2016年4月4日月曜日

適正人口への長い道のり(4):「死のありかた」へ高まる関心、「自分らしい最期」を選ぶ権利の環境整備が進む

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ニューズウィーク 2016年4月3日(日)19時50分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4819.php

「尊厳死」法制化で悩む日本、
高齢化と財政難が拍車
超高齢化社会へ入り「自分らしい最期」を選ぶための環境整備が進む

 定年退職した元航空会社職員、丹澤太良さんにとって、84歳の母親が迎えた安らかな死は自分自身の終末の姿を考える重い体験でもあった。
 悪性リンパ腫として限られた余命を宣告された母親は、診断を受けた病院を出て介護施設に移った。
 延命治療は拒み、痛みを緩和する措置だけを受けながら、静かに息を引き取った。

 「(母の死は)まだ早いと思っていたが、同時にこういった死に方もあると思った」
と68歳の丹澤さんはロイターに語った。
 その後まもなく、丹澤さんは自分自身の「リビング・ウイル」(遺言書)を作成し、病気や事故などの結果で死期が迫ったり、植物状態になったりした場合でも延命措置は望まないと明記した。

■「死のありかた」へ高まる関心

 尊厳死の選択を宣言する「リビング・ウイル」。
 日本は世界でも最も速いスピードで高齢化が進む国のひとつだが、丹澤さんのように、意に反した延命措置を拒み、自ら望む終末期の姿を生前に書き残す人はまだ少数派だ。
 カリフォルニアやカナダ、ベルギーなどで合法化されている医師による自殺ほう助(physician-assisted suicide、PAS)だけでなく、「リビング・ウィル」に関しても、日本では何の法律も整備されていない。

 しかし、団塊世代の高齢化が進み、死のあり方への関心が高まる中で、延命拒否をタブー視する伝統的な考え方は少しずつ変わりつつある。
 テレビや新聞、雑誌、書籍などで「老衰死」が取り上げられるようになり、高齢者の間では「終活」セミナーが人気だ。
 医療の専門家によれば、衰弱した高齢患者への栄養チューブ利用も減っているという。

 「いま考え方を見直す転換期にいると思う」
と民進党の増子輝彦参議院議員は語る。
 医療措置によって生かされているだけでは人間としての尊厳が損なわれる。
 そうした考えが日本人の間で一般的になりつつあると指摘する。

 増子議員が会長を務める超党派の議員グループ
 「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」は、患者の同意を得て延命措置をしなかったり、中止したりした場合、医師を法的責任から守るための法律の制定を積極的に働きかけている。
 しかし、昨年、同グループは新たな法律の原案をまとめたものの、未だに国会提出に至っていない。

■「薄情な治療中止」恐れる声

 厚い壁の一つは、伝統的な家族観に基づいた心理的な抵抗だ。
 これまでも日本では、家族がお年寄りの面倒をみるべき、という昔からの考え方が、延命治療を拒否したり中止したりする際の障害になってきた。
 患者が望んだとしても、多くの家族は薄情にも治療を放棄したと責められるのを恐れているのだ。

 医師も、家族から裁判で訴えられるとの危惧を抱いている。
 厚生労働省は2007年に「終末期医療」のガイドラインを作成、患者本人や代理人が医師などからの適切な情報提供や説明に基づいてケアのあり方などを決定する、医療行為を中止・変更する決定は複数の専門家で構成する医療ケアチームが慎重に検討する、などと定めている。

 しかし、医師側の懸念は払しょくできていない。
 「医師はそうした治療を中止した場合、刑事上、民事上いずれでも責任を問われないよう何らかの保証を求めている」。
 医師でもあり、かつて終末期のがん患者を担当したこともある自民党厚生労働委員会の古川俊治参議院議員は語る。

 さらに、 障害者の権利を守ろうとする団体が、安楽死合法化の第一歩になりかねないとの懸念から、強く反対している。

 法制化推進派が主張するのは、人間は尊厳を保って死に至ることを望む、ということだ。
 しかし、法制化推進派が「リビング・ウィル」の普及を働きかけているのは医療費削減が目的だ、と障害者の自立を支援するヒューマンケア協会の中西正司氏は手厳しい。

 こうした法案が通れば、「安楽死(の推進)につながってしまう」と72歳の中西氏はいう。
 同氏は21歳の時に脊髄を損傷、その時に医師からは3カ月の命と告げられた。
 以来、車いすの生活が続く。

■遅れる法案提出

 日本の国民医療費は2013年度、初めて40兆円に達した。
 75歳以上の高齢者の医療費が全体の3分の1を占め、高齢化に伴ってその割合はさらに増える傾向にある。

 この話題がいかに微妙な問題であるかは、麻生太郎財務相が2013年、高齢者の高額医療と関連して、終末期の高齢者は「さっさと死ねるように」してもらわないと、などと発言し物議をかもしたことでも明らかだ。

 尊厳死法案は、7月に予定される総選挙前に提出されることはないだろう。
 議論を巻き起こすような法案をこの時期に進める利点はほとんどないからだ。
 「私のような団塊の世代が高齢になりつつある。
 現実問題として、死に直面せざるを得ない」。
 老母の尊厳死を見届けた丹澤さんの言葉は、命の終わり方をめぐる議論が日本社会でさらに広がる可能性を示唆している。

 (リンダ・シーグ 翻訳:加藤京子 編集:北松克朗)



yahoo ニュース 4月12日(火)15時21分配信
http://news.yahoo.co.jp/feature/141

遺体ホテル、献体――加速する「多死社会」の現実



  「ご葬儀まで、1週間以上お待たせすることになります」
 東京都内の斎場職員はそう話す。

 いま、葬儀が希望の時間にできないために、何日も待たされる“葬儀難民”が増えている。
 都内の葬儀会社アーバンフューネスによれば、昼の時間帯に告別式・火葬を望む場合、斎場が1週間以上先まで埋まっていてすぐに葬式が出せないケースが増えているという。
 厚生労働省によると、現在、1年間の死亡者数は約130万人
 団塊の世代が80歳代を迎える2030年には「160万人」に達するとされる。
 世界に先駆けて超高齢社会に突入した日本は、未体験の“多死社会”へと向かっている。
 (Yahoo!ニュース編集部)

■火葬場不足が生む“葬儀難民”

 東京では、火葬場や斎場がかつてないほど混み合っている。
 東京都福祉保健局によると、都内の年間死亡者数は約11万人。
 毎日平均300人以上が亡くなっている計算だが、都内の火葬場は26カ所(うち8カ所は島しょ部)
 保冷庫はつねに遺体で満杯だ。
 葬儀会社グランドセレモニー代表の佐藤隆博さんによれば、高齢者の体力が低下する冬場、とくに年末年始を挟んだ12月、1月の混雑が著しいという。
 八王子市斎場の受付職員は「繁忙期はご遺族のご希望の時間帯に添えないことも多く、なかには火葬まで7日もお待たせするケースもあります」と話す。

 火葬場不足の背景には、新たな火葬場建設が難しいという事情がある。
 火葬場建設計画が持ち上がっても、土地のイメージが悪くなるとして地元住民が反対するケースが多い。
 人口59万人を抱える埼玉県川口市には公営の火葬場がない。
 火葬場建設をめぐる住民の反対運動が根強かったためだ。
 結局、自然公園と高速道路のパーキングエリアに火葬場が併設されるという異例の決定がなされ、現在建設工事が進められている(2018年稼働予定)。
 宮城県岩沼市は火葬場の老朽化を踏まえて移転先の候補地を公募した。
 2013年、応募があった市内4か所から候補地を選んだが、住民の一部が反発。
 訴訟にまで発展し、新火葬場計画は白紙となった。
 その後、新たな候補地を選定し、2016年度の予算に火葬場建設費が盛り込まれた。

■「早朝」「友引」もフル稼働する火葬場

 火葬場が増設しにくい状況のなかで、各自治体が講じているのが「受け入れ時間の延長」だ。
 東京都の南多摩斎場は午前中の火葬を引き受けることで1日の火葬数を17件から27件まで増やした。
 八王子市斎場では年末年始や一般的には葬儀が避けられる「友引」の火葬を引き受けることに。
 大阪市では、現在10時から4時までとしている火葬を前後に数時間ずつ延ばすことが検討されている。
 さらに現在は火葬後、炉の前でお骨を拾うのが一般的だが、別の場所に移してお骨を拾うことで、炉の回転率を向上させるという。

■多死社会の新ビジネス「遺体ホテル」

 混み合う火葬場の順番待ちをしている間、遺体はどこに安置しておけばいいのか? 
 遺族にとっては切実な問題だ。
 このニーズに目をつけた新しいビジネスが「遺体ホテル」。
 すでに首都圏、大阪などに出現している。
 大阪北区の「ホテル・リレーション」は、2012年に開業。築30年のホテルをリニューアルした。
 代表の栗栖喜寛さんは、これからやってくる多死社会を見据えてこの業界に参入したという。
 「今後、葬儀難民が増えるだろう。
 経済的にも負担が少ない見送り方を提案したいと思った」
と開業の動機を語る。

 このホテルの役割は遺体を安置するだけではない。
 遺族が宿泊することもでき、施設内で通夜や告別式を営むことも可能だ。
 特徴はその料金体系にある。
 日本消費者協会によると、葬儀費用は平均約200万円。
 だが、この遺体ホテルでは遺体の搬送、安置、通夜、告別式、火葬までを組み込んだプランが45万円程度で用意されている。
 通夜や告別式を省略することもでき、最小限の“見送り”をする場合、料金は20万円を下回る。
 「家族ごとに見送りのスタイルは変わっていくだろうが、遺族と故人が最後の時を過ごすにふさわしい場所でありたいと思う」
と栗栖さんは言う。

 大阪市でクリーニング店を営む女性(75)は、昨年このホテルで義姉を見送った。
 「本人が生前、みんなに負担をかけたくないから遺体ホテルで小ぢんまりと見送ってほしいと言っていたんです」。
 故人の遺言に従って、迷わずに利用を決めた。
 50代男性は、大阪に住む父親が急死した際、ネット検索で遺体ホテルを見つけたという。
 自身は東京暮らしが長く大阪の葬儀場には不案内だった。
 とりあえず葬儀場が見つかるまでの急場しのぎにと数日間の遺体安置を依頼したが、このホテルで通夜、告別式ができると知り、そのままここで見送った。
 「形式的なことにお金をかけたくないという考え方が広がっている」
と高齢者心理に詳しい近藤勉氏(神戸医療福祉大学・元教授)は指摘する。
 価値観が多様化し、大掛かりな葬儀や立派なお墓が必ずしも必要ではないと考える人が増えているという。

■増える「献体登録者」

 多死社会を前に、自分の遺体を大学医学部の解剖実習のために提供する「献体」の登録者数が増えている。
 篤志解剖全国連合会によると、現在の登録者数は26万人を超え、30年前の4倍になった。
 1985年当時、解剖実習に使われていた遺体はその半数が警察から提供される身元不明遺体だったが、現在はほぼ100%が献体だという。


●全国献体登録者数

 献体希望者は生前、医科や歯科大学に登録しておく。その際、2人以上の肉親の同意が必要となる。
 登録者が死亡すると遺体は大学へ運ばれ、防腐処理に3〜6か月、解剖学実習に3〜7か月が費やされる。
 すべてが終わると火葬され、遺骨は遺族へと返還されるというのが一般的な流れ。
 遺体運搬や火葬の費用は大学側の負担で、遺骨を大学の納骨堂に納めることも可能だ。

■「誰にも迷惑をかけたくない」

 「死んだ後、いくら体を切り刻まれても怖くなんかない」
 敷村サガノさん(85)が献体を希望したのは60歳代後半の頃。結婚はせず定年まで仕事を続け、退職後も一人で暮らしてきた。
 そんな敷村さんが歳をとるにつれて悩み始めたのが墓の問題だった。
 子どもがいないため、自分ひとりの墓を建ててもいずれは無縁墓になってしまう。
 墓が荒れれば他人に迷惑がかかる。
 「とにかく人様に迷惑をかけたくない」
が口癖の敷村さんにとって、献体は魅力的な選択肢だった。
 献体を選んだことで、どのような気持ちの変化があったのだろうか。



 献体には
 「火葬費を負担しなくて済む」
 「墓を残さなくて済む」
という経済的なメリットもあるが、近藤氏によると、それだけが希望者増加の理由ではないという。
 敷村さんの例のように、背景には独居老人の増加があると指摘する。
 「ひとりきりで過ごす時間が多くなると、高齢者はおのずと自分の死に向き合い、考える。
 そのなかで社会に貢献できる最後のチャンスとして献体に意識が傾く人が増えているのではないか」
 
 今後、日本は国際的にも類をみない「多死社会」に直面する。連載「『多死社会』の波」では、多死の時代に変わりゆく現状や課題をレポートする。
[制作]Yahoo!ニュース編集部、テレビマンユニオン



WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年04月24日(Sun)  東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6642

「終活」の前に考えたい 
死の迎え方と送られ方

 熊本県を中心とする九州の地震で、多くの方が余震に怯えつつ、避難生活を送っている。
 そんななか、「死に方」の話は不謹慎ともとられそうだが、自然災害やテロ、事故など、いつどこにいても「死」は待ち受けている。

 突然やってくるかもしれないその日に備えておくことは、送られる当人にとっても、送る家族らにとっても、大切なことだろう。

■死に方、送られ方を選ぶ自由


●『これからの死に方』(平凡社新書)

 本書は、生命倫理、科学論、法政策学を専門とする著者が、死の迎え方と送られ方をめぐる自由の範囲と制約条件について、豊富な具体例を挙げつつ考察した新書である。

 流行りの「終活」という語を出すまでもなく、昨今、死に方、送られ方を選ぶ自由を求める声が広がっている。
 過度の延命措置は施さないでほしい、
 墓や葬式は必要ない、
 散骨してほしい、
 火葬以外の方法で葬ってほしい、
などである。

 著者によると、そもそも伝統的な葬送の慣習と受け取られている「通夜、告別式、埋火葬、墓石の建立、墓参りと法事」という一連の作法は、明治期以降に都市部や一部の階層から始まって、第2次大戦後から高度成長期にかけて普及した「新しい伝統」だという。
 この新しい伝統が普及するにつれ、本来の習俗は農山村部でも消えていった。
 とすれば、今また死をめぐる習俗、文化、考え方が転機を迎えていることも、不思議ではない。

 私事で恐縮だが、四年前に母が実家で亡くなったときは、家族や親族とごく親しい友人だけの控えめな通夜、告別式をおこなった。
 こうした「家族葬」が増えていると、葬儀屋に聞いた。
 母の遺骨は郊外の墓に入れたが、納骨堂に納める人もやはり増えてきている。

■宗教や文化的背景で異なる葬い

 さらに、
 葬式をせず、火葬場に遺体を運ぶ「直葬」や、
 火葬したあと遺骨を引き取らない「0(ゼロ)葬」、
 遺骨を墓に入れず、海や山に撒いて自然に還そうという「自然葬」
などが世間の耳目を集めている。

 また、異なる宗教や文化的背景をもつ人たちが土葬や鳥葬を求めたり、著者のように、新しく出てきた技術による「フリーズドライ葬」を求めたりするケースも今後は出てくるだろう。

 イスラム教では、信者は死んだら土葬することになっており、日本在住のイスラム教徒は、土葬禁止地域に指定されていない場所に埋葬墓地を求めてきた。
 しかし、国内では2カ所のみで、墓地不足が問題になっているという。

 こうした変化の最前線を紹介しつつ、著者らしく丁寧に考察を積み重ねていく。
 著者が東京財団で催した「生命倫理サロン」での開かれた議論の内容も反映され、異なる立場からの意見に目を見開かされる。

 まず、「死の迎え方」を扱う第一章では、延命治療の中止や安楽死を選ぶ自由はどこまで認められるか、認められるとしたらどのような条件が必要かを考える。
 この分野の先進国である米国やオランダ、フランスの事例を挙げつつ、日本の現状と比較しており、論点が明確でわかりやすい。
 米国やオランダでは、医師が死なせてあげる代わりに、死にたいと思ったら自分でそうするよう患者に致死薬を渡し、自己責任に委ねる場合があるという。

 実際は、致死薬を手にした後も、患者は緩和ケアなどを受け続けており、ワシントン州のプログラムでは、4割の人が致死薬を飲まなかった。
 つらくなればいつでも死ねる用意があると思えることが安心を与え、逆に、生きる気力につながることもある、と著者はみる。
 なるほどと共感した。

 患者が医師に死なせてくれと求める自由はあるが、実行させる権利まではない。
 同様に、望みどおりに葬ってくれと求める自由はあるが、はたしてどこまで認められるか。

 第二章から四章は、散骨を選ぶ自由を求める人々の運動を中心に、変貌する「死者の送り方」の現状、さらに遺体のさまざまな利用法(解剖実習の教材、外科手術の練習台、展示標本、交通事故被害の実験体など)、葬送の自由を国民の権利として法律で認めさせることの是非について考える。

 散骨を認めるなど、葬送や墓について細かい法律があるフランスを例に挙げ、立法の背景にさかのぼって、日本の明治維新以来の葬送に関する政策と比べた点は、非常に興味深い。

 「死後のあり方も国が面倒をみるべきなのか、法律をつくることが人々の求める自由をほんとうに保証することになるのかどうか」

■自分と送る者と国との関わり

 こうした視点に立ち、著者は「自分と送る者と国との関わり」の望ましい姿を問いかける。

 <葬送の自由は、死んでいく者個人の自己決定権ではなく
 死んでいく者と葬送を行う残された者たちとの人間関係を単位としたプライバシー権として認められるとするのがいいと思う。
 (中略)誰が葬送を行う立場の者になるのかはケースバイケースで、必ずしも家族、親族に限らないとするのが妥当だと思う。>

 <このように考えた葬送の自由が社会のなかで認められる条件は、生きているうちに、自分と葬送を行う立場になる人との間で、どうしたいかきちんと話し合いを重ね、双方が納得し合意できるやり方を決めておくこと、というのに尽きると思う。
 自己決定権ではなくいわば共同の決定権だから、遺言や法律で、望むとおりの葬送を行うのを残された者に義務づける権利は認められない。

 葬送のあり方について共同の意思決定を促し助けるために、情報提供と相談支援の場をつくれるといい、とも提案する。賛成である。

 「流行の『終活』が、個人の覚え書きや一方的な遺言の代わりをつくって終わりになるのではなく、そうした方向に発展していくことを望みたい」。
 そう著者が結論するように、本書を読んで、まずは大切な人たちと話し合うことから始めたい。



Record china配信日時:2016年4月23日(土) 1時50分
http://www.recordchina.co.jp/a134559.html

胎児の性別判定を全面禁止へ、
違反者には最高50万円の罰金―中国

 2016年4月21日、北京青年報によると、新たに策定され、すでに公表されている
 「非医学的理由による胎児の出生前性別判定と性別選択による人工中絶を禁止する規定」
が5月1日から施行される。

 胎児の性別判定や性別による中絶を行う医療機関や個人を紹介することも含め、
 「子どもの産み分け」に関わる行為が全面的に禁止される。
 新規定とともに、「母嬰保健法」による出生前の診断から、法的規定や医学的にその必要性が認められる場合以外には、いかなる場合も性別によって人工中絶を行うことの禁止が明確になった。

 また、新規定では妊娠中絶薬や超音波検査機、染色体検査の専用設備などの管理制度についても定められている。
 中絶薬はリストで管理を行い、その販売から調達、使用を記録する制度を設け、小売業者による販売は禁止されることになる。

 罰則も強化される。
 違法に中絶を行った場合、県クラス以上の関係部門から改善命令と警告を受ける。
 また、違法に得た金品はすべて没収となり、5000元(約8万円)以上3万元(約50万円)以下の罰金が科せられ、不適当に医薬品や機器を使用した場合も最高3万元の罰金が科せられる。

 中国国家衛生計画生育委員会によると、
 1980年代から中国では出生時男女比が異常な状態が30年にわたって続いており、軽減されつつあるとはいえ
 2015年の出生男女比も「女性を100として男性が113.51」
というアンバランスな状態となっている。



Record china配信日時:2016年4月24日(日) 23時0分
http://www.recordchina.co.jp/a134767.html

<<当記事は韓国の経済誌「中央日報エコノミスト」掲載記事の日本語訳です>>

深刻な男余り、37万人が結婚できない
=低収入低学歴独身男が社会問題に―韓国

 2016年4月22日、環球網は記事「韓国性別人口に深刻なアンバランス、37万人の未婚男性が結婚相手を見つけられず」を掲載した。

 韓国政府の統計によると、結婚適齢期(男性28〜35歳、女性26〜33歳)の未婚者は男性が292万人、女性が255万人。男性のほうが37万人多いという深刻なアンバランスを抱えている。
 男児を重んじる文化慣習が要因だと指摘されている。

 性別人口のアンバランスはさまざまな問題を生み出しているという。
 女性に対する誹謗(ひぼう)中傷や性暴力といった犯罪を生み出しているほか、低収入低学歴の独身男性の増加が新たな社会問題となりつつある。

 生態系は過剰人口に対してあらゆる神の手を使って、個体保存を実行する。
 「男余り」というのはそういう神の手だと考えるのがわかりやすい。
 つまり、韓国はあまりに人口が多すぎるということである。
 男が多すぎるということは、社会が殺伐になり暴力化する。
 それは社会不安を引き起こす。
 韓国は「ヘル朝鮮」といわれ、零落の道をたどっている。
 北朝鮮との関係も底辺層の突き上げが実際化するかもしれない。
 何か起こりそうな予感もする。
 日本より人口密度が高いというのは、異常過ぎるといえる。


東洋経済オンライン 2016年05月08日 韓国『中央日報エコノミスト』2016年5月9日号
http://toyokeizai.net/articles/-/116861

若い女性がいない!
韓国「地方消滅」の実態
全262自治体のうち80自治体が消滅リスク

 韓国の人口は2020年に5200万でピークを迎えた後、徐々に減少していく。
 2040年になれば人口全体の中間にいる層の年齢が52.6歳となる。
 2060年には高齢者の人口が現在の2.7倍になり、生産可能人口は今よりも60%減少する。
 韓国統計庁が今年3月に発表した「2015年韓国社会指標」の内容だ。
 さらに気が重くなる統計がある。

 「中央日報エコノミスト」が分析した結果、30~40年後に人口が消滅する危険がある地方自治体や基礎自治体(市・郡・区・面)は80カ所に達する。
 これらは、出産する女性は今後も減り、高齢者の人口は増える所だ。
 読者の故郷が消えることもある、という話だ。

■日本で出版された「地方消滅」の手法を適用

 少し時間をさかのぼってみよう。
 今年4月13日に実施された総選挙前の3月2日、選挙区の確定案が国会を通過した。
 従来の選挙区の区割りに変更があったが、前回選挙区が分割された選挙区は16カ所、統合された選挙区は9カ所だった。
 たとえば韓国南東部・慶尚北道義城(ウィソン)、軍威(グンウィ)、青松(チョンソン)郡は近隣の尚州(サンジュ)市に統合された。
 同南西部・全羅南道高興(コフン)、寶城(ポソン)郡は長興(チャンフン)・康津(カンジン)郡と一緒になり、慶尚南道宜寧(ウィリョン)、咸安(ハマン)、陜川(ハプチョン)郡は分割され、それぞれ密陽(ミリャン)市・山清(サンチョン)郡と一緒になった。

 上記すべてが、選挙区を維持するための人口最少ラインを下回った地域だ。
 これで終わりではない。
 これら地域の大部分は30年後には選挙区自体が消えるかもしれない。
 単純に、人が減るからそうなるのではない。
 高齢者の人口は増えるが、子どもを産む若い女性が急激に減少しているためだ。
 いわゆる、「人口消滅危険地域」というわけだ。

 本誌が韓国雇用情報院のイ・サンホ博士とともに全国262の市・郡・区のうち、人口のない江原道鉄原(チョロン)郡近東(クンドン)面と京畿道坡州(パジュ)市津西(チンソ)面などを除く252カ所の人口を調査した結果、30年後に人口がなくなるリスクが高い自治体が80カ所に達した。
 昨年話題になった本『地方消滅-東京一極集中が招く人口急減』の分析方式を採用して得た結果だ。

 日本でかつて総務相を務めた増田寛也氏が書いた同書は、日本の自治体の49.8%となる896カ所が2040年には消えると予測し、日本国内で衝撃を与えた。
 増田氏は地方が消滅する可能性を推定する指標として、20~39歳の女性人口に注目した。
 妊娠可能な女性の90%以上がこの年齢層に属する。
 20~39歳の女性人口の比重が小さい地域であればあるほど、長期的に人口が消滅する可能性が高まるということだ。

 本誌は、韓国・行政自治省が運営する「住民登録人口統計」を見て、2015年12月末現在の全国自治体の人口現況を調査した。
 地域別に、居住する人口全体における20~39歳女性の人口と、65歳以上の高齢者人口の割合を分析した。

 消滅する可能性が高い自治体は、20~39歳女性が占める割合が10%に満たず、高齢者人口は20%を超える相対比重(20~39歳女性人口の割合÷高齢者人口の割合)が0.5未満の場所と設定した。
 イ博士は「若い女性と高齢者人口の相対費が1対1であれば、人口が維持される最小限の防衛ライン。
 相対費が0.5未満であれば、人口が消滅する可能性がとても高いことを意味する」と説明する。
 これは、学会でも認められた理論だ。

■子どもを産む若い女性の人口が急減

 調査の結果を見ていこう。

 韓国内の252自治体のうち65歳以上の高齢者人口の割合が7%以上である自治体は249あった。
 国際連合(国連)は、65歳以上の人口が
 7%以上であれば「高齢化社会」、
 14%以上であれば「高齢社会」、
 20%以上であれば「超高齢社会」
と定義している。
 韓国の自治体のうち「99%」がすでに高齢化社会以上であるのが現状だ。
 高齢者人口の割合が
 7~14%の高齢化社会になっている自治体は112カ所(44.4%)、
 14%を超える高齢社会は51カ所に上る。
 65歳以上の人口がすでに20%を超えている超高齢社会も74カ所(29.4%)あった。
 30%を超えるスーパー超高齢社会も25カ所(9.9%)存在する。

 高齢者人口の割合が最も大きかったのは、全羅南道高興郡だ。
 2015年末現在の居住人口6万8143のうち、36.7%(2万5017人)が65歳以上だ。
 その下には、慶尚北道義城郡の36.2%、同軍威郡35.4%、慶尚南道陜川郡35.4%、同南海(ナメ)郡34.1%、全羅南道寶城郡33.5%が続く。
 反対に、65歳以上が占める割合が最も低かったのは、慶尚南道昌原市城山(ソンサン)区で5.4%に過ぎなかった。

 京畿道水原(スウォン)市霊通(ヨントン)区(5.4%)と蔚山(ウルサン)市北区(6.4%)、大田市(テジョン)儒城(ユソン)区(7.2%)、慶尚北道亀尾(クミ)市(同)、天安(チョナン)市西北区(7.4%)なども、相対的に若い層が多い自治体である。
 これらの自治体には大企業の工場がある、あるいは工業団地や産業団地などが設置されている、という共通点がある。

 20~39歳の女性人口が人口全体の10%に満たない地域は、2004年の6カ所から2015年には78カ所へ増加した。
 慶尚北・南道、全羅南道地域が特に若い女性の比率が低い。
 慶尚北道義城郡は人口全体に占める20~39歳の女性人口の割合が6.2%と最も小さかった。
 次は同軍威郡の6.6%、全羅南道高興郡6.6%、慶尚南道南海郡6.7%となった。
 反対に、20~39歳の女性人口の割合が最も大きかったのはソウル市冠岳(クァンアク)区で18.2%(9万1093人)だ。
 次は同麻浦(マポ)区の17.8%、同広津(クァンジン)区17.3%、同江南(カンナム)区17%と続く。

 結果的に、20~39歳の女性人口の割合が10%未満で、かつ65歳以上の人口の割合が20%を超える場所は80カ所。
 自治体10カ所のうち3カ所が消滅する危険性がとても高いことになる。
 特に若い女性の人口が最も少なかった20カ所を見ると、20~39歳の女性人口の割合が6.2~7.8%に過ぎず、一方、65歳以上の人口の割合が30%を超えている。

■5年間で1万人減った自治体も

 消滅する危険性が最も高かった自治体は、慶尚北道義城郡だ。
 同郡は65歳以上の人口に対し、20~39歳の女性人口の相対比重が0.17にとどまった。
 同郡庁によれば、今年1~2月に41人が生まれ、143人が死亡した。
 人口もいち早く減少している。
 「義城統計年報」によれば、1995年に8万6000だった人口は、2005年に6万4930に減り、昨年には5万4380(登録人口基準)にまで減少した。
 次に消滅危険性の高い全羅南道高興郡は、65歳以上の人口割合が36.7%と全国で最も高い。

 軍威郡、南海郡、陜川郡、慶尚北道英陽(ヨンヤン)、全羅南道新安(シンアン)郡なども消滅危険性が高い地域だ。
 一方、水原市霊通区は全国20~39歳の女性人口の割合が最も高いことがわかった。
 同区の人口33万4000のうち、65歳以上の人口比率は5.4%、20~39歳の女性人口のそれは16.6%だ。
 次は、慶尚南道昌原市城山区で、20~39歳の女性人口の比率は14%だった。

 この10年間の人口変動を見ると、若い女性がどういった地域を好むかがはっきりとわかる。
 この10年間、20~39歳の女性人口増加率が最も高い地域は京畿道華城(ファソン)市で86.2%に達した。
 次は釜山市機張(キジャン)郡の57.1%だ。世宗(セジョン)市の52.6%と京畿道烏山(オサン)市44.6%、同坡州市43.7%、大田市儒城区34.8%、京畿道金浦(キムポ)市32.9%なども、若い女性が大きく増えた都市だ。

 これらの都市にはどのような特徴があるのだろうか。

 これらの都市には、大規模マンションがある、女性を雇用できる大企業が新たに進出した、などの共通点が見られる。
 同期間で若い女性の減少率が最も高かったのは、全羅南道高興郡で45.1%減少した。
 慶尚北道軍威郡で45%、同青松郡44.4%なども若い女性がほぼ半減している。

 目を引くのは釜山市影島(ヨント)区だ。
 この地域は、この10年間で若い女性の人口が44%減少した。
 前出のイ・サンホ博士は、
 「若い女性の割合が危険レベルではないが、減少スピードが速い地域のうち、一部の大都市で伝統的な製造業が集積している地域がある。
 産業団地の整備が遅れていることと企業の撤退が進んでいることで、若い女性を地域から離れさせている主な理由になりうる」
と説明する。

■若い女性が集中して多い所は?

 さらに注目すべき点が一つある。
 それは、若い女性がすでに多い所と、新たに押し寄せている所が違う、ということだ。
 若い女性が集中して多い所は、主にソウルとソウル首都圏の一部だ。
 非首都圏では、大都市圏のベッドタウンや教育水準が高い所、サービス業の中心地などだ。

 対照的に、若い女性が押し寄せている場所は、新都市(ニュータウン)が建設されている首都圏地域と、地方の広域市近郊にある都市が多い。
 京畿道華城市、忠清南道世宗市、全羅南道務安(ムアン)郡がその代表例だ。
 務安郡は全羅南道道庁が移転してきて、若い女性が急増した。
 一方で、女性人口がもともと多い首都圏では、出産率が相対的に低い。
 反面、世宗市や務安郡などは出産率が高いほうだ。
 ここに重要なメッセージがある。

 イ・サンホ博士は
 「地方から首都圏へブラックホールに入ったかのように若い層が吸収されているが、大都市の高い生活費と雇用競争などで出産が負担になっている。
 若い女性が集まってくるような魅力的な都市を開発する政策が必要であり、既存の都市計画などの政策においてパラダイムの転換が必要だ」
と指摘する。

 イ博士は
 「若い女性が生活を楽しめる文化とレジャー施設、結婚しても生活しやすい住居環境、子育てによい教育環境などを提供するなど、こういった方向に政策を実施するべきだ。
 何よりも、若い女性が地域に定着できる魅力的な雇用を提供するのが重要だ」
と強調する。
 若者全体を対象にした曖昧模糊とした政策よりは、20~39歳の女性に集中した政策がより効果的でありうるのだろう。

(韓国『中央日報エコノミスト』2016年5月9日号)
キム・テユン :韓国『中央日報エコノミスト』記者 / チャン・ウォンソク :韓国「中央日報エコノミスト」記者


人民網日本語版 配信日時:2016年6月10日(金) 1時30分

日本人と韓国人はなぜ結婚を望まないのか?―中国メディア

 日本と韓国では現在、多くの「非婚族」が出現し、30〜40歳になっても結婚しない人が増加している。環球網が伝えた。

 韓国のあるプロモーション代行会社の副部長を務める李美珍さん(31)は、
 「今が最も忙しく働く時期で、結婚を考える余裕がない。
 結婚・出産でキャリアに穴を開けると完全に遅れてしまう」
と話す。
 日本の貿易会社で働く橋下里美さん(35)は、
 「一人だととても自由。
 結婚はあこがれておらず、束縛されたくない」
と語る。

 韓国の中央日報と日本経済新聞がこのほど、「働き方と子育て」と題するオンラインアンケート調査を実施したところ、
日韓両国で回答者の過半数が「結婚してもしなくてもいい」と回答した。
 特に、結婚より仕事を重視する日本と韓国の女性は、年齢が高くなるほど結婚に対して否定的な態度を示した。

 韓国では、低い出生率や晩婚、非婚の増加などが問題になっており、就職、結婚、一人目出産、二人目出産であるはずの順番が崩壊し、悪循環になっている。
「仕事はない、結婚しない、子供がいない」
の「3ない」の人々や、「恋愛」「結婚」「出産」「人間関係」「マイホーム」「夢」「希望」の「7つをあきらめた世代」などの言葉の出現は、現状を皮肉るだけでなく、無力感さえ漂わせる。

 日本では、非婚派の女性は、結婚すると自由がなくなり、束縛されると感じているほか、育児も気の重い仕事で、自分一人ではできないと思っているようだ。
 非婚派の男性は、結婚する時も、結婚してからも、お金がかかり、自分の生活も安定していない状態では結婚できないと考えている。
総じて言うと、日本の未婚の男女にとって、結婚は魅力のないものになっている。

 その他、「結婚しなくても、孤独ではない」というのが、日本の多くの男女が結婚しない大きな理由になっている。
 日本の社会は独身の人に優しい。
 レストランに行けば、「一人前の夕食セット」や「一人鍋」があり、旅行会社は、「一人旅」の商品を販売。
 ソフトウェア会社はバーチャルな相手と会話できるソフトを打ち出すなど、一人でも孤独を感じることはあまりない。

(提供/人民網日本語版・編集KN)



【2016 異態の国家:明日への展望】


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