『
ニューズウイーク 2016年4月6日(水)16時13分 リスティアン・アトリアンディ・スプリヤント
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4847.php
南シナ海で暴れる中国船に インドネシアの我慢も限界
拿捕した漁船を中国に奪回されたインドネシア
今後どのような戦略を取るか注目を集めている
Indonesia Vs. China in the Natuna Islands
●南シナ海を航行する中国沿岸警備艇 Reuters TV-REUTERS
中国の沿岸警備艇とインドネシアの巡視艇が3月半ばに、またも衝突した。
場所は南シナ海のインドネシア領ナトゥナ諸島周辺。
しかも過去の事例と異なり、中国側はインドネシアの領海すれすれまで進出した。
事件の発生は3月19日の午後。
インドネシアの排他的経済水域(EEZ)内で違法操業していた中国漁船を、インドネシア海洋水産省の巡視艇が拿捕し、乗員8人を逮捕した。
インドネシア側は乗員全員の身柄を巡視艇に移し、漁船をインドネシアの海軍基地へと曳航し始めた。
するとそこへ中国の沿岸警備艇が現れ、猛スピードで追尾し、インドネシア領海に入る寸前で漁船に体当たりし、曳航をやめさせた。
さらに別の中国の警備艇も姿を現したため、インドネシア側は武力衝突を回避するために中国漁船を放棄した。
すると中国の沿岸警備隊員が漁船に乗り込んで舵を取り、領海付近から去って行ったという。
事件後、もちろんインドネシアのスシ海洋水産相は中国側に強く抗議した。
国内世論の反発も高まっている。
中国側は外交ルートを通じて、逮捕された中国漁船の乗員8人の釈放を求めているようだが、事態がどう動くかは微妙だ。
実を言えば、昨年にもインドネシア当局が中国漁船を拿捕する事件があった。
このときの漁船の排水量は4306トン。
海洋水産省が外国船舶による違法操業の摘発に乗り出して以来、拿捕した船舶としては最大の「獲物」だった。
■事件詳細を国内外に公表
しかし何らかの理由で、インドネシア側は漁獲量に比して不当に低い罰金しか科さず、乗組員も船体も中国側に引き渡すことになった
(その後、インドネシア海洋水産省は強硬姿勢に転じ、3月半ばには拿捕した別の違法漁船を海に沈めている)。
【参考記事】中国密漁船を破壊せよ インドネシアの選択
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/01/post-3507.php/post-3507.php
【参考記事】領有権拡大に突き進む中国の危険な火遊び
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/02/post-3182.php
インドネシア側は、もちろん九段線など認めない。
自国のEEZで中国漁船が、中国の警備艇に守られて堂々と操業している事態は許し難い。
インドネシア政府は従来、ナトゥナ諸島周辺での違法操業に付き添う中国当局の警備艇を無視する姿勢を示してきたが、今回は中国漁船事件の詳細を公表し、ソーシャルメディアにも載せた。
外国漁船の違法操業に対する取り締まりを妨害する中国政府の横暴を、広く国内外の世論に訴えるためだろう。
ナトゥナ諸島周辺を含む南シナ海で一方的な領海権を主張する中国の強硬姿勢に、インドネシア側は今まで外交ルートを通じた抗議だけで対抗してきた。
しかし、もう我慢の限界かもしれない。
インドネシア政府は先に、ナトゥナ諸島周辺における海軍防衛力の強化と取り締まりの強化を打ち出している。
当然の対策だと言えるが、あいにく時期が悪い。
中国側は人工島の建設などで南シナ海におけるプレゼンスを強化している。
こうした人工島は、中国漁船団の基地として使用される可能性もある。
そうした現実を前にして、インドネシア側にはどんな対応が可能か。
強硬策に出るには、中国との関係悪化に伴う大きな代償を計算に入れる必要がある。
その覚悟が、今のインドネシア政府にあるだろうか。
From thediplomat.com [2016年4月 5日号掲載]
』
『
2016/03/28/ 05:30 すごいインドネシア中国取材漁船
http://sirabee.com/2016/03/28/101584/
■違法漁船は爆破!インドネシア「スシ海洋大臣」が最強すぎる
中国籍の違法漁船問題は、世界中のメディアを騒がせている。先日もアルゼンチンの沿岸警備隊が中国漁船を撃沈したというニュースが飛び込んだが、中国本土とより距離が近い国々ではまさに政界を二分する問題。
それこそ目の前に「中国の脅威」がある国にとっては、単に「海洋資源を奪われる」という問題に収まらない。
文字通り、国防問題だ。
だが、インドネシアはその重大な課題に真正面から取り組んでいる。
しかもその先頭に立っているのは、最終学歴高校中退のアウトサイダーである。
■くわえタバコにフェニックスのタトゥー
インドネシアの漁港は、日本のそれに比べて昔気質の空気が非常に強い。
平たく言えば、この国の漁師は荒くれ男ばかりである。
その身ひとつで海に出て、命がけで魚を獲る。
網を引く鉄の腕とくわえタバコ、そして身体のどこかに必ずあるタトゥー。
この3つが、インドネシアの水産関係者のトレードマークだ。
スシ・プジアストゥティは、そんな男どもを相手に海産物の卸業を営む女性である。
10代の頃、退屈な高校生活を投げ出し荒々しい漁港の仕事に身を投じたという経歴を持つ。
スシ大臣の右足には、フェニックスのタトゥーが彫られている。
スシ氏は漁港で大成功を収め、やがて地方島嶼部専門のエアライン『スシ・エア』を設立した。
そしてその経営手腕が、ジョコ・ウィドド氏という貧困層出身の政治家の目に留まったのだ。
■当初は疑問視されるも……
ジョコ・ウィドドがインドネシア大統領に就任したのは、2014年10月。
彼は国民の前でこう宣言した。
「閣僚の人選には、その人物の能力のみを基準にする。
仕事をしなかった閣僚はすぐさま切り捨てる」
その言葉通り、閣僚人事には驚くべき人物が選出された。
「海洋水産大臣にはスシ・プジアストゥティが就任する」
インドネシア政界にとって、これは異例中の異例と言ってもいい。
この国は学歴社会だ。社会のトップに立つような人物は、軒並み大学卒。
その輪の中に高校中退の、しかも身体にタトゥーを入れた女性が参入したのだ。
大臣に就任したスシは、とくに野党支持の有権者からその実力を疑問視される。
これは新大統領のパフォーマンス的人事ではないかという声が、就任後数週間はまとわり付いた。
だが、スシ大臣はそのような客寄せパンダではなかった。
■中国漁船も爆破
「我が国の領海には無許可の外国漁船が多すぎる。
これからはこれらを徹底的に取り締まる」
そう公約したスシ氏は、海軍の協力も得て違法操業の外国船を次々に拿捕した。
タイ、ベトナム、フィリピン、台湾、そして中国。
それらの漁船はまず乗組員を下船させたのち、海上で爆破した。
この強硬的措置がきっかけで、彼女に対する前評判は完全に覆る。
インドネシア領海に警備艇を侵入させた中国に対しても、スシは「国際法廷に訴え出る」と警告を発したのだ。
一方で、スシ大臣は日系水産企業との付き合いがある。
日本にまとまった量のロブスターを輸出した経歴もあり、そのつながりは強固だ。
海洋水産部門での日本とインドネシアの交流は近年活発になってきていて、その投資環境も改善されている。
先日もインドネシア政府は、冷凍倉庫業に対する外資の100%出資を認めた。
これは同国の漁業発展の大きな一歩と見られている。
「漁港の女王」スシ・プジアストゥティ海洋水産大臣は、今後注目するべき海外の政治家のひとりである。
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
』
【中国経済崩壊 最新 2016年4月】 インドネシアの“大物政治家”が違法漁船を片っ端に「見せしめ爆○」 している模様!! -YouTube
』
『
ロイター 2016年 05月 3日 11:07 JST
http://jp.reuters.com/article/angle-china-fishing-boats-idJPKCN0XT0FB?sp=true
アングル:中国が「漁船団」に軍事訓練、
南シナ海へ派遣
[白馬井(中国) 1日 ロイター] -
中国は、領有権を争う南シナ海へ送り込む漁船団の「高性能化」を進めており、海南島にある小さな港町、白馬井の漁船団は、軍事訓練や助成金はもちろん燃料や氷に至るまで、あらゆる支援を受けている。
そうした訓練や支援には、海上演習や外国船舶に関する情報収集などが含まれていると、海南省当局者や同地域の外交筋、水産会社幹部らが最近行ったインタビューで明らかにした。
「海上で活動する民兵組織は拡大している。
国がそれを必要としているからだ。
また、国益を守り、国家への奉仕に携わりたいという漁師の気持ちもその一因だろう」
と、同省政府の顧問は匿名で語った。
しかしこのような漁船団は、年間5兆ドル(約532兆5000億円)の貿易を支える戦略的輸送路となっている同海域で、外国の海軍と対立するリスクも高めていると、外交官や海軍専門家らは指摘する。
南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が人工島を建設している付近では、米軍が海空から哨戒活動を行っており、昨年11月にはB52戦略爆撃機2機を飛行させている。
米国政府は2月、南シナ海周辺での「航行の自由」作戦を増やす意向を明らかにした。
■<基礎的な軍事訓練>
人民武装部の支部が漁師に基本的な軍事訓練を提供していると、この海南省政府顧問は話す。
このような支部は、中国人民解放軍(PLA)と共産党の地方当局の監督下に置かれている。
訓練の内容には、捜索・救助活動や海上災害対策、そして「中国の主権を守ること」が含まれると、南シナ海を専門とするこの顧問は明らかにした。
海上演習も行う訓練は5─8月に実施され、政府は漁師に「参加費」を支払うという。
また政府は漁師に助成金を出すことで、木製ではなく、鋼鉄製でより重量のある船舶を使用するよう奨励している。
中国政府は少なくとも5万隻に全地球測位システム(GPS)装置も提供、外国船籍の船との遭遇など緊急時には海警局と連絡が取れるようになっていると、業界幹部は語る。
複数の海南島の漁師や外交官はロイターに対し、一部の漁船には小型の武器が搭載されていると述べた。
「主権を守る特別任務」が生じた際には、政府当局が漁船団と連携し、外国船舶の活動について情報収集させると、前出の顧問は明らかにした。
■<インドネシアとの対立>
政府当局と漁船団の連携は、3月に南シナ海にあるインドネシア領ナトゥナ諸島で中国の漁船が拿捕(だほ)されそうになったとき顕著に現れた。
中国の沿岸警備艇は、漁船を連行しようとするインドネシア海軍を阻止するためにすぐさま介入、外交問題にまで発展した。
中国政府はナトゥナ諸島の領有権を主張していないものの、漁船は「中国の従来の漁場」にいたとしている。
中国国有の水産会社は、スプラトリー諸島へ定期的に運航し、軍事訓練や助成金の多くを受ける漁船団を支配していると、業界筋は話す。
中国の水産業が世界最大であるのは間違いないが、同国沿岸地域の水産資源が激減しており、領有権を争う海域で漁をする経済的必要性に迫られていると、漁師や業界幹部は口をそろえる。
国有企業である「Hainan South China Sea Modern Fishery GroupCompany」のウェブサイトには「軍民両方」とあり、目的の一つはスプラトリー諸島に「中国の国旗を掲げる」ことだとしている。
「主権を守ることは、政府の主な懸念事項だ」
と、同社のゼネラルマネジャーであるYe Ning氏は、海南省の省都、海口市にあるオフィスで説明。
「だが言うまでもなく、自国の海域で普通の人々が漁をできることは当たり前であるべきだ。
それもわれわれの目的の一つだ」
と同氏は語った。
ロイターが入手した同社の会社案内によると、スプラトリー諸島に出航する漁師に燃料や水や氷を提供し、彼らが得た魚を買い取っているという。
■<危険がいっぱい>
「さまざまな外国船があるなかで漁をするのは、以前にもまして危険だ」
と語るのは、閑散とした港町、白馬井の漁師であるHuang Jingさんだ。
白馬井の港には見渡す限り、鋼鉄製の大きなトロール漁船が並んでいる。
「でも、中国は強くなった。
私たちを守ってくれると、政府を信頼している」
とHuangさんは語る。
また、私企業だが国から助成を受けている「Hainan Jianghai Group Co. Ltd」の会長を務めるChen Rishen氏は、大規模な鋼鉄製トロール漁船団をスプラトリー諸島付近に送り込み、その漁獲量は何百トンにも上ると語る。
一度の漁はたいてい数カ月に及ぶが、主に商業的な理由だとしている。
「外国の漁船がわれわれの領海に侵入して妨害しようとするなら、われわれは主権を守るという役目を果たす」
と、Chen氏は海口市で行われたインタビューのなかで答えた。
一方、中国政府は、南シナ海における領有権問題で漁船は使っていないとし、外務省の陸慷報道官は「このような状況は存在しない」と語った。
中国は漁船団が合法的に操業するよう措置を講じていると、同報道官は先月にも定例記者会見で語った。
■<活動ルール>
Chen氏はまた、同氏の会社に属する漁師たちが、燃料補給や中国沿岸警備艇との連絡のために西沙諸島(同パラセル諸島)の永興島(同ウッディー島)に立ち寄っていることを明らかにした。
中国は2月、同島に地対空ミサイルを配備している。
漁師たちは、中国がスプラトリー諸島でも建設中の同様の施設を利用することを心待ちにしていると、Chen氏は言う。
これまでのところ中国は、同諸島に滑走路1本を完成。
そのほか2本の滑走路と補給施設などが建設中である。
「こうしたことは全て、同海域で活動する各国の民間船と警備艇の間で効果的なコミュニケーションを取るための協定合意が必要なことを示している」
と、人道対話センターのアジアディレクターを務めるマイケル・バティキオティス氏は指摘する。
同センターは、領有権を主張する国々がそのような信頼を構築するための措置を講じる手助けを行っている。
連絡や手続きに関する地域的な協定は、敵対する海軍同士の艦船や他の軍艦にのみ適用されていると、同氏は指摘した。
(Megha Rajagopalan記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
』
【2016 異態の国家:明日への展望】