2016年3月31日木曜日

「外交を知らない中国」(2):中国は致命的な間違いを犯した・・・経済力だけでは米国に対峙できず

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サーチナニュース 2016-03-31 14:37
http://news.searchina.net/id/1606226?page=1

中国は致命的な間違いを犯した
・・・経済力だけでは米国に対峙できず

 力はあるが人望がなく、小さな集団のなかで偉ぶる人のことを「お山の大将」などと表現することがある。
 自分の意見に同意する仲間だけを集めて、反対意見は排除するような人を揶揄する言葉だ。

 中国メディアの環境網はこのほど、ロシアの軍事専門家の意見を紹介し、世界における中国と米国の立場の違いを解説する記事を掲載。
 ロシア人の目に中国や中国人はどのように映っているのだろうか。

 記事は冒頭、オーストラリア政府が「過去最大の規模で海軍の軍事力を向上させる計画」
であることを紹介し、その理由として
 「中国が南シナ海の領有権問題において実力行使しているため」
としていることを紹介。
 中国政府はオーストラリアの動きに対して怒りを示すと同時に「冷戦思考」であるとして反対の意向を示している。

 オーストラリアは海軍力を向上させることで、同盟国である米国との軍事的つながりも向上すると解説。
 オーストラリアは日本の同盟国でもあり、日本の潜水艦を採用するのではないかとの報道もある。

 記事は、現在の中国は経済的には発展しているが、
 多くの国と外交上の問題を抱えているとの現状を解説。
 一方、米国には多くの同盟国が存在し、軍事的にも経済的にも関係を強化していると伝え、
 中国は長期にわたって経済力がもたらす影響を過剰評価し、
 軍事や政治がもたらす影響を過小評価し続けたとし、
 これは「中国の間違い」と指摘。
 投資規模や貿易さえ拡大させれば、地域における影響力を拡大させられると認識していたことは中国の致命的なミスであり、現在の中国では米国と対峙することは困難であることを指摘した。

 どれだけ力や資産があっても、信頼できる友人がいなければ幸福とはいえないだろう。
 国家も同様で、信頼できる同盟国が必要だ。
 中国にとって信頼できる同盟国といえば、パキスタンぐらいであり、
 経済的な関係だけで繋がっていても信頼関係は築けない。
 今後中国がお山の大将を卒業して、近隣諸国と友好な同盟関係を築くことはできるのだろうか。



サーチナニュース 2016-03-31 20:25
http://news.searchina.net/id/1606267?page=1

内憂外患を抱えている習近平政権

■米国が次々と「反米国家」と和解の方向に向かっている

 オバマ米大統領は3月20日、現職の米大統領として88年ぶりにキューバを訪問した。
 1959年のキューバ革命以来、「反米国家」をアイデンティティーにしてきた共産国家キューバと宿敵アメリカが和解に向かっている。

 さらに、24日には、およそ20年ぶりにアルゼンチンを公式訪問して中道右派のマクリ大統領と会談し、左派政権の下で冷え込んだ両国関係の改善を印象づけている。

 ブラジルでもルセフ大統領への辞任要求が強まるなど、左派政権が弱体化している。
 中南米ではこれまで、ベネズエラやニカラグアなど各国で左派政権が台頭し、アメリカとの関係が冷え込んできていた。
 しかし、去年からアルゼンチンなど各国で左派政権が勢いを失いつつあり、今回のオバマ大統領のアルゼンチン訪問は中南米でアメリカの影響力の回復を狙う動きと受け止められている。

■米国は「経済情報戦」によって
 中国の武器「チャイナマネー」を奪った

 このような米国の戦略の底流には中国マネーを巡る変化がある。
 南米諸国は2000年代に入り、中国の旺盛な需要による好景気に沸いた。
 ブラジルやアルゼンチンは、鉄鉱石や大豆など中国向け輸出が急増した。
 ところが中国経済の減速による資源安で、その「好循環」が逆回転し始めたのである。

 2015年3月に中国が設立を目指したアジアインフラ投資銀行「AIIB」には、日本以外の親米諸国を含む57か国が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。
 この頃の中国はまだ「チャイナマネー」によって、世界の国々を懐柔していた
ということができるであろう。

 そこで米国は、「経済情報戦略」を開始して、1年間ほどで中国経済をドン底へと追い込んだ
のである。
 各国が中国主導の「AIIB」に参加を決めたころには「中国経済の成長は鈍化しているが、まだまだ牽引役だ」という説が主流を占めていた。

 ところが、その後、
 毎日のように「中国経済のハードランディングは避けられない」という論調に変わっていった。
 米国は、このようにして中国の武器である「チャイナマネー」を奪って、
 同時に「反米の砦」キューバを懐柔し、
 中南米取り込みに動いている
のである。
 このような戦略は覇権を目指す中国に対抗するためのものだと見られている。

■習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙

 一方、中国国内に目を転じると、中国の「政府系ニュースサイト」に習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙が掲載され、その後中国の著名なコラムニスト贾葭氏が行方不明になっていることが明らかとなった。
 手紙のサイトは即刻削除されている。

 執筆者は「共産党の忠実な支持者たち」となっているということである。
 日本戦略研究フォーラム・渋谷司先生のブログが伝えているところによると、
 習近平氏が「過大な権力」を手に「個人崇拝」をさせているとして、
 辞任するよう求めたほか、
 外交政策から経済運営にわたり習政権の批判を展開している
としている。

 現在、習主席は、経済担当の李克強首相の権限まで自らが握っており、今や、中国は「共産党一党独裁」ではなく習近平氏が、それを「自分一人の独裁」にしており、そのために様々な問題が生じているというのである。
 特に、対外政策では習近平政権が、
★.東シナ海、南シナ海で強硬策を採り、
 そのため、日本、ベトナム、フィリッピンが「反中」で結束しつつあり、
 米国までも「反中」に向かっていることが最大の問題となっている
ようである。

 香港では「一国二制度」が建前のはずだが、習主席はそれを無視しており、台湾では民進党政権が誕生した。
 このように内憂外患を抱える習近平政権が今後どのような内政外交を進めていくかは全世界の関心事として今後も慎重に見守っていくべきであろう。

(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:大平祥雲) (イメージ写真提供:日本経営管理教育協会。厦門のショッピングセンター)



WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年04月08日(Fri)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6479?page=1

援助国として中国の限界

 CIAでアジア情勢分析を担当していたハリントンが、3月2日付のProject Syndicateで、シルクロード構想やAIIBを通じた
 中国の対外援助が注目されているが、
 その多くは中国自身の利益を優先したものであり、
 被援助国は期待するほどの利益は得られないだろう、
と述べています。
 要旨は以下の通りです。

■ビジネス前提の中国援助

 中国経済が失速し、改革が後退する中、
 習近平主席は懸命に中国がより広範な国際的役割を担える大国であることを示そうとしている。
 昨年11月のAPECでは、中国がここ数年で数十億ドルの対外援助・投資を行ってきたことを宣伝した。
 また中東においては、中国企業がテヘランの地下鉄やサウジの高速鉄道建設を請け負っている。
 昨年6月には、エジプトとの間で計100億ドルとなる15のプロジェクトに合意した。
 中国当局は、ラテンアメリカにおいて、2500億ドルの新たなインフラ取引をすると見越している。
 また、シルクロード基金とAIIBは、それぞれ400億ドルと500億ドルを建設に投資することを約束している。

 しかし、中国の援助は主にビジネスを前提としているため、被援助国も中国の支援モデルと動機について半信半疑になっている。
 2013年に行われたランド研究所の調査によれば、
 中国の対外援助と公式ファイナンスの「80%以上」は、原料採取と中国への資源輸送に使われる道路や橋、港湾の建設に投じられている。

 中国による援助の3分の2は金融プロジェクトと原料に対する借款であり、
 その半数以上は中国企業からの調達に使う「紐付き」援助である。
 習主席は昨年9月の国連総会演説で、世界の最貧国のために新たな借款と教育・ヘルスケアのための資金援助をすると強調したが、それらは厄介で、かつ多くは紐付き援助のままである。

 こうした援助によって、中国の影響力が必ずしも拡大するわけではない。
 米AidDataの研究によれば、126カ国300人の政府高官は、
 中国の「アジェンダ設定力」を低く評価している。

■中国経済停滞で援助にも影響及ぶ可能性

 中国の景気減退は、援助の否定的認識をさらに強めそうである。
 ランド研究所の調査は、中国の援助はかなり遅れると結論づける。
 例えば、パキスタンとインドネシアに対する事例では、十数億ドルの援助のうち、
 達成されたのは10%未満だという。
 もちろん、援助プロジェクトにおいて遅延は珍しくないが、中国の場合、経済停滞によって、この遅れがさらにひどくなる可能性がある。

 中国の支援事業は中国市場のリソースを守ることに注力している。
 また、今日の人道危機に際して、中国の存在感はない。
 直近の事例はシリアである。
 中国のシリア難民への援助は、合計6000万ドルに達したが、米国の今年3月までのシリア難民支援は37億ドルである。
 米国は、今後さらに5億800万ドルを提供すると約束している。
 また、欧州全体での貢献は45億ドルに達している。

 もっとも、対外援助は、中国の国際的役割を強化する一手段にすぎない。
 しかし、習近平の対外援助戦略の下では、いかなる政治的見返りもひどく遅れるに違いない。

出 典:Kent Harrington‘China’s Illusory Global Leadership’(Project Syndicate,
March 2, 2016)
http://www.project-syndicate.org/commentary/chinas-illusory-global-leadership-by-kent-harrington-2016-03

*   *   *

 本論評は、中国の対外援助の限界と問題点を指摘していて、的確な内容となっています。
 中国の対外援助は、約束した内容が果たして守られるかどうか、中国の「紐付き」援助は被援助国の利益にどれほど役立つか、という点に収斂します。

 タンザン鉄道のような特例を除けば、中国が対外援助活動に乗り出したのは1990年代後半以降のことです。
 それまでは、自らを「開発途上国の代表」と位置づけてきたのですから、短期間に主要援助国のメンバーになることは容易ではありません。

■中国援助の限界を認識していない被援助国

 政治的考慮から被援助国に対して約束はするが、
 それを技術的に厳格にフォローするだけの経験もノウハウも欠如している
というのが実態でしょう。
 また、主要先進国が合意しているOECDの対外援助の諸条件を中国は受け入れていないので、それに縛られることはありません。

 ハリントンの指摘するように、今日の中国の借款の半数以上は「紐付き」援助です。
 また、ランド研究所の調査が示すように、中国の対外援助と公式ファイナンスの80%以上が中国への資源輸送のために使われる道路、橋、港湾の建設であるという点は示唆的です。
 中国経済の失速状況は、これら対外援助の限界や問題点を浮き彫りにする可能性があります。

 被援助国がそのような中国援助の限界を十分に承知したうえで中国からの援助を受け入れようとしているとは思えない、というのが今日の実情でしょう。
 その典型的な例の一つが、インドネシアにおける高速鉄道建設の事例です。
 議論の多いAIIBについても、国際金融機関としての責任ある役割を果たしうるかどうかについては、今後の具体的援助プロジェクトの進展ぶりを見てから判断すべきものと思われます。



サーチナニュース 2016-04-24 14:13
http://news.searchina.net/id/1608162?page=1

なぜだ!
こんなに投資してやってるのに
「中国人はなぜか歓迎されていない」

 中国国務院が発表した「中国の対外援助」に関する白書によれば、中国は2010年から12年にかけて、国外で156カ所のインフラ整備を行った。
  そのほかにも企業によるインフラ整備プロジェクトも含めれば、中国は世界各地でインフラ投資を行っていると言える。

 日本もさまざまな形で対外援助を行っているが、開発途上国に対する援助は先進国としては当然の行いであり、その結果として援助を行った国では日本に対する感謝の気持ちも広がっていることだろう。
 一方、中国メディアの観察者はこのほど、中国はこれまで対外援助として多くの国に投資を行ってきたにもかかわらず、一部の国において
 「中国人はなぜか歓迎されていない」
と主張する記事を掲載した。

 記事は、中国にとっての対外援助は
★.「責任を担う大国というイメージ作り」に有利であると同時に、
★.中国の経済的利益にもつながる
と主張。
 当然、相手国にとってのメリットが最優先であることから、双方にとって利益のある行為であると論じた。

 続けて、
★.中国の対外投資ならびにインフラ整備は
 主に経済的利益と外交面の利益を考慮して展開されている
と主張。
 中国国内では需要不足に起因する生産能力の過剰が問題となっているが、対外援助によって過剰な生産能力を活用することができると主張する一方で、
★.外交面の利益については
 「相手国の法律や制度、文化に対する理解が不足しており、
 一部の権力者とだけ話をつけて、
 現地の一般人をないがしろにしているため、
 外交面の利益を損なうケースも多い」
と論じた。

 事実、中国が南米で手がけたプロジェクトでは土地の買収をめぐって現地の人びとと大きなトラブルになり、すでに3年以上の遅れが生じていると指摘。
 すでに現地では中国企業の仕事の進め方は信頼を失っていると伝えたほか、インフラ建設を担当する中国企業にとっての事業は「トラブルなく遂行すべき政治的任務」となっていると主張。
 こうした考え方で事業に取り組んでいる以上、
 中国企業にとっては中国政府のメンツを潰すようなトラブルは避ける必要があり、
 現地の労働者と中国人労働者の衝突を避けるために食堂や宿舎などを分けるなど、
 双方の交流を極力制限している
と指摘し、
 こうした間違った対外投資が中国の外交面の利益を損ない、
 ひいては援助をしているにもかかわらず、
 中国人が歓迎されない事態につながっている
と論じている。



サーチナニュース 2016-05-30 10:33
http://news.searchina.net/id/1610869?page=1

なぜだ!
中国はなぜ東南アジア諸国の敬意を勝ち得ることができないのか



 オバマ大統領は23日にベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席と首脳会談を行い、ベトナムへの武器輸出禁止を全面的に解除する考えを表明した。
 中国の専門家はこの出来事を「中国けん制のための重要な合意」と見ているようだが、中国メディアの新浪はこのほど、
 ベトナムが中国に「喧嘩を売る」のはなぜか
と問題を提起する記事を掲載した。

 周知のとおり、中国は米国のようなリーダーシップを発揮する大国を目指している。
 しかしこうした目標とは裏腹に、ベトナムは中国に敬意を示すどころか米国との関係を強化する意向を示している。
 ベトナムの敬意を勝ち得ている米国と中国との違いはなんだろうか。
 中国が米国のような大国になるためには、どのような特質を身に着ける必要があるのだろうか。

 記事は
 「ボスになろうする者が子分に利益をもたらせないなら、
 当然子分はボスについていかない」
と主張。
 ベトナムは米国との貿易で利益を得ており、両国の貿易は競合関係ではなく、むしろ互いに補い合う関係にあると指摘する一方、「ベトナムの対中貿易赤字は巨大」と指摘、
 その産業の種類も似ているためにベトナムは中国市場で利益を得ることができない状態だと説明する。

 この状況はベトナムに限らず、中国と東南アジア諸国の貿易についても言えると記事は説明。
 「中国改革後の30年余りの間、東南アジア諸国に対する中国の貿易は経常的に黒字だった」
と記事は指摘。

 しかしこれは大国を目指す中国にとって決して望ましい状況ではない。
 「東南アジア諸国に利益をもたらして初めて、東南アジア諸国からの尊重と敬意を勝ち得ることができる」
と主張し、
 これは大国になろうとする国の「責任である」という見方を示した。

 記事は大国である米国と現在の中国の器の違いを謙虚に認めており、その内容にも非常に説得力がある。
 中国がベトナムをはじめとする東南アジア諸国に経済的利益をもたらせば、関係が良好となるという主張は正しいだろう。
 だが、中国が南シナ海に人工島を造成し、軍事拡張を進めていることこそ、東南アジア諸国に警戒感を抱かせる主な要因ではないだろうか。





【2016 異態の国家:明日への展望】


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