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ロイター 2016年 04月 17日 08:37 JST
http://jp.reuters.com/article/angle-china-moolight-generation-idJPKCN0XC0FI?sp=true
アングル:浪費好きな「月光族」、中国成長のカンフル剤か
[北京/上海 13日 ロイター] -
個人消費が新たな成長エンジンになるという中国の期待に、今年はすでに陰りが見える。
だが、限界まで浪費する新世代が、中国経済のカンフル剤となるかもしれない。
テクノロジーに精通した中間層の若者は、月末になると銀行口座が軽くなるため、「ムーンライト・ジェネレーション(月光族)」と呼ばれている。
彼らは、しっかり貯金し信用を重んじる親世代の慎重なやり方には背を向ける。
経済成長率が25年ぶりの低い伸びにとどまり、消費者への融資を増大するよう銀行を促した中国当局や、人員を削減し在庫を積み上げている小売業者などにとって、これは朗報だろう。
中国で320万の利用者がいるというモバイル金融サービス「我来貸」の設立者で最高経営責任者(CEO)の龍沛智氏にとっても、また良いニュースだ。
「ミレニアル世代の消費行動はかなり異なる。
すぐに得られる満足を求めている」
とし、長期的な資金計画は二の次だと龍氏は語る。
中国を専門とする投資ストラテジストのアンディ・ロスマン氏は、1900年代に米国で起きた借金主導の消費ブームに言及し、中銀当局は当時の米国の水準にまでもっていこうとしていると指摘。
「素晴らしいことだが、慎重に行われるべきだ。
さもなければ、悪用され、問題が生じるのを、われわれは米国で目の当たりにした」
と同氏は語った。
国際金融協会(IIF)によると、 家計の負債はすでに所得水準の60%近くに達しており、2007年の35%から増加している。
上海の国有企業に努めるTian Xueさん(27)は、自身を「月光族」に属すると考えており、一部の仲間は問題を抱えつつあると言う。
「多くの人が結局何も考えずに、実際に払える以上の消費を行っていると思う」
とTianさんは話す。
両親と暮らすTianさんは、インターネット上の「財布」に預金している。
通常、このようなオンライン金融は、系列のプラットフォームでクレジットサービスを行っている。
彼女はしばしば月に2万─3万元(約34万─50万円)を使うというが、この額は彼女の所得約6000元をはるかに上回っている。
■<緩い規制>
Tianさんのような若い消費者は、数多くの融資オプションが利用できる。
従来のクレジットカードのほか、ネット上で貸し手と借り手を結びつけるピア・ツー・ピア(P2P)融資、アリババ・グループ・ ホールディング(BABA.N)や京東商城(JDドット・コム)(JD.O)のような電子商取引(Eコマース)企業が提供する融資プラットフォームなどさまざまだ。
アリババのオンラインショッピングモール淘宝網(タオバオ)を使うと、同社の支払いサービス螞蟻花唄(Ant check later)の画面が画面に出てくる、と話すのは、北京で駅の改札員をしているというPang Yuさん(25)だ。
Pangさんはクレジットカードのほか、翌月に支払いができる螞蟻花唄を利用している。
時には支出が自身とパートナーの収入を上回り、1カ月に2万元にもなってしまうことがあるという。
アリババがコメントを差し控えた一方、京東商城はビッグデータを利用して、より迅速な支払い能力のある消費者をターゲットにしていると明らかにした。
国内総生産(GDP)比で言えば、中国人の消費や借入の規模は、米国の消費者のわずか半分程度にすぎない。
世界銀行による最新データによれば、中国は世界で3番目に預金額が大きいが、状況は急激に変化している。
2月に消費者の借り入れが約20兆元に上り、2010年から3倍に増加した。
GDPに対する家計の負債比率は、2008年以降倍増しており40%近い。
規制の緩いオンライン融資の急成長は、信用の質を損ねるリスクを引き起こしかねない。
当局はすでに、家計の負債を膨らませ、不動産バブルのリスクを高めている、野放し状態の不動産向け融資を取り締まる方針を打ち出している。
潜在的リスクについて、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)にコメントを求めたが返答はなかった。
政府や企業が大半を占める国全体の債務は、昨年GDP比250%に上り、それに比べると、個人負債の規模は見劣りするかもしれない。
エコノミストたちは、中国の高い預金率(中国人民銀行の周総裁によれば、昨年はGDP比で約46%)が、消費者金融によるシステミックリスクの緩衝剤として自然と機能していると指摘する。
もしうまくいかなかった場合、「月光族」の辛抱強い親たちが、子供を救済すると暗に言っているようなものだ。
北京で自動車販売の営業担当をしているGongさん(26)はまさにその一人だ。
Gongさんは昨年、「必要経費」だとしてカードで支払った鼻の整形手術代2万元を返済することができなかった。
結局、両親が肩代わりした。
だが、Gongさんは後悔はしていないという。
「それだけの価値はある。やって良かった」
とGongさんは語った。
(Sue-Lin Wong記者、Adam Jourdan記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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ダイヤモンドオンライン 2016年4月28日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/90447
中国でイベント集客低迷、
海外旅行で消費者の目が肥える
巨大な市場となりつつある中国は、ある意味、大型イベント天国のような存在だ。
この間、雑貨の町として知られる浙江省の義烏を訪れたとき、同市の商業局長が雑談の中で、同市では年間100以上の大型イベントを開催していると教えてくれた。
まるで市全体がイベントホールと化したようなものだ。
大型イベントで消費に刺激を与え、町を興すという認識は地方政府の役人にも、企業の経営者にも深く刷り込まれている。
景気が低迷しているこの頃、なおさらこうしたイベント路線に走ってしまう傾向がどこの町にも見られる。
中国での大型イベントの成功例といえば、2008年の北京五輪と2010年の上海万博だろう。
集客数、メディアでの露出の頻度、海外への情報発信力、実際の経済効果など、そのどれをとっても大成功と評価していいだろう。
こうした成功例を目の当たりにした中国の地方政府は自然と、わが町にもとイベントの誘致に力を入れる。
よく誘致されるイベントの一つは「中国国際園林博覧会」と称するものだ。
1997年にできたものだが、中国の国土交通省に相当する建設部と地方政府との共同主催によるイベントだ。
ガーデニングの分野では中国国内最高レベルのイベントを自称している。
通常の開催期間は6ヵ月に及び、数百万人もの集客力が主催地の貿易、旅行、環境と景観の改善に大きく寄与している、といわれる。
これまで10回も開催したという実績をもっている。
以下はその開催都市、開催年だ。
大連(1997)、
南京(1998)、
上海(2000)、
広州(2001)、
深セン(2004)、
厦門(2007)、
済南(2009)、
重慶(2011)、
北京豊台(2013)、
武漢(2015)。
地方との共催というよりも、実質的な運営はすべて地方に任せられており、イベントの名称は、現在まさに開催中の「中国(武漢)国際園林博覧会」といったような表示方法が取られている。
中国(武漢)国際園林博覧会の会期は2015年9月25日~2016年5月28日で、213ヘクタールにもおよぶ広大な会場に、地元の武漢市政府は大きな集客期待をかけている。
イベントのテナントを募集する資料では、平日の来場者数はのべ5万~6万9300人で、休日などの日には、最大の来場者がのべ17万5000人~25万人。
全来場者数はのべ1200~1800万人と予測されている。
■「イベントはもうこりごりだ。2度と手を出さない」
しかし、蓋を開けてみると、来場者数が予想していたそれを大きく下回るという厳しい現実に直面せざるを得なくなった。
そもそも昨年9月下旬に慌ててオープンした理由は、10月1日からの大型連休を狙っていたからだ。
だが、客足がすごく悪かった。
出店したある経営者が泣くに泣けない表情で、当時のことを振り返った。
「最初は期待していた来場者がまったくと言っていいほど来なかった現実を受け入れることができなかった。
中国国内最大の連休なのに、店は閑古鳥が鳴いている状態だ。
情報が周知されていないからだろうと思っていたが、その予想もまもなく外れた。
開催関連の情報がそれなりに発信されていることがわかったからだ」
いろいろと調査した結果、ようやくだいたいの原因が突き止められたという。
★.まず、海外旅行が大きなブームとなったいま、人々の目が肥えた。
本物志向がますます強くなってきた。
ガーデニングならばヨーロッパ旅行に行けばいい。
いやというほど本物のヨーロッパ庭園が見られるからだ。
だから、国際園林博覧会というイベント名ではもう人々の心をつかむことはできない。
★.次に、入場料やお土産品などの値段設定が高い。
一家揃っていくと、入場料だけで相当な出費になる。
景気が悪いこの頃、人々は慎重に判断する。
★.さらに、新しさが感じられない。
客に重い腰をあげさせるほどの魅力はない。
こうした原因が重なったため、集客ができないという悲惨な結果となった。
主催側は光熱費の免除や園内の動線の調整など、最後は施設賃貸料の免除まで、それなりの努力はしたが、結果が伴っていない。
出店した企業はすこしでも赤字を減らすために、イベント施設の一部を臨時オフィススペースとして、越境ECの会社にまた貸しして、賃料を稼いだりしている。
ただ、こうした涙を誘う努力にも限界がある。
とうとう契約破棄という最悪の手段を打ち出した出店側の企業も増えた。
私が知っている会社の社長も会期がまだ半分以上残っている時点で、
「雇用した店員の人件費だけでも相当な出費になる。
これ以上の出血はもうできない」
と、契約破棄という決意を下した。
「2008年から、ずっとイベント路線に沿って走ってきたが、これからはこうしたイベントはもうこりごりだ。
2度と手を出さない。
しかし、これから何をやればいいのか、わからなくなった」
とその経営者は頭を抱えた。
厳しい経済局面に、迷いを覚えている中国企業の経営者たちがいる。
同じ悩みを抱える経営者の友人もこう話す。
「これまでは私たちは売り上げの大きさに目も心も釣られていたが、
これからは小さくても自分の特徴のある経営をやらないといけないね。
ある特定の分野の専門家になれるように、会社の経営方針を変えたいと考えている」
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人民網日本語版 配信日時:2016年6月19日(日) 10時10分
http://www.recordchina.co.jp/a141341.html
中国の若者の間で広がる「イエ充」、
親たちは「思想の退化」を心配―中国メディア
王さん(51)は自分の息子の連休の過ごし方を見るにつけ、「至れり尽くせり」のモバイルネットワークが自分の子どもをますます怠惰(たいだ)にさせているようだと心配していた。
中国新聞網が伝えた。
ここ数年、出張ヘアカットや家政婦、料理のデリバリーなどインターネットによる「イエ充」経済が若者の間で人気だが、親たちは子供たちが体を動かさずに、物も知らず、想像力の欠けた「怠け者」になってしまうのではないかと心配している。
「出かけて渋滞に巻き込まれるより、家でゆっくりしていた方がいい」。
これは日ごろ仕事に忙しい1980年代生まれの劉さんが言うところの「休みは家で」という状態に他ならない。
6月の端午節の連休では、彼女は携帯で料理のデリバリーを注文し、友達と開いたパーティでは重慶名物の火鍋料理が時間ピッタリに到着。
食事の後には出張ネイルアーティストがやってきて彼女たちにネイルを施し、パーティがお開きになったあとは、予約していた家政婦がやってきて家の中をきれいに片づけてくれた。
劉さんのような「イエ充」向けのサービスを利用する若者は少なくない。
西北大学の1990年代生まれの董さんは携帯電話というツールを得てからというもの、衣食住はただ指を動かすだけ、宿舎を一歩も出ずにあらゆることを「解決」できてしまうという。
「イエ充」経済は多くの「引きこもり」を生み出した。
しかし1960年代生まれや70年代生まれの多くはこれに疑問を投げかけており、モバイルネットワークはこの二世代の「ジェネレーションギャップ」を大きくしている。
先述の王さんは取材に対し、SNSの隆盛は若者たちの耳と口を塞ぎ、モバイル予約サービスは彼らに手足を使うことを放棄させ、徹底的な「引きこもり」にしてしまうと指摘し、日常生活の中では多くのことを自分で解決することで初めて違った物の見方をできるのだとした。
現在多くの若者たちが努力することを嫌がり、インターネット時代がこの現象をより広めているとする指摘もある。
鄭さん(48歳)は「身体の怠惰は怖くないが、怖いのは思想の退化だ」と断言する。
彼女はハイテクがもたらす便利な生活を送ることを理解できないというのではないが、若い人々の思考が鈍化し、知能指数が低下するのではないかと心配している。
一方で、西安煤炭研究院で働く80年代生まれの羅さんは、現在の若者たちは家や車のローンや養育のストレスから心身ともに疲弊している。
そのため煩雑な家事から解放されるのは願ったり叶ったりだとした。
若い世代にしてみれば、父母の年代が抱える心配は新しい事柄を受け入れられないショックからきており、ややとりこし苦労なのではないかという考えのようだ。
陝西省社会科学院の専門家である唐さんは「イエ充」経済はモバイルネットワークの発展と共に広まっているが、これは「諸刃の剣」なので、あまり頼り切らない方がよいと指摘している。
親たちは子供の成長を尊重し、平和的なコミュニケーションを行うことで、モバイルネットワーク時代においても、この二世代の人々は共に成長することができるとしている。
(提供/人民網日本語版・編集/TG)
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【2016 異態の国家:明日への展望】
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