2016年4月22日金曜日

「パナマ文書」の衝撃(6):このところ中国ラッパの音量がちいさくなっているが、中国人は独裁政治に慣れている

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 パナマ文書が出て以来中国ラッパの音量がちいさくなっている。
 「汚職撲滅運動」を推進してきた共産党政府だが、その常任委員チャイナセブンの3人に「汚職」の実態ありでは衝撃だろう。
 それもトップの習近平の名前があがっていたのでは、共産党政府も頭が痛い。
 国内は報道規制で封じ込めようとするが
 世界ではあの汚職摘発は習近平の「権力闘争」と見られてもおかしくはない。
 また、この運動で苦い思いをさせられてきた連中は、これによって息を吹き返し、反習近平運動の足がかりを掴んだことになる。
 汚職撲滅運動は、クリーンを目指すという理想から完全に「共産党権力闘争」という形に変質してしまった。
 政権側は今後どう対応すべきか頭を悩ます時期に入っている
ということにはならないだろうが。
 ナンバー5とナンバー7は逮捕、習近平は拘束、
ということにはならないだろうが、
 どうにかしないと習近平体制の集権力が落ちていくことは免れない。
 また、表面には出てこないだろうが
 どこまで反習近平の波が広がり強まっていくか
も注意が必要になる。
 共産党としては立て直しにやっきになっているだろうが、どういう形でこの苦境を乗り越えるか、難しいところである。



Record china 配信日時:2016年4月21日(木) 22時20分
http://www.recordchina.co.jp/a134510.html

G20の反汚職タスクフォース、
中国企業の不参加で解散に
=中国外務省は回答避ける―米メディア

 2016年4月20日、中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は定例記者会見で、中国が今年20カ国・地域(G20)の議長国になって以来、反汚職活動などを推進する「B20(ビジネス20)」が活動を停止していることについてコメントを求められたが、直接的な回答を避けた。
 米ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)が伝えた。

 ロイターによると、B20はG20のグローバル企業の幹部や民間団体らで作る組織で、オフショア市場の金融構造の透明性を高める方策も策定していたが、関係筋によると、中国企業が参加を拒否したため1月後半に解散された。

 華報道官は
 「中国は今年のG20議長国として反汚職活動を高度に重視している。
 今後も一連の反汚職会議を開いていく」
と述べるにとどまった。



ダイヤモンドオンライン 2016年4月26日 加藤嘉一
http://diamond.jp/articles/-/90279

中国共産党の反腐敗闘争が
経済改革にもたらす逆効果

■反腐敗闘争はいつまで続くのか?
2016年も続く高級官僚の「落馬」

 習近平総書記が続けてきた反腐敗闘争。
 足もとでは中国の経済成長・改革に負の効果をもたらし始めたように見える

  「加藤さん、反腐敗闘争はいつまで続くと思いますか?
 最近はあまり聞かれなくなったが、これは1~2年ほど前まではしばしば耳にした問題提起である。
 第十八回党大会(2012年11月)以来、習近平総書記と王岐山・中央規律検査委員会書記はスクラムを組みながら、二人三脚で反腐敗闘争を続けてきた。
 そんな闘争の近況が気になるのは、共産党体制内で行われる権力闘争、全国各地の党・政府・国有企業の幹部や役人が摘発・処分されるプロセスが、中国人、外国人を問わず、この国と付き合っていく上で決して軽視できないファクターであるからだろう。

 私自身、反腐敗闘争という現象あるいは側面は、中国共産党の現在地、党内権力闘争、そして改革開放・構造改革などの行方を占う上で極めて重要であると考えている。
 本稿では、久しぶりに“この問題”を扱ってみたい。
 まず参考までに、18党大会後に“落馬”(筆者注:汚職や腐敗が原因で摘発され、党組織としての処分を受けること)した高級官僚(筆者注:中央次官級・地方副省長級以上の高官を指すものとする)の数をレビューしておきたい。

 2012年11月~2013年末が19人、2014年が39人、2015年が29人。
 また党軍関係的に同級以上の解放軍幹部では、2012年11月~2015年末のあいだに41人が落馬している(筆者注:徐才厚、郭伯雄・両元中央軍事委員会副主席は解放軍幹部としてではなく、党高級官僚として換算)。
 このように見てくると、反腐敗闘争は、特に高級官僚の落馬という視角からすればピークは過ぎていると言える。
 一方、昨年1年間だけで29人もの高級官僚が処分されていることを考えれば、闘争はいまだオンゴーイングだとも見て取れる。

 2016年に入ってからも、高級官僚が断続的に落馬している。
 3月、全国人民代表大会(全人代)が開幕した直後、王珉・遼寧省共産党委員会前書記、全人代文科衛生委員会副主任が落馬した。
 地方の書記というポジションは高級官僚の中でも群を抜いて高い職位ということもあり、世論は騒然とした。
 全人代や同時に開催されていた政治協商会議に参加した各指導者たちは、「反腐敗闘争が終わっていない証拠。
 断固として党中央の決定を支持する」というコメントを出していた。

 毎年、全人代期間中の落馬状況には注目が集まってきた。
 恒例の「政府活動報告」を発表した李克強首相は、同報告のなかで「断固として腐敗を撲滅していくこと」「官の汚職や腐敗を徹底的に取り締まっていくこと」を強調した。

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JB Press 2016.4.28(木)  柯 隆
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46672

中国人は独裁政治に“麻痺”しているのか
リスクだらけでも重大なクライシスには見舞われない中国社会

 中国の専門家の間で、中国あるいは中国経済に関する見方は大きく分かれている。
 「中国は間違いなく崩壊する」という見方がある一方、
 独裁政治が続いている間は大丈夫という見方もある。
 独裁ならば危機に対処する施策を確実に実施できる
ということのようである。

 独裁政治が危機を回避できるかどうかは別の議論として丁寧に分析する必要があるが、
 中国の「リスク」が「クライシス」になるかどうかをここで考えたい。

リスクとは危険な状態に陥る可能性のことを意味する。
 それに対して、クライシスはまさに危機、あるいは危険な状態にあることを指す。

 1976年毛沢東が逝去したとき、中国は統治力を失い、大きなクライシスに直面していた。
 それ以降、中国は常にリスクを孕んでいる。
 だが、本格的なクライシスに陥ったことはない。
 中国は局所的なクライシスにはたびたび見舞われている。
 たとえば、2015年8月、天津港の薬品倉庫で巨大な爆発事故が起きた。
 それは関係者にとって深刻なクライシスだったが、中国全体の危機ではなく天津港の危機にとどまった。

■中国人は独裁政治に慣れている

 日本は世界でも有数の安心・安全な国と言えるが、中国人からみると日本もリスクに満ちた国でもある。
 中国人は子どもを海外に留学させる際、まずはアメリカまたはイギリスを優先して考える。
 日本は優先順位が低い。

 特に中国人が心配しているのは、日本の自然災害だ。
 日本では、数年に一度巨大な地震が起きているうえ、毎年、台風や爆弾低気圧に見舞われ大きな被害を出している。
 ただし日本人からすれば、確かに日本は地震が多発する国だが国全体が大混乱に陥ることはない。

 中国人から見た独裁政治も同様である。
 中国人は独裁政治に「慣れている」といっても過言ではない。
 否、慣れているというよりも、諦めているとさえ言える。

 筆者は、28年前に名古屋に留学していたとき、故郷の南京に結婚の手続きをしに帰ったことがある。
 そのとき地元の民生局から
 「あなたは外国で生活しているので、結婚するために、指定の病院で健康診断を受けなければならない」
と言われた。
 仕方なくその病院に行くと、生殖能力があるかどうかなどを含めて、何から何まで調べられた。
 「この野郎、なんてことをするんだ」と真剣に腹が立ったが我慢をして健康診断を受けた。
 すると、健康診断証明書をもらうまでに、300元の費用を請求された。
 300元は当時の中国人の月給2カ月分である。
 おまけに外貨兌換券でなければいけないという。
 外貨兌換券は外国人専用の通貨であり、人民元より付加価値が高い。
 これは明らかに病院の腐敗だった。

 健康診断証明書を持ってもう一度民生局に出頭すると、「今日、手続きすることはできない。君が結婚していいかどうか我々のほうで検討しないといけない」と言う。
 私は「なぜお前らに検討されなければならないのか」とはらわたが煮えくり返っていた。
 でも、我慢して「検討にはどれぐらいかかりますか」と聞くと「1週間」だと言う。
 もはや怒りを通り越してあきれるしかなかった。

■パナマ文書は「ジャスミン革命」を引き起こすか?

 中国人は、役所や政府を嫌悪しているが、政権にとってそれがすぐさまクライシスになるわけではない。
 前述したように局所的なクライシスは絶えず起きているが、国を揺るがすクライシスにはつながらない。

 今、パナマ文書によって、タックスヘイブンを利用する世界の政治指導者とその親族が実名で暴露されている。
 中国の政治指導者の一部とその親族もタックスヘイブンに隠し資産を保有していると言われる。
 パナマ文書は中国の政治指導者の威信と権威にダメージを与えるだろう。
 自らへの個人崇拝を強化させようとしている習近平にとっても、その影響は極めて大きい。

 中国政府は、パナマ文章のような都合の悪い海外情報をできる限り国民の目から遠ざけようとしている。
 例えばインターネットでは中国の検索エンジン「baidu.com」で「パナマ文章」と中国語で入力して検索すると、「入力されたキーワードが法に違反するおそれがあるため、表示できない」とのメッセージが現れる。
 LINEに相当する「微信」などのSNSへの投稿やe-mailなども、全部検閲される。ネットだけではなく国際郵便の内容も開封されてチェックされる。

 とはいえ、パナマ文書によって共産党政権が転覆されることはない。
 チュニジアのジャスミン革命が中国で起きる可能性はほとんどないと言ってよい。
 パナマ文書は、中国政府にとっては“局所的”なクライシスである。

 共産党は国家を統治するために社会のあらゆることに関与しようとする。
 そのため人民の怒りの鉾先は往々にして政府に向けられ、中国社会は常に不安定な状態である。
 だが、今のところは革命が起きるようなクライシスに陥る可能性はなさそうである。



読売新聞 5月4日(水)18時53分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160504-00050042-yom-int

李鵬・元首相の娘、租税回避地に会社…香港紙

 【広州=比嘉清太】香港紙・明報などは4日、中国の元最高実力者、トウ小平のめい夫婦が、カリブ海にある英領バージン諸島に設立した会社の役員として名前を連ねていたと報じた。

 同紙が各国の首脳らによるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴露した「パナマ文書」の一部を入手して分析し、判明したという。

 明報など香港メディアによると、トウ氏のめいは2009年に、その夫は06年に同社の役員となった。

 また、李鵬(リーポン)・元首相の娘で、「中国電力界の女王」と呼ばれる李小琳・中国電力国際発展元会長が、同諸島に会社を所有していたことも判明した。






【2016 異態の国家:明日への展望】


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