2016年3月7日月曜日

適正人口への長い道のり(2):中国に労働力不足は存在しない、人口減少は都市移住と教育水準向上でカバー

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 自然・社会的環境から予想される日本列島の適正人口は8千500万人から9千万人前後。
 韓国はというと3千500万人前後。
 ちなみに韓国の今の人口は5千万人。
 中国はというと、これは難しいがまずは10億人は上限でそれ以下であることは確実だろう。
 共産党政府はその想定で一人っ子政策を実施したのだが、やりかたが急すぎた。
 この政策で急激に豊かにはなったが、人口バランスが大きく崩れてしまった。
 ために高齢社会が予想よりすこぶる速く襲ってくることになった。
 「一人っ子政策」とは人類史上における「歴史的な人類実験」であるが、どうも長いスパンでみると失敗の色が濃い。
 夫婦という形からみると「二人っ子こ政策」がベターなのかもしれない。
 「一人っ子政策」はあまりに過激であったともいえる。
 それだけ、中国が人口に苦しんだということでもあるのだろう。


配信日時:2016年3月7日(月) 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/a130531.html

中国に労働力不足は存在しない、
人口減少は都市移住と教育水準向上でカバー―香港紙

 2016年3月5日、参考消息網は記事
 「中国には経済を回すのに十分な労働力がある」
を掲載した。

 過重債務や環境汚染など難題が山積みの中国。
 その中でも最大の課題と目されているのが労働人口の減少だ。
 一人っ子政策の影響もあり、中国は世界最速のペースで少子高齢化が進むことが確実となっている。
 すでに労働人口は減少トレンドに転じているだけに喫緊の課題となっている。

 しかし香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは4日、中国には経済を回すのに十分な労働力があると反対する論陣を張っている。
 中国には6億2000万人の農村人口が存在する。
 若者の多くはすでに都市で出稼ぎしているとはいえ、それでも40歳以下の農村居住者は1億9000万人に達する。
 今後10〜20年にかけて彼らは都市に移住していくことになるが、それは膨大な労働力の供給が続くことを意味する。

 また教育レベルの向上も見逃せない。
 大学進学率の向上など中国の教育水準は飛躍的な上昇が続いており、ハイレベルな人材の供給は増え続けている。
 これを考えれば、今後長期にわたり中国の労働力供給は十分な量に達しているという。



レコードチャイナ 配信日時:2016年3月10日(木) 2時30分
http://www.recordchina.co.jp/a130733.html

中国の人口ピークは14億5000万人、
2050年には13億8000万人に―国家衛生・計画出産委員会

  2016年3月8日、中国の人口は最大で14億5000万人に増える見通しだ。
  新華社が伝えた。

 中国国家衛生・計画出産委員会の李斌(リー・ビン)主任が、全国人民代表大会の記者会見で明らかにした。
 すべての夫婦に第2子までの出産を認める「全面二孩」制度により、新たに9000万組の夫婦が第2子をもうけることができるようになる。
 新生児が増えることで、労働力人口は2050年までに3000万人増加すると予測している。

 人口は、現在の13億7500万人から14億5000万人をピークとして増加し、50年には13億8000万人に縮小するとしている。



レコードチャイナ 配信日時:2016年3月20日(日) 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/a131227.html

尋常ではない中国の高齢化、
毎年パリの3分の1の面積の墓地が必要に―フランス紙

 2016年3月15日、フランス紙フィガロは、中国の深刻な高齢化事情について報じた。 
 16日付で参考消息網が伝えた。

 ある統計によると、中国の人口は2030年にピーク(14億5000万人)に達した後、毎年500万人のペースで減少を続け、今世紀末には10億人を切ると予測されている。
 国連の調査では、6億人にまで減少するとの見方も出ている。
 男女比の不均衡と、ドイツや日本、韓国よりも高齢化のペースが早いことで、中国には「史上類を見ない状況」が訪れるのだという。

 こうした人口の変化で問題になるのが墓地だ。
 中国の国土面積は世界第3位だが、人口減少が始まると、毎年パリ市の面積の3分の1にあたる30平方キロメートルあまりの墓地が必要となり、墓地不足が課題になる。
 中国の80歳以上の人口は2014年時点ですでに2400万人に達しており、中国政府は昨年、一人っ子政策の完全廃止を決めたが、記事はこれだけでは高齢化の解決にはほど遠いと指摘している。



ロイター 4月21日(木)11時39分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160421-00000040-reut-cn

中国本土の人口、13億7300万人に 
60歳以上が全体の16.15%

 中国国家統計局は20日、2015年11月初めに実施した調査で、中国本土の人口が13億7300万人に増加したと発表した。
 2010年の前回調査時から3377万人増えた。

 国家統計局のウェブサイト(http://www.stats.gov.cn)によると、都市部の人口は7億6750万人、全人口に占める割合は55.88%で2010年から6.2%ポイント増えた。

 中国の人口は2050年までに約14億5000万人でピークに達すると見込まれている。
 一方で労働人口は減り続け、このときには3人に1人が60歳以上の老人になるとみられている。
 現在、60歳以上の人口は全体の16.15%だという。

 中国共産党は昨年、加速する高齢化に対応するため「一人っ子政策」を撤廃し、全ての夫婦が第2子まで持つことを認めると発表した。



毎日新聞 3月20日(日)9時9分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160320-00000005-mai-cn

<中国>「無戸籍1300万人」重く 第2子、罰金払えず

 中国政府が1月に一人っ子政策を撤廃したことに伴って、2人目以降に科せられる罰金を支払えず、戸籍がなかった「闇っ子」の戸籍登録に本腰を入れ始めた。
 2011年の発表で中国国内の無戸籍者は約1300万人。
 学校に通えず、医療保険などの社会保障も受けられない差別的待遇が国内外から批判されてきた。
 だが、一部の大都市は戸籍登録に慎重な姿勢を崩しておらず、一人っ子政策のひずみ解消にはまだ一定の時間がかかりそうだ。

 北京市に住む李雪さん(22)は戸籍のない「闇っ子」だ。
 不条理な仕打ちに対し敢然と声を上げ、国内外から注目を集めている。

 李さんには八つ上の姉の彬さん(30)がいる。
 両親は第2子をもうける気はなかったが、母、白秀玲さん(56)の持病のために中絶手術をできなかった。
 5000元(約8万7000円)の罰金を要求されたが、当時の一家の月収は数十元。「闇っ子」として学校にも通えず、病院にも行けない人生を強いられてきた。
 李さんは
 「私の親は障害を持ち、当時の罰金は払える額ではなかった。
 戸籍と関連づけられるのは心外だ」
と訴える。

 1979年に一人っ子政策を導入した中国は、超過出産した国民に、年収をはるかに超える多額の罰金支払いを科してきた。
 地方政府は罰金と引き換えでしか戸籍を与えず、無戸籍状態の子供が大量に発生。問題視した国は80年代から繰り返し、地方政府に
 「戸籍登録と罰金を関連づけるべきではない」
と指示してきたが、事実上放置。
 人口抑制の目標達成を重視する現場では無視され続けてきた。

 中国政府は昨年10月、一人っ子政策を撤廃し「二人っ子」政策に変更すると発表。
 関係部局は「闇っ子」の解消についても検討し、昨年12月、中国共産党の重要会議で、「闇っ子」の戸籍登録を徹底する「意見」を承認した。
 ところが、人口が集中する北京や上海など都市部では、戸籍登録を求める声に当局担当者が「まだ細則が決まっていない」などと対応を拒否する事例が相次いでいるという。
 また、3人目以降の罰金制度は存続しており、「闇っ子」を生む構造は温存されている。

 李さんも「意見」公表後の今年2月1日に地元公安局に戸籍申請に行ったが、いまだに回答はない。
 李さんは
 「自分にはまだ戸籍がない。
 私の権利はこれだけ侵害されたのに、誰も責任を取らない」
と指摘した。【中国取材班】



ハンギョレ新聞 3月27日(日)14時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160327-00023687-hankyoreh-kr

進む韓国の高齢化
…来年から高齢者が幼少年人口を上回る


●幼少年と高齢者の人口構成の割合の推移(資料:統計庁、単位:%)

高齢者14%、 幼少年13.4%で逆転の見通し 
平均年齢40.7歳... 2040年には50歳に迫る 
出生率1.24人... OECD加盟国の中で最下位

 高齢化と少子化の影響で、来年は65歳以上の高齢者人口が幼少年(0~14歳)より初めて多くなる。
 韓国人の平均年齢は、昨年初めて40代を越え、今年は40.7歳になった

 統計庁は23日、こうした内容を盛り込んだ「2015韓国の社会指標」を発表した。
 これによると、全人口の幼少年(0~14歳)の割合は減り続けている。
 1980年に34%だった幼少年の割合は、30年後の2010年には16.1%で半分以下になり、今年は13.6%に低下した。
 一方、65歳以上の高齢者は、1980年の3.8%から今年は13.5%に上昇した。
 これにより、来年には高齢者人口の割合(14%)が幼少年(13.4%)を上回ることになる。

 進む高齢化は平均年齢の増加にも顕著に現れている。
 1980年の韓国国民の平均年齢は25.9歳だったが、昨年は40.3歳で、初めて40代になった。
 2040年には50代(49.7歳)を目前にする。
 このままだと、生産年齢人口(15~64歳)100人が扶養すべき高齢者が、今年の18.5人から2020年には22.1人に、2040年には57.2人となり、急激に増えることになる。

 少子化現象も緩和される兆しが見当たらない。
 2000年に1.47人だった出生率は、2010年には1.23人、2015年には1.24人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位だ。
 高齢化と少子化は、韓国経済の成長動力を弱め、潜在成長率を落とす要因になる。
 現代経済研究院が最近発表した報告書「国内潜在成長率の推移と展望」では、「低出産と高齢化で労働と資本の投入が鈍化しているが、これを相殺するだけの生産性の向上が行われていない」と指摘した。
 今の傾向が続けば、韓国経済の潜在成長率は、2011~2015年3.2%から2016~2020年には2.7%に低下するものと予想される。

 高齢者人口が増えているにもかかわらず、彼らの老後資金は不足しており、消費生活に対する満足度が最も低かった。
 昨年、統計庁の調査では、60代以上の消費不満度は42.3%で、全年齢層の平均(38.1%)よりも高いことが分かった。




ロイター 2016年 03月 6日 17:13 JST  Edward Chancellor
http://jp.reuters.com/article/usa-economy-breakingviews-idJPKCN0W60QF?sp=true

コラム:バフェット氏の米経済楽観論、長期的には妥当


●2月29日、ラリー・サマーズ元財務長官は米経済が「長期的停滞」の時期に入ったと考えている。
 だが、ウォーレン・バフェット氏(写真)はその主張に納得していない。
 ワシントンで昨年10月撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)

[29日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 元財務長官でホワイトハウスの経済政策における長老でもあるラリー・サマーズ氏は米経済が「長期的停滞」の時期に入ったと考えている。
 だが、ウォーレン・バフェット氏はその主張に納得していない。

 バークシャー・ハサウェイの会長を務めるバフェット氏は、先週末、株主に対する書簡のなかで
 「米国の未来はかつてないほど明るい」
と主張している。

──関連記事:バフェット氏、株主への手紙で米経済を楽観 後継者に言及せず

 バフェット氏は歴史を味方につけているし、恐らく超長期的には彼の正しさが証明されるのだろう。
 とはいえ、金融危機以降のバランスと持続性を欠く回復のせいで、米経済・グローバル経済の当面の展望は依然として暗いままだ。

 数年前、米国の成長が急停止したのではないかという疑問を最初に提起したのが米ノースウェスタン大学のロバート・ゴードン氏である。
 同じ主張は、同氏の近著「The Rise and Fall of American Growth: The U.S. Standard of Living since the Civil War(原題)」にも再登場している。
 ゴードン氏は、米経済にはいくつかの要因に足を引っ張られていると言う。
 特に、人口動態における不利なトレンドのせいで生産量が抑制されており、過去に比べ現代のテクノロジーは生産性を向上する力が乏しいというのが彼の主張だ。
 しかし、これらの論拠はいずれも脆弱である。
 人口動態の長期的な予測は間違いやすく、特に伝統的に多数の移民を受け入れてきた米国のような国ではなおさらである

 実際、「長期的停滞」という言葉を最初に使ったのは1930年代初頭、ハーバード大学のアルヴィン・ハンセンだが、彼は人口の伸び悩みが設備投資・住宅需要の減少につながるだろうと主張していた。
 ハンセンの人口動態予測は大きく的を外した。1930年代以降、米国の人口は約160%増加し、複合増加率は年1%強となった。
 将来的に生産性の上昇が減速するという示唆も、同じように不確かだ。
 ゴードン氏は、他国で大学進学率が上昇していることから、教育面における米国の優位が失われつつあると主張している。
 だが高学歴化と経済生産のつながりは弱い。

 スイスは世界で最も豊かな国の1つだが、21世紀に入る時点で、スイス国民の大学進学率はわずか10%だった。
 それに、シリコンバレーが外国で教育を受けた労働者を受け入れて巧みに国内の人材を補ってきたという実績もある。

 現代のテクノロジーは過去と同程度の効率改善をもたらしていないと、ゴードン氏は主張する。
 彼は
 「(デジタル革命は)労働の場における、また余暇の時間における新たな消費の機会を生み出したが、
 人間の労働を機械に置き換えるという歴史的な伝統は続かなかった」
と書いている。
 これはナンセンスだ。

 インターネットは多くのビジネスや産業を破壊したし、今も破壊は続いている。
 問題は、無料で提供されるデジタル情報があまりにも多いので、
 国内総生産(GDP)という伝統的な指標に反映されないことだ。

 またゴードン氏は、地球温暖化のコストが経済成長を鈍化させることを懸念している。
 エネルギーを抽出するためのコストの上昇が、やはり同じような悪影響を与えるのではないかと心配する者もいる。
 だがこれもやはり、技術革新が終わりに近づいていると言っているにすぎない。

 ゴードン氏と同じノースウェスタン大学で教える経済史家のジョエル・モキア氏は、
 「今日見られる悲観論の大半は、想像力の不足を主な原因としている」
と書いている。
 同氏は、3Dプリンティング、炭素素材「グラフェン」や遺伝子治療など、大きな革新をもたらす可能性のある新たなテクノロジーの例を列挙している。

 最初の「長期的停滞」が始まった頃に生まれたバフェット氏は、自分の生きている間に米国の国民1人当たりGDPが6倍という「腰を抜かすほどの」伸びを示すのを目の当たりにしてきた。

 「この240年間、米国が衰退する方に賭けるのはとんでもない誤りだった。
 そして今それを始める時期でもない。
 商業と技術革新という、米国にとっての『金の卵を産むガチョウ』は、今後もより多くの、そしてもっと大きな卵を産み続けるだろう」
とバフェット氏は書いている。
 「そして、米国の子どもたちは、両親よりもはるかに良い生活を送るようになる」
と。

 では、米国の人口動態と技術革新が心配の種にならないとすれば、それ以外の停滞の根拠はどうだろうか。

 ゴードン氏らは、富裕層はそれ以外の層に比べて、所得が増えた分を支出に回す傾向が弱いため、経済格差は消費を抑制すると考えている。
 また高水準の家計債務も需要を圧迫している。
 雇用市場の不振が米国の労働参加率の急落をもたらしており、これもやはり同じように消費を圧迫する影響を及ぼす。

 だが、こうした長期的停滞の原因とされるものは、もっぱら、ここ数十年の稚拙な金融政策の結果である。

 現在みられる経済格差の拡大には複数の原因が考えられる。
 特に顕著なのが、グローバリゼーションの影響と、新たな「勝者総取り」型のテクノロジーだ。
 しかし米連邦準備理事会(FRB)が果たした役割を見過ごすのは間違っている。

 低金利と量的緩和により、家計の資産は記録的な水準まで増大しており、社会の最富裕層に不釣り合いな恩恵を与えているのである。
 さらに低金利は金融工学の発達を促し、金融界の稼ぐ手数料収入と、株式ベースによる幹部報酬を膨張させた。
 実体経済はやはり取り残されてしまった。

 超低金利は、経済の動脈硬化を招いている。

 サタジット・ダス氏が著書「The Age of Stagnation(原題)」で書いているように、低金利は、脆弱な企業が生き延びるのを助けている。
 銀行の資本は収益性の低い事業に縛り付けられ、銀行の融資能力を制約している。
 創造的破壊が阻害されている。米国の雇用市場がこれほどまでに振るわないのは、このあたりに原因があるのかもしれない。

 また低金利によって過剰債務が残ってしまっている。
 実際、低金利のせいで民間・公的部門双方にレバレッジを拡大するインセンティブが生じている。低金利の結果、価格バブルの流れが起きている。
 リーマン・ブラザーズが破綻して以来、引き受け基準が急速に低下していることで、サマーズ氏が認めているように、金融市場の安定性が脅かされている。

 結局のところ、低金利がバブルを膨らませ、資本の不適切な配分が進み、それが生産性に打撃を与えているのである。

 「長期的停滞」が、いわゆる「狂騒の20年代」の余波のなかで提起されたのは意外ではない。
 ハンセンが1934年に書いているように、1920年代の好景気は、産業界が「安易な融資の行き過ぎによって人工的な刺激を受けた」ことで生じたものであり、それが「恐慌の原因となった」のである。

 ハンセンは、1930年代初頭の米国民のなかで
 「大衆的な苛立ちと焦りが高まり、それによって、強制的な景気回復手法を大規模に試すことが必要になった」
と嘆いている。

 同じような特性が、前回の金融危機の余波のなかで再び浮上している。
 長期的停滞は、非伝統的な金融政策がもたらした意図せぬ結果である。米経済の未来に関するバフェット氏の楽観論が場違いに思えるのは、そうした金融政策が居座り続けるあいだだけなのである。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)





【参考】
 人口というものを発展の原動力にしている限り限界がある。
 地球自体がそれを拒否し始めている。
 経済学は人口すなわち数値化された『人間馬力』をもって経済を計ろうとする。
 しかし将来を見据えたとき、人口は大きな価値をもつようには見えない。
 『人間馬力』に代わるものが出始めてきている。
 『ロボット』である。

サーチナニュース 2016-03-16 20:18
http://biz.searchina.net/id/1605055?page=1

日本の「見せかけの衰退」に惑わされるな、
日本は将来見越して「臥薪嘗胆」

 内閣府が発表した2015年10-12月の国内総生産(GDP)改定値は、年率換算の実質で-1.1%だった。
  日本経済は今なお低迷から脱却できず、一部ではアベノミクスは失敗したという論調も浮上してきている。

 しかし、中国メディアの捜狐はこのほど、
 「日本経済の見せかけの衰退に惑わされるな」
と題して、日本経済の不振は見せかけだと主張する記事を掲載した。

 記事は、短期的な物価上昇率やGDPの数値だけでアベノミクスを「失敗だ」と判断すべきではないと主張し、
 アベノミクスの核心的な意義は「日本が失った30年を中国の手から取り戻す」ことだ
と主張。

 それを実現するための方法が
 「米国のアジア太平洋地域への回帰に乗じ、
★.軍事を増強することで中国を撹乱し、
★.中国の意識を経済ではなく軍事面に向けさせる
と同時に、
★.日本は極端な金融緩和政策で長期流動性を高め、
 実体経済の歪みを利用して新たな経済分野で一挙に中国を追い越すこと
にあると主張した。

 では、「新たな経済分野」とは何を指すのだろうか。
 記事によれば、それは「ロボットに代表される日本のハイテク製品」だという。
★.これまでの世界経済では、発展の原動力は「労働力」にあったとし、
 労働力の安価な国に企業が生産拠点を移転することでその国は発展を遂げてきた
と指摘。
こうした流れは今後も続くと論じる一方で、
★.根本的に異なるのは発展の原動力は
 「人的資源」から「ロボット資源」へと変化し、
 将来的にはロボットが労働力となり、生産性やコストの鍵を握ることになる
と論じた。

 続けて記事は、日本は第4次産業革命を見越して「臥薪嘗胆」を続け、中国を追い越す準備を進めていると主張。
 したがって、日本の経済衰退は見かけの現象であり、
 「将来、日本は世界のロボット製造大国になるのではないか」
と危機感を示し、すでに
★.労働コストが上昇し、明確な強みを見いだせていない中国の製造業は
 「ロボット技術のレベルは日本のレベルに追いつくことができるのだろうか」

と不安を吐露した。



ダイヤモンドオンライン 2016年3月16日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
http://diamond.jp/articles/-/87970

人工知能が囲碁トップ棋士に勝つ時代に考える「知的職業」の未来

■「頭脳アスリート」の闘争本能で
果敢に戦ったイ・セドル九段は偉い

 コンピュータープログラムがプロ棋士に勝つまでにはまだ10年くらいかかると言われていたが…
 韓国出身で近年の囲碁世界チャンピオンだったイ・セドル九段が、グーグルの系列会社が作ったAlphaGoというプログラムと戦って敗れた。
 5番勝負で最初に3連敗したのだ。

 5番勝負は、途中経過にかかわらず最後まで打たれることになっていて、第4局目はイ九段が勝った。

囲碁は、盤のサイズが大きいこともあって(19×19である)、計算上あり得る手の数が多く、コンピュータープログラムがプロ棋士に勝つまでにはもう10年くらいかかるのではないかと言われていたが、AlphaGoはこの予想を一気に覆した。

かつてチェスの世界チャンピオンが敗れ、
 将棋の一流棋士も公開対局で敗れたものの、
 囲碁はまだ大丈夫だろうと言われていたのだが、
 意外に早くコンピュータープログラムの軍門に下った。

 しかし、このプログラムと戦ったイ・セドル九段には、いくら讃えても讃えきれないほどの尊敬の念を覚える。
 戦うと決断したことが英断だし、加えて、3連敗後の4局目に勝ったことも素晴らしい。

 プログラムと戦うことは、名誉の点でも、彼のライバルに対して情報を与える点でも有利ではなかったはずだが、「碁が強い相手」がいるなら、それが人間でも、プログラムでも、戦いたいと思ったのだろう。
 その頭脳アスリートとして闘争本能と囲碁に対する態度は実に素晴らしい。

 日本独自のゲームである将棋にあっても、近年、コンピュータープログラムが強く、トッププロでも、事前にプログラムの弱点を研究して、それが上手く決まらないと、勝ちにくい状況になっている。
 将棋のプロの世界では、故米長邦夫前将棋連盟会長時代から、公開の場において無断でコンピュータープログラムと戦うことを禁じており、その制約は、まだ今日にも及んでいる。
 この制約は、将棋連盟が認めコンピュータープログラムとプロ棋士が戦う「電王戦」などを通じて、同連盟にいくばくかの収入をもたらし、「興行的」にはそこそこの成功だった。

 しかし、そこに良い棋譜を生み出すかもしれない相手がいて、しかも、その相手が強いのであれば、棋士なら誰でもそれと戦いたいだろうし、将棋というゲームを極める、いわば「将棋道」的観点からは、プロ棋士とコンピュータープログラムの対戦を、制限を設けずにどんどん行うことが正しかったのではないだろうか。

■「希望に満ちた」内容だったコンピューターの戦いぶり

 この点で、世界一を極めたイ・セドル九段はまことに潔かったし、3連敗した後の、
 「自分が負けたのであって、人類が負けたのではない」
という台詞も良かった。
 加えて、メンタルな要素の大きな囲碁というゲームにあって、自信を失いかねない3連敗後に1勝を返したイ九段の精神力に驚嘆した。

 筆者は、アマチュアの段位でせいぜい四段程度の囲碁ファンなので、対局の内容を語る任にないが、簡単に感想を述べる。

 1、2局目は気がつくとAlphaGoが地をまとめていた。
 特に、2局目の序盤の下辺では、AlphaGoが、人間同士の碁では見かけないような打ち方を見せたが、結果的には、AlphaGo側に地が多かった。
 人間側としては残念だったが、碁というゲームには、これまでに知られていない打ち方がまだまだあるのだな、と思わせる「希望に満ちた」内容だった。
 囲碁というゲームのファンとしては、ゲームの可能性が一気に広がり、おそらくは今後、囲碁の歴史の進み方が速くなるであろうことにわくわくする。

 3局目では、AlPhaGoの戦闘力が際立っていた。
 イ九段の「高中国流」と呼ばれる布陣を破って全局的な戦いに持ち込んで優勢に運び、イ九段に無理をさせて、最終的には圧勝した。
 この碁は、コンピューターの「手が読める」ことが生きた戦い方に見えた。
 局面の焦点が狭まると、コンピューターは強いし、疲れないし、緊張もしないので、間違えない。
 生身の人間には、厳しい相手だ。

 一方、4局目は、イ九段が相手と戦う上で何らかのコツをつかんだのかもしれないと思わせる棋譜だった。
 地が多くかつ手厚く、危なげなく勝ちきったように見える。
 どうにもならない劣勢に陥った時に無意味な手を打つ、あたかもスマホの将棋アプリのような手が、AlphaGoにも見られたのは意外だった。

 本稿執筆時点では、まだ5局目を見ていないが、大変楽しみだ。

■考える」レベルになった人工知能が「知的」な職業を大きく変える

 前述のように、盤面が広い囲碁というゲームは、現在のコンピューターでは、全ての手を読み尽くすことが難しい
 そのため、何らかのセオリーないしは感覚による、「大局的な判断」が要求される。

 これまで、コンピュータープログラムには、この種の判断が苦手だとされてきたが、筆者の理解では、AlpaGoは
(1):過去の棋譜データから勝率の高い手の価値を判断し、
(2):その判断力を持ったプログラム同士が自分自身で戦いながらデータを増やし、
(3):新たな判断のルールを獲得する、
といった形で強くなったようだ。

 過去の棋譜も参考にしつつ、頭の中で白・黒両方の手を考えて、その結果を着手する人間の「読み」のプロセスと同じであり、AlphaGoは人間のように考え、成長している。
 しらみつぶしに計算してベストなものを選ぶ、一般人がコンピュータープログラムに対して抱くイメージとは異なった思考法だ。

 究極的には、当初持っていたデータの制約を受けているのかもしれないが、そこから得られる未発見の可能性の拡大具合は、「創造的」だと呼んで構わないレベルにあるように思う。
 AlphaGoは、人間の専門家が専門分野について考えるように、考えているということだ。

 チェスや囲碁のようなゲームは、価値判断がはっきりしているし、インプットとなるデータが棋譜の形で存在していて、扱いやすい(勝負に特化した時には、相手の年齢や疲労度合い、過去の棋風など、別の要素がインプットに加わるかもしれないが)。
 しかし、今やコンピュータープログラムにとって、自然言語を判断することや、画像を認識することも、不可能ではない。

 弁護士のような法律相談、医師のような病状の診断も遠からず、多くの部分をコンピュータープログラムが担えるようになるだろう。
 幾つかの設定を与えたら、ドラマの脚本をコンピュータープログラムが書いてくれる、といった状況も容易に想定できる。

現在「知的」とされている職業に、大きな変化が表れるだろう。
 知的生産性をコンピュータープログラムが飛躍的に改善する時代は楽しみだが、
 人の「働き方」や「稼ぎ方」もこれに合わせて変化するはずだ。

■“判断力を持つプログラムを使うコツ”という「過渡期の技術」に価値が生まれる

 ゲームとして、チェスは囲碁よりも先に人間のトップがコンピュータープログラムに敗れている。
 自身がチェスの強豪でもある経済学者タイラー・コーエン氏によると、現在、チェスにあっては、“人間がコンピュータープログラムを使って勝負する”チェスが強く、棋譜のレベルも高いのだという。

 ここで面白いのは、
 コンピュータープログラムの良い使い手は、必ずしも人間単独としてチェスの強豪ではないし、プログラムの専門家でもないことだ。
 考えてみると、将棋のプロ棋士を破るようなプログラムの作者も、必ずしもアマチュアの強豪ではない。

 現時点では、ゲームそのものでも、プログラミング自体でもない、
 両者を上手く組み合わせて使う技術」に優れている人が、ゲームの勝敗において、高いパフォーマンスを上げ得る、ということだ。

 例えば、近い将来、全世界に点在する何百人もの患者を同時に診断して、治療する、医療プログラムとその使い手である達人が現れるかもしれない。
 そして、そのプログラムの誤診率は人間の医師よりも小さく、病気の治癒率はより高い、という状況になる。
 しかし、そのプログラムの使い手は、名医でもなければ、システムの専門家でもない可能性が大きい。
 こうした状況は、人類の幸福にとっても素晴らしいことだし、経済的にも大きなインパクトがあるはずだ。

 この状況を実現するに当たっては、専門分野にあって、単なるデータベースではなく判断力を伴ったコンピュータープログラムを使うコツとでもいうべき、いわば「過渡期のスキル」に高い価値が発生するにちがいない。
 ここでは、プログラムが全てを判断し、問題を解決するという状況に至る手前を「過渡期」と呼んでみた。

コンピュータープログラムが人間の仕事をすっかり置き換えるには、少なからぬ時間がかかるだろう。
 様々な分野にあって、この過渡期は案外長いのではなかろうか。

 多くの知的専門分野にあって、コンピュータープログラムは今後大いに発達することになるだろうが、その「使い方のコツの一般論」を追求してみたいところだ。
 その追求は、もちろん研究者の仕事でもあるが、それ以上にビジネスパーソンの仕事になるだろう。







【2016 異態の国家:明日への展望】


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