想像に難くない。
 また、
★.資金調達も課題の1つだった
とし、
★.米国が公的資金を投入するとなれば、米国側の規格を採用することが求められる
と主張する一方、
★.「中国側には規格に合致する鉄道を作る技術はない」
と論じた。

 中国高速鉄道の輸出が頓挫したのは今回が初めてのケースではなく、メキシコでも受注が一旦決まった後に取り消しになった。
 さらにベネズエラでも中国が手掛ける高速鉄道事業はすでに頓挫しているほか、タイも中国側の資金を受け入れずに自国の資金で建設すると発表するなど、中国の高速鉄道輸出をめぐる計画は波乱続きとしか言いようのない状況だ。
 中国は高速鉄道の輸出事業において戦略の軌道修正を迫られている。
』

『
Record china 配信日時:2016年6月13日(月) 21時20分
http://www.recordchina.co.jp/a141295.html

「高速鉄道はこちらが頼んでまで輸出するものではない」
米側の違約に中国メディアは強気
=中国ネット「そら始まったぞ」「ビジネスとはそういうもの」

 2016年6月13日、米企業エクスプレスウエストが中国鉄路公司との高速鉄道建設計画の中止を発表したことについて、中国メディアは
 「高速鉄道はこちらが頼み込んでまで輸出するものではない」
 「米国側の違約は自分たちの利益を損ねる」
と強気の姿勢を示している。

 中国紙・人民日報は、専門家の話を引用しながら
 「中国の高速鉄道の製造、建設および運営は世界の注目を集める成果を上げており、コストパフォーマンスでの優勢は明らか。
 現地の経済や社会の発展に大きく貢献する」
と胸を張る。
 そして、
 「米国側が突然、一方的に契約を破棄したことの本質は保護貿易主義である。
 こうした無責任な行為はビジネスにおける信用に打撃を与えるだけでなく、沿線の米国民にとっても利益にならない」
と批判している。
』

『
人民網日本語版  配信日時:2016年6月14日(火) 17時30分
http://www.recordchina.co.jp/a141373.html

米中高速鉄道計画が白紙に
=米側の一方的行為―中国メディア

  中国・米国間初の高速鉄道建設プロジェクトが打ち切りになり、各方面の注目を集めている。
 米国側のエクスプレスウエスト社が突然、一方的に契約をうち切ったもので、発表された公告には、
 「中鉄国際集団の米国法人とともに合弁企業を設立し、カリフォルニア州南部とラスベガスを結ぶ高速鉄道を建設する計画は今後継続しない」
とある。
 専門家は、
 「中国の高速鉄道は製造、建設、運営の各方面で世界中が驚くような成果を挙げており、コストパフォーマンスの優位性は明らかだ。
 プロジェクトが完成すれば、現地の経済・社会の発展に対して非常に大きな牽引作用がある。
 米国側が突如、一方的に契約をうち切ったことの本質はやはり保護貿易主義だ。
 こうした無責任な行いは米国のビジネス上の信頼を損なうだけでなく、ひいては鉄道沿線の米国国民の利益を損なうものといえる」
と話す。

■米側の契約違反は承伏できない 

 握手から手のひらを返すまで、1年もかからなかった。
 2015年9月、エクスプレス社は中鉄国際との間で合弁会社設立をめぐる交渉をスタート。
 狙いはネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州ロサンゼルスを結ぶエクスプレス社の高速鉄道プロジェクトの開発、資金調達、建設、運営準備を支援してもらうことにあった。
 また沿線各地に駅を設置して、沿線住民がかねてより頭を痛めてきた交通渋滞の緩和を目指した。
 鉄道は全長370キロメートルで、総投資額は127億ドル(約1兆3480億円)に上り、もともとの計画では今年9月に着工するはずだった。

 米側は突然の打ち切りについて、
 「米国連邦政府の『高速鉄道は米国で製造されたものでなければならない』との規定がプロジェクト推進の最大の障害になった」
との見方を示す。
 国内外の複数の専門家は、
 「さきに双方が調印した合意の規定では、合意の発表でも取り消しでも、必ず双方が一致して同意することが必要だとされていた。
 エクスプレス社が『突然の攻撃』を行ったことは明らかに契約違反であり、その述べる理由も承伏できるものではない」
との見方を示す。
 中国国際問題研究院米国研究所の滕建群所長は、
 「エクスプレス社が提携をうち切ったのは主として連邦政府の反対を踏まえてのことだ。
 米国の鉄道建設に他国を関与させないというのは、実に保護主義の具体的な現れだ」
と話す。

 米国コロラド大学デンバー校金融学部の代表を務める楊堅名誉教授は、
 「米国企業が突然、一方的に契約をうち切るというやり方は、米国がビジネス取引でこれまでずっと大切にしてきた契約の精神に明らかに違反する。
 もともと双方が契約を結ぶことができたのは、ビジネスの上で米国企業にもメリットがあるからだった。
 よって考えられるのは、米国の大統領選挙の年にしばしば強化される政治的要因などのビジネス以外の要因が、正常なビジネス上の方針決定を邪魔したということで、米国企業を含む関係者のビジネス上の利益が損害を受けることになる。
 また同時に、これは中国企業の対米投資が政治的リスクにぶつかる具体的なケースでもある」
と指摘する。

■中国高速鉄道の実力は高い

 それでは中国高速鉄道の頓挫はその競争力の弱さを物語るものだろうか。
 各方面の情報を総合すると、中国高速鉄道の優位性は十分に明らかだという。

 中国工程院(工学アカデミー)の王夢恕院士は、
 「中国の高速鉄道技術には3つの優位点がある。
 第1に、軌道やトンネルの建設技術の高さで、さまざまの複雑な状況に対応できる能力を備える。
 たとえば温度差の大きい状況でもレールが変形しないことを保証できる技術がある。
 第2に、中国の高速鉄道の技術チームは厳しい試練をくぐり抜けてきた屈強なチームだ。
 第3に、中国高速鉄道の建設コストはライバルよりも低く、試算では他国の33〜50%ほどで建設できる」
と話す。

 価格だけでなく、中国高速鉄道技術のもつ強みは世界に冠たるものといえる。
 「列車の頭脳」と言われる列車のネットワーク制御システムを例に取ると、従来の技術では帯域幅と伝送速度の影響で、基本的な列車のコントロールと機能診断のデータの伝送しか行えなかったが、情報化の発展によりこの「頭脳」への要求がますます高まり、ボンバルディアやシーメンスなどの国際大手もこの分野の研究開発をことのほか重視するようになった。
 さきには中国中車株洲電力機車研究所有限公司が独自に開発した世界的な次世代列車ネットワーク制御システムが、時速380キロメートル級の中国製標準動力ユニットへの搭載テストに成功し、中国高速鉄道は「最強の頭脳」を備えるようになった。

 中国国家発展改革委員会対外経済研究所国際協力室の張建平室長は、
 「一方で、メードインチャイナの海外進出の最も輝かしい名刺である中国高速鉄道には、独自の知的財産権、全産業チェーンをカバーする優位性、最良のコストパフォーマンスが備わっている。
 また一方で、高速鉄道の建設はシステム工学であり、カバー面が広いため、推進プロセスで紆余曲折があるのはごく当たり前のことで、冷静に対処する必要がある」
と話す。

■貿易障壁は取り除かれるべき 

 高速鉄道は人々が都市から都市に移動するために早くて便利な選択肢を提供するだけではなく、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する有効な方法の1つでもある。
 ここ数年、中国は30カ国との間で高速鉄道をめぐる協力や話し合いを進めており、「相互に接続する協力圏」がトルコ、サウジアラビア、イラン、タイ、ラオス、マレーシア、ブラジル、ロシアなどの国に広がる。

 アナリストは、
 「中国は関連国の高速鉄道建設の現実的なニーズと要望を理解しており、中国がもつ優位性を積極的に発揮して各国市場に進出している。
 これは中国企業の利益源を開拓拡大するためばかりではなく、当事国がインフラ水準を引き上げるのを支援し、現地の人々に経済発展の実質的な恩恵をもたらすことにもつながる。
 関係各方面は、中国が『相互利益・ウィンウィン』の考え方に基づいてさまざまな努力をしていること、一方的に相手側に何かしてもらおうと考えているのではないことを冷静に認識し、ビジネスで中国がみせる誠意に公平に対応するべきだ」
と指摘する。

 張室長はさらに進んで、
 「これまでの米中双方の枠組合意と進展ぶりを考えると、数多くの敏感な問題はすでに考慮済みのはずだ。
 突然の契約打ち切りは貿易摩擦の延長だといえる。
 注意しなくてはならないのは、高速鉄道産業は鉄鋼や電気設備など川上から川下に至る多くの製品を大量に必要とするのが常で、米国が今回のプロジェクトを頓挫させて自国の関連産業を保護し、この機会に中国製造業の勢いを挫こうという動機を抱いていることは実にはっきりしている。
 ただ現在、米国のインフラは相対的に後れており、こうしたやり方は米国国民の長期的な利益に合致しない」
と分析する。

 楊名誉教授は、
 「第二次世界大戦以降、米国はずっと国際社会で自由貿易と投資を推進して大きな利益を得てきた。
 特別にはっきりした技術的理由がない限り、米国が作った高速鉄道でなければ認可されないという強制力をもった制限は、隠された貿易障壁であるとの疑いを免れない。
 米国側は中国企業とウィンウィンの取引を進めることにもっと慣れるべきだし、中国側は国際投資や国際貿易における政治的リスクの存在を意識してこれを効果的にコントロールしなければならない」
との見方を示す。

(提供/人民網日本語版・編集/KS)
』

『
サーチナニュース 2016-06-16 07:09
http://news.searchina.net/id/1612098?page=1

中国高速鉄道の米国進出の夢が危うく
「米政府が陰で糸を引いている?」=中国

 中鉄国際集団と米国のエクスプレスウエスト(XpressWest)社が協力して米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道を建設する計画は、8日にエクスプレスウエスト社が提携を打ち切ると発表した。
 中国側にとっては米国進出の夢が危うくなったことを意味するものだ。

 中国メディアの環球網は11日、
 中国高速鉄道の輸出プロジェクトがこうした障害にぶつかるのは予期すべきことである
と主張している。

 中国高速鉄道の輸出プロジェクトは「もとより普通のビジネスではない
と記事は説明、
 「政治的、経済的、地縁的利益、また他国による攪乱などの要素が障害となることを免れることはできない」
と指摘。
 それゆえに今回の件で「気落ちする必要も、また順調にいかないことで他者にうらみをぶつける必要もない」との見方を示した。

 それでも記事はエクスプレスウエスト社には1つの思惑があると説明、
 「提携終了を持ちだすことによって中国側に契約内容の修正を迫り、
 ビジネス上でより大きな利益を得ようとしている可能性が高い」
と分析した。

 さらに記事は、
 「もし今回のプロジェクトの失敗が確定した場合、
 クスプレスウエスト社は契約違反の賠償金を支払うことを抜きにしても、これまでに投入した費用をすべて無駄にすることになる」
と説明、そしてこれは「利潤を追求する民間企業の考え方とは符合しない」と指摘。
 記事は「米国政府とエクスプレスウエスト社が影で話し合った」可能性に言及、米国政府が陰で糸を引いているという見方を示した。

 タイ、ベネズエラ、そして今回の米国でのプロジェクトはともに建設工事に入る前の段階で障害にぶつかる形となっている。
 中国側は中国高速鉄道の性能に対して大きな自信を抱いているが、それでもこうした挫折が起きるということは、記事が指摘しているとおり、政治的要素が絡んでいる可能性も否めないが、安全性をはじめとする性能に懸念があったという可能性も排除できないのではないだろうか。
』

『
サーチナニュース 2016-06-18 08:09
http://news.searchina.net/id/1612304?page=1

中国高速鉄道の輸出は「挫折」の連続、
だが「性能や技術の問題じゃない」=中国

 新幹線の輸出を推進する日本と同様に、中国も高速鉄道の輸出に力を入れている。
 インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画は日中の受注競争のすえに、中国の受注が決定したが、それ以外の国では中国高速鉄道は「挫折続き」となっている。

 米西部ネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州ロサンゼルスを結ぶ高速鉄道計画において、米企業がこのほど中国企業との提携打ち切りを発表したほか、メキシコやベネズエラなどでも中国高速鉄道の建設計画は頓挫、タイ政府も高速鉄道の建設で中国側の資金を受け入れないと発表するなど、中国の輸出計画には問題が相次いで発生している状況だ。

 中国メディアの捜狐はこのほど、中国高速鉄道には営業距離をはじめ、さまざまな世界一があると主張する一方、それでも輸出計画に失敗続きであることに対して
 「中国高速鉄道を貶めようとする言論が存在する」と主張、
こうした言論に警戒すべきであると論じた。

 記事は、米国やメキシコ、ベネズエラなどで計画が頓挫したことに対し、「あくまでも政治や経済、文化などを背景にした頓挫」であるにもかかわらず、一部で中国高速鉄道の技術や性能、さらには安全性に懸念があったためと問題をすり替えようとする言論が存在すると主張した。

 さらに、これだけ問題続きであるにもかかわらず、中国高速鉄道の技術力には今なお自信を抱いているようで、記事は「他国の高速鉄道に比べ、最速で発展してきた中国高速鉄道は中国が莫大な知的財産権を持ち、一連のシステムが完備され、営業速度も速いという事実は、誰も否定することはできない」などと主張。
 中国高速鉄道の輸出に対しては「自信と忍耐を持ち続けるべき」としたうえで、「計画頓挫という機に乗じて、中国高速鉄道を貶めようとしている」勢力が存在すると主張し、こうした言論が広がることに警戒心を示した。
』
 「私は間違っていない、周りが悪い」
と、声高に主張してもどうなるものでもない。
 「なぜ、そうなったのか」を真摯に反省し、そこから新たな戦略を導きだすというのが、経験法則であろう。
 それをなさない限り、犬の遠吠えで終わってしまう。


『
Record china 配信日時:2016年6月13日(月) 18時0分
http://www.recordchina.co.jp/a141292.html

中国高速鉄道の米国進出なるか?
「エクスプレスウエストはダメでもカリフォルニア高速鉄道がある!」―中国紙

 2016年6月13日、南方日報によると、米カリフォルニア州で計画されている高速鉄道建設プロジェクトに関し、同州高速鉄道局(CHSRA)はエクスプレスウエスト社と中国企業との協力打ち切りは現在の中国との交渉に影響しないとの考えを示した。

 北部のサクラメントと南部のサンディエゴを結ぶ同鉄道は路線総延長がおよそ1280キロ。
 CHSRAは昨年、サンフランシスコからロサンゼルスまでの第1期の建設プランについて国内外の企業から意見を募集した。
 これに対し、中国を含む36の企業やコンソーシアムが反応。
 CHSRAは過去数カ月にわたり、企業側と1対1の話し合いを行ってきた。
 現時点で線路、車両、通信など主要部分に関する一括した案を提示しているのは中国だけで、関係者からは「中国企業の入札を歓迎する」との声が上がっているという。

 一方、ネバダ州ラスベガスに本部を置くエクスプレスウエスト社は昨年9月、ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ高速鉄道建設に向けて中国鉄路公司と合弁企業を設立することで合意していたが、今月9日に合弁解消を発表。
 中国側が計画に必要な承認を取り付けるのに時間がかかっていることなどを理由として挙げた。
』

『
カリフォルニア高速鉄道
 
● google画像から
』


『
サーチナニュース 2016-06-16 11:32
http://biz.searchina.net/id/1612137?page=1

リスク評価が甘かった!
中国念願の「米国への高速鉄道輸出」が頓挫した理由

 中国初となるはずだった米国での高速鉄道建設プロジェクトが、米国企業側による突然の提携打ち切りで白紙となった。
 この件に関連して、中国メディアの第一財経はこのほど、「高速鉄道はリスクアセスメントを強めるべき」と題して、中国側の問題点を分析する記事を掲載した。

 今回、中国企業の中鉄国際集団と合弁で高速鉄道を建設する予定だった米エクスプレスウエスト社は、提携解消の理由について
  「高速鉄道車両の米国内での生産を求める米政府からの認可取得が難しい」
ことなどを挙げた。
 記事は、この件で中国高速鉄道の海外進出に共通した「リスクアセスメント不足」という問題が浮き彫りになったと指摘した。 

 記事はまず、顕著なリスクとして「投資先の国情をよく理解していなかった」ことを指摘。
 自動車大国で、高速道路の9割以上が無料の米国では、近距離では自動車で移動することが多い。
 長距離では発達した空路を利用するため、新たに鉄道を敷いても利用率低下の懸念があり、中国が考えるほど米国は高速鉄道を歓迎していたわけではなかったとした。

 さらに、別のリスクとして「金融リスク」を挙げた。
 記事はメキシコの高速鉄道プロジェクトの例を挙げ、すぐに現地で合弁会社登録を行わないことが問題だと指摘。
 合弁会社を設立すれば、投資国側はすでに投資を行ったわけで、地元政府や世論の圧力を抑えられるメリットがあると論じた。

 最後に、根本的な問題として記事が指摘したのは「国際的な視野を持った人材の不足」だ。
 専門的な外国語と海外プロジェクトのマネジメントができる人材と、
 国際民商事法に熟知し国際ビジネス商談に精通した人材が欠けていたこと
が大きな問題だったとし、こうしたリスクが顕在化した結果として、中国にとって念願の米国への高速鉄道輸出が頓挫したのだと指摘した。

 しかし記事は、中国には研究開発から製造、施工、建設に至るまでワンストップで高速鉄道を輸出できる能力があり、「中国高速鉄道は日本やドイツの成熟した技術の基礎の上に改良を加えたものであり、経験やコストの面で勝っている」と主張した。
 強気の発言をしてはいるものの、今回の提携打ち切りは中国にとって大きな打撃だった
のは間違いなさそうで、失敗の理由を分析する記事や、提携先だった米企業を批判する報道が相次いでいる。
』

『
サーチナニュース 2016-06-17 07:39
http://news.searchina.net/id/1612204?page=1

中国高速鉄道の世界進出を困難にする3つの「ジャマ」=中国メディア

 中国メディア・新浪は13日、米国の高速鉄道建設において中国との建設協力計画が頓挫したことを紹介したうえで、中国高速鉄道の世界進出が困難になっている原因について論じた文章を掲載した。

 文章は、米中合弁の高速鉄道建設が中止に追い込まれた理由として米国側が
★.「種々の困難に直面し、関連項目において中国側が米国政府からの許可を得られなかった」
としたことを紹介。
 中国の高速鉄道は1キロメートルあたりの建設コストが世界平均の約半分という大きな武器を持っているにもかかわらず、「経済以外の要素による干渉を非常に多く受けている」として、具体的な要素を3点示した。

★.1点目は、「各国による高速鉄道建設の政治化が著しい」こと。
 米中プロジェクトの挫折は政党間における利害意識の違いによるものである可能性が高いとしたほか、タイの「高速鉄道とコメを交換する」プロジェクトでも、インラック政権が崩壊してできた軍政府が「違憲」と判断を下し、メキシコのプロジェクトも野党の反対で破談になったと紹介した。

★.2点目に示したのは、「国外の労働、環境保護、文化に関する大きな影響」だ。
 中国が日本に競り勝って受注したインドネシアのプロジェクトは、土地収用、環境保護が原因で棚上げ状態となっており、サウジアラビアの都市鉄道プロジェクトでは、現地の法規や習俗に対する中国側の理解が不十分だったため、工期が遅れて人的コストも倍増したと解説している。

★.そして3点目は「日本の存在」だ。
 インドの高速鉄道建設において日本が受注して中国が失注した理由について、
●.日本政府が提供した条件がインドにとってより良いものであった点
に加え、
●.日印関係が中印関係よりはるかに良好なもので、
 中印関係は「協力よりも競争の方が大きい」という状況があったことを指摘した。

 文章は最後に、中国高速鉄道の建設能力は日増しに強まり、建設コストの優位性も明らかであるが、
 「重要なインフラプロジェクトとして非経済的な要素の干渉を受けやすい」ため、今後もなおリスクや試練に直面することになると結んだ。

 高速鉄道をはじめとする大規模なインフラ開発プロジェクトは、単にその受注金額だけに留まらない大きな価値と意味を持っている。
 それゆえ、中国も世界進出に躍起になり、日本をはじめとする鉄道先進国も受注を目指して火花を散らし合うのだ。
 中国は国力や地域に与える影響力が非常に強いゆえ、インフラ建設ニーズを持つ各国はより慎重に受注の可否を検討、判断せざるを得ない、という点も中国側は十分に理解しておかなければならない。
 よりスムーズに世界進出を実現したいのであれば、相手のことを十分に理解したうえで、相手の緊張をほぐしていく姿勢を持つことだ。
』

『
サーチナニュース 2016-06-19 08:11
http://news.searchina.net/id/1612315?page=1

中国高速鉄道、米進出の夢絶たれ
・・・「国内整備も見なおすべき」=中国

 中国メディアの財新網はこのほど、米西部での高速鉄道建設に向けた米企業と中国企業との提携解消を受け、解消の経緯や今後の中国高速鉄道の輸出計画について考察する記事を掲載した。

 記事はまず、米企業が提携打ち切りを発表したのは「米政府が高速鉄道を米国内で生産することを求めている」ためと指摘する一方、中国企業が米ボストンの地下鉄車両を受注するなど、必ずしも「米国内で生産すること」という条件に合致しない案件も受注した過去があることを指摘し、「高速鉄道を米国内で生産することを、米政府が求めている」という理由で、米企業が提携解消を発表したことに不満を示した。

 記事は、中国高速鉄道の輸出が近年、相次いで問題に直面している理由を考察。
★.まず最初に挙げたのは「国外に市場がない」ということだ。
 当然ながら、高速鉄道は建設や運営、維持管理に多額の費用がかかる。
 「現在世界中で日本の東海道新幹線だけが唯一の例外」として成功しているが、
日本のように人口の密集した地域は少なく、
 初期投資が莫大で、黒字化が容易ではない高速鉄道輸出はもとから簡単なことではないと説明した。

★.さらにに「政治的リスク」も高速鉄道輸出を困難にしている要因として挙げている。
 中国は以前、メキシコで高速鉄道建設を受注したが、後にメキシコ政府が取り消しを発表。
 タイにおいても政変をきっかけに、中国の資金提供については拒絶されることになってしまった。

 今回の米国での計画は、高速鉄道輸出の「成功例」として大々的に宣伝する報道も多かっただけに、中国としてはショックは大きいようだ。
 中国高速鉄道の建設が各国でスムーズに行われていないことを考えると、今回の計画中止もある意味で自然とも思えるが、
 中国国内における高速鉄道のさらなる整備計画を打ち出した13次5カ年計画についても記事は、
 「巨額の債務と過剰生産能力をもたらす」
として、見なおすべきではないかと主張している。
』

『
WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年06月22日(Wed)  土方細秩子 (ジャーナリスト)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7030

米中高速鉄道が頓挫した理由

 中国は現在積極的に世界の高速鉄道建設に乗り出しているが、米国での計画に黄信号が灯った。
 昨年9月、ネバダ州ラスベガスに本拠を置くエクスプレス・ウエスト社と中国国営鉄道企業の米国子会社である中国鉄路国際(CRI)の間にラスベガスーロサンゼルス間の高速鉄道建設に関する契約が結ばれた。
 内容は総工費80億ドルのうちCRIが1億ドルを初期投資、その後鉄道建設、車両納入、運営、さらには融資に至るまでをCRIが請け負う、というものだった。


●エクスプレス・ウエスト

■突然白紙に戻される

 今年9月から着工が発表されていた計画が、突然白紙に戻された。
 エクスプレス・ウエストCEO、トニー・マーネル氏は声明の中で
 「連邦政府による認可を取得するのが困難なこと、
 中国側が期日通りに計画を進めることに支障を来していること」
の2点を契約破棄の理由に挙げた。

 鉄道事業には通常州政府の認可と連邦政府の認可、双方が必要だ。
 高速鉄道計画の場合、連邦政府が全米を網羅する鉄道網を計画、ラスベガスーロサンゼルス間の高速鉄道は将来カリフォルニア州の高速鉄道、さらにはアリゾナ州までを結ぶ「米南西部」の第三フェーズに組み込まれている。
 州間事業となるため、連邦政府の認可が必要となる。

 ネバダ州は昨年11月すでに鉄道計画を認可、建設へのゴーサインを出した。
 しかし連邦政府は「高速鉄道車両は米国内での生産に限定する」という規制方針を打ち出した。
 現在、列車生産を行う米企業はない。
 つまりCRIが現地法人として米国内に生産拠点を持ち、輸入ではない国産として列車を製造できなければ計画は前に進めないことになる。

 州内のローカル列車やアムトラックでは
 日本製、ドイツ製、イタリア製、スペイン製、カナダ製の車両がすでに導入されているが、これらは現地法人で現地生産の体制が整っている、あるいは連邦政府による特例が認められている。
 しかし比較的新規の中国企業に対し、こうした特例が認められる可能性は低い。

 より大きな問題は、エクスプレス・ウエストが中国側に対し不信感を抱き始めた、という点にある。
 同社はCRIについて
 「タイムリーに、かつ効率的に作業を進める能力に欠く」
と批判。
 「将来CRIが米国内においてある程度の成功を収めるだろう、と予想はするが、
 現時点でエクスプレス・ウエストの事業スピードには合致しない」
としている。
 また、昨年9月の契約当初はCRIとのみ、だったものがCRI側がその後関連中国企業との連携、合併などを強めたことで、連邦政府の認可を取るのが困難になった、とも述べている。

 これに対し中国政府が猛反発している。
 CRIの親会社でもある中国鉄道国際は契約破棄のニュースに対し
 「重大なミステイクであり、無責任な行動」と批判。
 「まだCRIとエクスプレス・ウエストとの交渉が続いている段階で、一方的に契約終了を発表したことは契約違反であり、今後法的手段に訴える」とヒートアップ。

 一方のエクスプレス・ウエストは
 「CRIとの契約は終了したが、高速鉄道を諦めるつもりはない」
と早くも次の段階に着手している。
 中国からの融資、というオイシイ話がなくなった現在、
 まず必要なのは資金の手当てだ。

■ウルトラCが登場?

 そこでウルトラCが登場するかもしれない。
 なんとエクスプレス・ウエストは北ラスベガスにテストレーンを設置した、ハイパーループ・ワン(旧社名ハイパーループ・テクノロジー)と協議を行った、というのだ。


●ハイパーループ・ワン

 ハイパーループとは、テスラCEOイーロン・マスク氏が考案した「鉄道よりも大幅に安く高速移動が可能になる乗り物」のこと。
 チューブの中に磁気とエアシューターによって時速800キロで移動するカプセルを浮かせ、人や物を運ぶ、というものだ。
 マスク氏によると
 「ロサンゼルスーサンフランシスコ間を30分で移動できる。
 建設費は80億ドル(カリフォルニア州の高速鉄道計画事業費は10倍以上の860億ドル)」
という。

 このマスク氏のアイデアに沿い、独自にハイパーループを建設、実験しているのがハイパーループ・ワンだ。
 実験設備がラスベガスに近いこともあり、建設コストの少なさ、「米国産」であるため連邦政府の規制にも引っかからない、など、もし実現できるならばハイパーループは未来の高速鉄道事業を根本から変える存在になるかもしれない。

 エクスプレス・ウエスト側は
 「あくまでも地上の線路による高速鉄道を計画している事実に変わりはない。
 しかしあらゆるオプションを検討すべきだと考える」
とハイパーループとの協議について語っているが、その詳細は明らかにされていない。

 世界初のハイパーループがネバダ州で建設されることになるのか、あるいは日本など他国の鉄道システムが導入されることになるのか。
 それともエクスプレス・ウエストの計画そのものが白紙撤回される結果となるのか。
 そして中国側の今後の出方は、など、今後の展開に注目が集まる。
』

『
サーチナニュース 2016-08-29 22:15
http://news.searchina.net/id/1617518?page=1

米国はなぜ中国高速鉄道を放棄したのか!
「あの事故のイメージか?」=中国報道

 国家戦略として高速鉄道の輸出に力を入れてきた中国は、これまで複数の国で受注に成功してきた。だが、輸出事業が順調と呼ぶには程遠い状況で、メキシコに続いて米国での計画も白紙になった。
 米国のプロジェクトに関しては、先進国への輸出ということで中国も力を入れていたが、白紙になったことの落胆と怒りは大きかったはずだ。

 米国企業が中国側との提携解消を発表し、中国側にとっては米国進出が水の泡となったことについて、中国メディアの捜狐は25日、米企業側の一方的な発表を「無責任な契約違反」だと怒りをにじませつつ、なぜ米国が中国の高速鉄道を放棄したのか、中国はそれをどう受け止めるべきかを考察する記事を掲載した。

 記事は、米国企業が提携解消に動いた背景には、
★.高速鉄道の建設後にメンテナンスなどすべて中国に頼らざるを得なくなる中国式のビジネスモデルを嫌ったこと、
★.さらに政治的要因も関係しているはずだ
と考察したほか、
★.中国高速鉄道の衝突事故も今なお暗い影を引きずっていること
を指摘。
 中国では事故後に車体を埋めればそれで済むかも知れないが、米国で同じことをしたら国会や世論が黙っていないということだ。
★.結局のところ「メード・イン・チャイナの評判が良くないこと」
が問題だったと論じた。

 ほかにも
★.米国には高速鉄道に対する切迫したニーズがないことや、
★.超高速、安全、エコ、しかも安価だという次世代高速鉄道「ハイパーループ」構想があること
も要因として列挙。
 しかし記事は、今回の白紙撤回は残念ではあるものの、今は忍耐の時であり、50年、500年かかるかも知れないが「真面目にコツコツ、世界レベルでの信頼を勝ち取ることが先決だ」と説いた。

 記事が指摘しているように、
 2011年に中国が高速鉄道事故後にみせた
 「車両を埋める」という荒業には日本をはじめ世界が唖然
とした。
 実際、高速鉄道の事故はフランスやドイツでも起きており、死亡事故のない日本のほうが異例であって、ましてや運用し始めて間もない中国が事故を起こしても不思議ではなかった。
 しかし、あの事故後の中国の処理方法が世界にマイナスイメージを与えたことは否めず、今後もそのイメージを引きずることになるのかもしれない。
』




【2016 異態の国家:明日への展望】


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中国共産党墳墓都市の計画:

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 中国皇帝は死ぬ前に陵墓を建設する。
 それで国家は疲弊し、帝国は崩れる。
 この都市計画はおそらくGDP維持と、増大する失業者を救済するものであり、いわゆる財政出動・公共投資ということになるのだろう。
 距離の優越感に浸るだけの効果しかない赤字高速鉄道のむちゃくちゃな建設、一帯一路という世界政治情勢無視の夢物語、ゴーストタウンやもろもろの過剰生産、そしてこの都市計画とみてくると、奈落に突っ走っているとしか思えない。
 中国共産党は自らの墳墓都市を建設しようとしているのであろうか。
 資金が底をつくときが終焉であろうか。


『
人民網日本語版配信日時:2016年6月10日(金) 20時10分
http://www.recordchina.co.jp/a140863.html

中国の国家計画機関、2030年までに長江デルタ都市群を建設
=世界に影響力―中国メディア


●中国の国家計画機関がこのほど、2030年までに長江デルタ都市群を建設、世界的な影響力を備えた世界レベルの都市群を完成させるという壮大な計画を明らかにした。資料写真。

 中国の国家計画機関がこのほど、2030年までに長江デルタ都市群を建設、世界的な影響力を備えた世界レベルの都市群を完成させるという壮大な計画を明らかにした。
 参考消息網が伝えた。

 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、
 安徽、江蘇、浙江各省の大都市と上海を都市群発展計画に組み入れることが、本計画で初めて明確に示された。

 本計画は、
 上海、江蘇省内9都市(南京、無錫、常州、蘇州、南通、塩城、揚州、鎮江、泰州)、浙江省内8都市(杭州、寧波、嘉興、湖州、紹興、金華、舟山、台州)、安徽省内8都市(合肥、蕪湖、馬鞍山、銅陵、安慶、●(●はさんずいに除)州、池州、宣城)
が対象となっている。

 これらの都市の人口は全国総人口の11%を占め、面積は21万1700平方キロメートルと全国総面積の2.2%を占める。

 2014年、これらの都市のGDPは全国GDPの18.5%を占めた。
 計画によると、2020年までには全国GDPの21%、人口は全国総人口の11.8%を、それぞれ占めるようになる見通し。

 国家発展改革委員会(発改委)と住宅・都市農村建設部(省)が発表した本計画の主旨は、経済活力を高め、イノベーションを奨励し、都市・資源の利用効率を高め、高級専門人材を招致することにある。

 本計画は、都市間の密接な連携に関する青写真だ。
 その主旨は、2030年までにこれらの都市群を世界的な影響力を備えた世界一流レベルの都市群に仕立て上げることにあり、国際舞台で競争を繰り広げる力を擁することを目指す。

 復旦大学産業経済学部の姚志勇・准教授は、
 「この計画には、上海に中心的な役割を担わせること、政府が広く打ち出しているサプライサイドの構造改革において長江デルタ地域にリーダー的な役割を発揮させて同地域の工業生産能力と経験をより多くの隣接都市に普及させることという政策決定者の意図が反映されている」
と指摘した。

(提供/人民網日本語版・編集KM)
』




【2016 異態の国家:明日への展望】


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2016年6月10日金曜日

「裏切りのオバマ」終末の大変身(6):次の焦点は中国の防空識別圏!

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 東シナ海に中国が防空識別圏を設定したとき、オバマはそれを承認する決定を下して、航行する航空機に中国に報告を出すよう求めた。
 これがいわゆる「オバマの裏切り」である。
 日本は」このオバマの決定に従うことを拒否している。
 これ以降、日本はオバマを信用しなくなる。
 日本は表面上はアメリカ頼りを演じているが、裏ではアメリカはいつか日本から離れていくものと踏んでそれに対応する政策を実行に移している。
 よってそこでは、アメリカを使い切れ、というが日本のポリシーになってきている。

 東シナ海の防空識別圏だが、これが実にいい加減なものである。
 設定はしたが、運用にまで至っていない。
 日本は自ら定めた防空識別圏が侵されると判断される航空機があれば、即スクランブルがかかる。
 しかし、中国ではほとんどそれが行われていない。
 なぜなら、それができるほどの戦闘機がないのである。
 まともに動けるのはロシアから購入したモノだけで、これは品質が上質とはいえず、頻繁な繰り返しは耐えられない。
 それゆえ、なんらかのデモ用で使うための虎の子として大事にしている。
 パクリで作った国産戦闘機はエンジンが使い物にならず、離陸して着陸する程度のことはできるが、それは民間機と同じレベルのもの、あるいはちょっと上程度のものである。
 総掛かりでエンジン開発に取り組んではいるものの良い成果は得られていないのである。
 そのため、中国は今、世界中から航空機エンジンの技術者を集めている。
 このニュースはつい最近のものなので知っておられる方も多いだろう。
 中国の戦闘機は戦闘用ではなく、顔見世用として数合わせで作られていし、宣伝されている。
 つまり、面子・ミエで防空識別圏を設定してみたものの、それを運用することがまったくできずにいるのである。
 よく「なぜ日本は中国を恐れないのか」という内容の記事を見かけることがあるが、航空機にせよ、軍船にせよ、
 日本にとっては脅威になるようなものはない、
ということなのである。
 恐れるものがあるとしたら、核兵器とミサイル群であろう。
 これは日本にかかった縛りでどうにもならない。
 中国と同じミサイルを開発することはさほど難しいことではない。
 しかし、これは相手国攻撃用となり、専守防衛を旨にしている日本ではできない相談になる。
 ただもし、中国からのミサイルが一発でも日本に落ちたら、世論はガラリと変わってくるだろう。

 南シナ海でも中国はそのメンツ保持のために防空識別圏を設定するだろう。
 だが、内容は寒々しいモノになる公算が強い。
 設定はしたが運用ができない、というちょっと無様なことになりかねない。

『
Record china  配信日時:2016年6月10日(金) 18時20分

南シナ海、
次の焦点は中国の防空識別圏設置、
米国は繰り返しけん制

 2016年6月10日、南シナ海で実効支配を強める中国が、いつ「防空識別圏」(ADIZ)の設置に踏み切るかが焦点になっている。
 ADIZが時間の問題とみる米国は「安定を破壊する行為」(ケリー国務長官)などと繰り返しけん制。
 中国側は慎重にタイミングを計っているとみられる。 

 南シナ海のADIZについて、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは1日、中国軍に近い筋の話として
 「中国が東シナ海に続き、南シナ海に防空識別圏を設定する準備を整えた」
と報じた。
 設置発表の時期は、米国の軍事プレゼンスや周辺諸国との外交関係など地域の安全保障情勢次第としている。 

 中国外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官も6日の記者会見で、質問に答える形で
 「世界の多くの国々が防空識別圏を設定しているが、これは各国の主権の範囲内のこと」
と言明。
 時期については
 「各方面の要素、特に空の安全の脅威の程度を総合的に考慮する必要がある」
と述べた。 

 これに対し、AFPなどによると、米国のケリー国務長官は5日、滞在先のモンゴルで
 「中国による南シナ海でのADIZ設定は挑発であり、安定を破壊する行為だ」
と発言。
 国防当局者も
 「ADIZ設定は安定を破壊する行動だと中国に明確に伝えている。
 米国は南シナ海におけるあらゆる領有権争いが話し合いを通じて解決できると期待している。
 武力やどう喝で解決すべきものではない」(ワーク国防副長官)
などと再三、警告している。 

 ADIZは海洋に接する国・地域が防空のため独自に設定できる空域。
 領空(沿岸から約22キロの領海上空)よりも外側に張り出して設定されることが多い。
 領空に向かって空域内を飛ぶ航空機には飛行計画の事前提出が求められる。事前通告なしに空域内に侵入した航空機は、戦闘機による緊急発進(スクランブル)の対象となる。 

 日本のADIZは、レーダーサイトや早期警戒管制機などによって24時間体制で警戒。
 千歳基地(北海道)、百里基地(茨城県)、小松基地(石川県)、那覇基地(沖縄県)などでスクランブルに備え、戦闘機が待機している。 

 一方的にADIZを宣言しても、防空体制が整っていなければ「張り子の虎」。
 このため、欧米の軍事専門の一部は中国がADIZを設置する場合、軍事拠点がある海南島に近い西沙(パラセル)諸島周辺から手を着ける可能性を指摘している。 

 南シナ海をめぐっては、今月初め、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、カーター米国防長官は中国を
 「自らを孤立に招く万里の長城を築きかねない」
と非難。
 中国軍の孫建国(スン・ジエングオ)連合参謀部副参謀長は
 「少数の国が混乱を引き起こすことは座視しない」
と反論するなど、対立の深刻さが改めて浮き彫りになった。 

 6、7日に北京で開かれた「米中戦略・経済対話」でも、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が協調を迫ったのに対し、南シナ海について、ケリー長官は「法と外交を通じて解決すべき」と応じるなど、火花が散った。
 こうした中で中国がADIZ設置を強行すれば、軍事的な緊張が一挙に加速するのは必至だ。
』

【参考】
『
CNNニュース 2016.06.11 Sat posted at 15:10 JST

米戦闘機エンジンの中国への密輸で共謀、
女に有罪

香港(CNNMoney) 
 米司法省は11日までに、戦闘機のエンジンや無人機(ドローン)の違法入手と中国への不正輸出を共謀したとして起訴された米フロリダ州在住の女が有罪判決を受けたと発表した。
 8月に量刑が言い渡される見通しで、最大で禁錮20年の判決が下される可能性がある。

 起訴されたのはウェンシャ・マン被告。
 司法省は同被告の身元について詳細を明かしていないが、地元紙の報道によれば、中国生まれで米国籍を取得していたという。
 検察によると、マン氏は中国国内の協力者と共謀のうえ、米航空機エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー社や米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の製造したエンジンを購入し中国に輸出しようとした疑い。
 エンジンの種類はF35、F22、F16など米軍の主要戦闘機に使われているものだという。
 また、ゼネラル・アトミックス社製のドローンの輸出なども図ったとしている。
 マン被告は捜査に対し、協力者は「中国軍のために働く」スパイだと供述。
 この人物は他国から入手した製品をコピーするのが目的で、特にステルス技術に関心を寄せていたという。
 米中間では産業スパイ行為をめぐる事件が問題となっている。
 専門家は、中国は他国の技術を不正に入手することにより、本来であれば何年もかかる研究開発の過程を省略して近代化を加速させていると指摘する。
 ただ、中国政府は産業スパイ行為への関与を再三否定している。

 戦闘機エンジンの性能強化は中国にとって長年の優先事項だ。
 3月の全国人民代表大会(全人代)で発表された第13次5カ年計画には、国産エンジンや航空機の開発と生産が主要な目標として盛り込まれた。
 ただ、これは自国開発が難しい分野で、
 中国は他国からの技術輸入に大きく依存せざるを得ない
のが現状だ。
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2011~15年、中国の兵器関連の輸入の3割をエンジンが占めていた。
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WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年06月10日(Fri)  岡崎研究所

オバマが直面する最終テスト 
中国 スカボロー礁の支配強化 

 ワシントン・ポスト紙が5月8日付社説で、
 中国がスカボロー礁に軍事基地を建設しようとしている件を取り上げ、
 これは中国の南シナ海での行動を増長させるものであり、
 オバマ政権が阻止できなければ同盟国の信頼を失いかねない、
と強く警告しています。社説の論旨、次の通り。


 オバマ大統領は、アジアへのリバランスを外交政策の一つの柱としたが、任期最後の数カ月、中国からの重大なテストに直面するかもしれない。
 習近平はすでに、南シナ海の二カ所で埋め立てを進めている島を軍事化しないとのオバマに対する約束を破っている。
 今や中国は、スカボロー礁に基地を建設することを考えているようだ。
 オバマ政権がこの大胆な一歩を阻止できなければ、地域における米の影響力を強化すべく行ってきたことの多くが駄目になり得る。

 4年前に比から奪取したスカボロー礁の開発は、好戦的な中国の南シナ海における行動を多くの面でエスカレートさせよう。
 これまで、中国の埋め立て、滑走路建設は、中国が既に支配している、中国本土に近い島々で行われてきた。
 スカボロー礁は、中国から約500マイル離れている。
 そこに基地が出来れば、中国はレーダーとミサイルで、マニラと在比米軍に脅威を与え得る。

 最も重要なことは、この中国の冒険は、中国は近隣国との領有権争いの解決において国際法の遵守を拒否する、ということを具現化する点であろう。
 フィリピンはスカボロー礁の奪取に、国連の仲裁裁判所への提訴で応じたが、中国の行為は、習近平は中国の地域における主張を進展させるには暴力の使用も辞さないことを示唆している。

 オバマ政権は、中国の行動を変えさせようと努力してきた。
 フィリピンに対し数百万ドルの新たな支援をし、米軍のアセットを同国の5つの基地に駐留させる合意をするなど、フィリピンとの軍事協力を大きく拡大したことは、注目に値する。
 4月にカーター国防長官は、11日間の米比軍事演習を、「両国は合同海空パトロールを行う」と宣言して締めくくった。
 その直後、国防当局者は、米軍機がスカボロー礁付近を3回異なる日に飛行する、と発表した。

 問題は、これで十分か否かである。
 先月の議会の公聴会で、民主共和両党の上院議員がオバマ政権の限定的な「航行の自由作戦」について疑問を呈した。
 ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ホワイトハウスは4月、スカボローをめぐる双方の「温度を下げる」ために、パトロールを1回取りやめた。

 ブリンケン国務副長官は、上院で
 「我々は中国に対し、陰に陽に、非常に精力的かつ積極的にメッセージを送っている」
と述べたが、
 「中国の攻撃的な動きは、
 近隣国をますます怒らせ、
 懐疑的にさせ、
 米と緊密にさせ、
 包囲されることになるので、
 自滅的である」
とのオバマ政権のお馴染みの分析も披露した。

 今のところは、それは正しいかもしれないが、オバマ政権が中国のスカボロー礁での建設活動を止めることができなかったならば、同盟国は米との同盟は役に立たないと結論付けるであろう。

出典:‘Dangerous rocks in the South China Sea’(Washington Post, May 8, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/dangerous-rocks-in-the-south-china-sea/2016/05/08/e961f34e-115b-11e6-93ae-50921721165d_story.html

 中国はスカボロー礁に軍事基地を建設しようとしているが、もし米国がこの動きを阻止しなければ、米国は同盟国の信頼を失うだろう、との本社説の警告は、的を射たものと言えます。

 今日、南シナ海において国際間のルールや国際法の遵守を拒否する形で、中国が一方的かつ独善的にとっている現状変更の動きを国際社会は放置すべきではありません。
 スカボロー礁では、中国はレーダーとミサイルの基地を建設中です。

■腰が引けたままのオバマ政策

 米国は目下、「航行の自由」作戦をとっていますが、ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ホワイトハウスは4月「スカボロー礁をめぐる米中間の温度を下げるために」、もともと予定していた米軍のパトロールを一回取りやめた、とのことです。
 このようなホワイトハウスのアプローチは、オバマ政権の方針が依然、全体として腰の引けたものであることを示しており、現状のままでは同盟国が米国との同盟は役に立たない、との結論をくだしても不思議はないという指摘はその通りでしょう。

 フィリピンのドゥテルテ次期大統領は、現アキノ大統領と比較して、対中国融和論者と見られており、中国がこの政権交代に便乗するような形で、国連海洋法に基づく仲裁裁判所の裁定時期を遅らせることもあり得ることは、特に警戒を要する点でしょう。
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ニューズウィーク 2016年6月14日(火)16時20分 アンキット・パンダ

中国は南シナ海にも防空識別圏を設定するのか

 中国が南シナ海上空にADIZ(防空識別圏)を設定する準備をしている
――香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストが先週、そう報じた。
 ADIZとは、各国が領空とは別に定める空域で、事前通告なしに侵入してきた航空機に対し、戦闘機の緊急発進(スクランブル)などを行って警告できる。
 中国は13年に東シナ海に設置し、日本との緊張が高まった。

 記事で引用された中国軍の情報筋の話では、ADIZの設置は南シナ海における米軍の「挑発的な動き」への対抗策だという(米政府は海軍による「航行の自由作戦」や空軍による偵察飛行で中国を牽制している)。

 このニュースは南シナ海での領有権を主張する関係諸国にとって微妙なタイミングで報じられた。
 領有権をめぐりフィリピンが中国を提訴している問題について、国際仲裁裁判所は今月中にも裁定を下す予定だからだ。

【参考記事】仲裁裁判がまく南シナ海の火種

 中国が南シナ海にADIZを設定しそうな兆候はいくつもあった。
 ADIZがきちんと運用されるには、スクランブルを行うためのインフラの整備が不可欠だ。
 中国は既に西沙(パラセル)諸島でウッディー(永興)島の滑走路に加えて、南沙(スプラトリー)諸島のファイアリークロス礁とスービ礁に新しく飛行場を建設している。

 一方、中国政府は結局、ADIZを設定しないのではないかと予想することもできる。
 中国はこれまで領有権主張の根拠を曖昧にすることで周辺国をもてあそんできた。
 中国が「歴史的権利」だとして南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する領海線九段線に確たる根拠はない。

 もし南シナ海上空にADIZを設定するとなると、その線は海に引かれた九段線と一致させることはできるのか。
 九段線の一部にしか設定しないとなると、これまでの領有権の主張を放棄することになりかねない。

 だとしたら、中国軍の情報筋がADIZの設定が近いとリークする目的は何なのか。
 おそらく、米軍によるさらなる航行の自由作戦や偵察飛行を思いとどまらせることが狙いなのだろう。

■中国にとってのメリットは

 ADIZを設定するのか否かの議論で見失われがちなのは、中国にとってそれは価値あることなのかという問題だ。
 ADIZにはコストとメリットの両方がある。
 コストはもちろん、フィリピンなど近隣諸国から受ける非難に加え、スクランブルのために南シナ海に軍用機を配備するなど軍事支出もかさむ。

 ではメリットとは何なのか? 
 ADIZを設置すれば、他国による予告なしの領空侵犯のリスクを軽減できる。
 だが南シナ海で圧倒的な軍事力を誇る中国にADIZが必要とは思えない。
 東南アジア諸国の空軍が連携して中国に奇襲をかけてくる可能性は低いからだ。
 それよりも、ADIZの設定は領有権の支配をあらためて強調するという、政治的な意思表示としてのメリットとして捉えられる。

【参考記事】尖閣接続水域進入は中露連携なのか?――中国政府関係者を直撃取材

 中国は南シナ海にADIZを設定するのか――この問題は3~5日にシンガポールで開催のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)と、6~7日に北京での米中戦略・経済対話の場で公式・非公式に話し合われる。

 もし中国が本当にADIZの設定を計画しているのなら、その決定は既に下されていて、発表の時機を待っているだけのはずだ。
 もし発表が今年中になかったとしたら、南シナ海の緊張を和らげるにはどうするべきかというもっと重要な問題に、私たちは集中できるだろうが。

From thediplomat.com

[2016年6月14日号掲載]
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Record china配信日時:2016年6月19日(日) 5時50分

年以内に起こり得る10の大規模軍事衝突、
「最大の脅威」は?―米軍事サイト

 2016年6月17日、米軍事情報サイト「We are the Mighty」はこのほど、
「今後4年以内に起こり得る10の大規模軍事衝突」を列挙し、うち「最大の脅威」として
1].ロシア対北大西洋条約機構(NATO)、
2].米国対中国、
3].イラン対サウジアラビア
の3つを挙げた。
 環球網が伝えた。

 同サイトは、米中間の軍事衝突について「中国は速いスピードで超大国へと変貌しつつある。
 中国が開発した核弾頭搭載可能な準中距離弾道ミサイル、東風(DF)21は、米海軍の空母や他の近代的戦艦に対抗可能だ。
 中国のミサイルが米空母を撃沈すれば、海兵6000人が命を落とし、全面戦争は避けられなくなる」としている。

 他に挙げた4年以内に起こり得る軍事衝突は、
4].中国対アジア太平洋諸国、
5].中国対インド、
6].イラク内戦、
7].クルド独立戦争、
8].イスラエル対ヒズボラ、
9].トルコ内戦、
10].アフガニスタン内戦。
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