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レコードチャイナ 配信日時:2016年3月19日(土) 2時40分
http://www.recordchina.co.jp/a128559.html
1月は引き続き米国債保有額減少も、
中国は依然最大の債権国―中国紙
2016年3月17日、中国は今年1月、引き続き米国債保有額を減少させた。
米財務省が今月15日に発表したデータによると、中国は今年1月、米国債保有額を82億ドル(約9200億円)減らし、10カ月ぶりに最安値を更新するも、依然米国最大の債権国である。
北京晨報が伝えた。
データによると、今年1月末時点で、
中国が保有する米国債額は1兆2379億ドル(約138兆4000億円)で、
対前月比で82億ドル減少した。
中国は2014年から段階的に米国債保有額を減らしており、昨年も数カ月連続で減らしている。
こうした状況について中国政府は、
「増額減額を問わず、米国債市場は中国にとって重要な市場であって、
減額も正常な投資操作であり、中国は市場の変動に基づき動態的最適化と調整操作を行っていく」
としている。
中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇(グオ・ティエンヨン)センター長は、
「中国が米国の国債を減らし続けるのは、外貨貯蓄構造の調整が重点である。
以前のような単一的な米国債への投資依存から多元的投資ルートへの転換が行われている」
とし、
「10カ月ぶりに最安値を記録しているが、その額は100億ドル(約1兆1000億円)足らずに過ぎず、中国が保有する全国債額からすればその比重は小さい」
と指摘した。
また、米財務省のデータによると、今年1月、
米国第二の債権国である日本は保有額を9億ドル(約1000億円)増額し、
保有額は小幅に上昇して1兆1235億ドル(約125兆6000億円)
となったという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/IM・編集/武藤)
』
ニューズウィーク 2016年4月1日(金)13時50分 譚璐美(作家、慶應義塾大学文学部訪問教授)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/2000-1.php
2000億ドルもの中国マネーがアメリカに消えた?
銀行口座の新規開設が難しいアメリカに、
中国人が「口座開設ツアー」まで組んで続々と押しかけているのはなぜか
●逃避マネーはここへも? 半年で約22兆円もの個人資産が中国から失われたとされるが、その行き先は中華系銀行を中心とするアメリカの金融機関の可能性がある(シカゴのチャイナタウン) stevegeer-iStock.
中国マネーは、海外の企業買収から不動産購入まで、あらゆる海外資産への投資に拍車がかかっている。
中国の外貨準備高は
2015年度の前半には3兆6000億ドルあったものが、
夏には3兆2000億ドルへ
と急激に減少したため、中国政府は緊急措置として海外送金禁止を実施し、それ以後は減少傾向に歯止めがかかったという。
だが、わずか半年で4000億ドルもの資産が失われたことに変わりはなく、
その資産の半分は個人資産
だとされる。
つまり
2000億ドル(約22兆円)もの個人資産が跡形もなく、煙のように消えてしまったのだ。
はて、人々の金はどこへ消えたのだろうか?
その答えが、どうやら中国とはちょうど地球の裏側にあるアメリカにあった。
今、中国からの観光客が続々とアメリカで銀行口座を開設しており、
「銀行口座開設ツアー」まで組まれる大ブームになっている。
■マネーロンダリング対策で大手銀行では新規口座開設が困難に
まず、アメリカの居住者が銀行口座を開設する場合をみてみよう。
これには口座開設申込書以外に、ソーシャル・セキュリティー・ナンバー(社会保障番号)、運転免許証、居住証明(光熱費の領収書二種)などの提出を求められ、さらにセキュリティのために
「あなたの(夫の)母親の旧姓はなんですか?」
というような質問をして新参者を驚かす。
その他、いくつもの条件をクリアした後、ようやく口座開設となるのである。
アメリカに住所がない外国人(非居住者)の場合は、例えばアメリカの住宅購入や子供の留学など、正当な理由を証明する公式書類が要求され、手続きもさらに煩雑になってくる。
そして近年、アメリカでは中近東のテロリストや東南アジアの麻薬組織からの資金流入を警戒し、マネーロンダリング(資金洗浄)に厳重な監視の目を光らせているため、外国人(非居住者)による新規の銀行口座の開設数はとみに縮小傾向にある。
大手銀行では、非居住者の新規の口座開設をめぐって、顧客との間で「けんか腰」の応酬がつづき、最終的に拒否される事態が頻発している。
無論、これは少しでも疑わしい資金は受け入れたくないという大手銀行の警戒心によるものだ。
しかし正当な顧客であっても、質問にスムースに答えられなかったり、要求された大量の書類に不足があったりすると口座開設は難しく、はなはだしい例では、住宅を購入しようとする顧客に対して「住宅を取得した証明書」を提出せよと求めるという。
そもそも住宅を購入するには先ず銀行口座がなければならないのだから、これでは「鶏と卵」論争のようで、バカバカしいことこの上ない。
こうした縮小傾向にもかかわらず、中国人観光客の口座開設が相次いでいるのはなぜなのか。
その実態とはどんなものだろうか。
■パスポートとクレジットカードだけでOKな華僑系銀行
米国の中国語サイト博訊網(2月27日付)によれば、シカゴのチャイナタウンにある複数の銀行では、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーも居住証明もいらず、ただ有効な中国のパスポートさえ持参すれば、その場で簡単に銀行口座が開設されるという。
そのため、連日、中国からの観光客が詰めかけて、新規の口座開設数がここ半年ほどで約3倍に急増した。
銀行によって提示するものは多少異なるが、例えばキャセイバンク(国泰銀行)の場合、有効な中国のパスポートとクレジットカードの2点を提示するだけで銀行口座が開設できる。
また渡米前でも、キャセイバンクがコルレス契約(為替取引契約)を結んでいる中国の蘇州銀行へ行けば、アメリカ国内の銀行口座を開設することができるという。
別の銀行では、中国のパスポートと運転免許証だけで済むところや、中国のパスポート以外にアメリカの居住証明が必要だと告示してあっても、その実、居住証明は「有効」でありさえすれば、友人や知人の名義でも構わないところがある。
銀行によっては、特に宣伝をしたわけでもないのに顧客数が2~3倍に膨れ上がり、首を傾げているという。
ちなみに、シカゴのチャイナタウンにはキャセイバンクのほかにも、アメリカン・メトロバンク、チャーターワンバンク、シティバンク、インターナショナルバンク、レイクサイドバンク、パシフィック・グローバルバンクと、7つもの銀行がひしめいている。
日本ではあまり馴染みのない銀行が多いが、これは吸収合併を繰り返す大手銀行や中規模銀行、地域銀行(地銀)が少なくないからである。
そして地銀の中には華僑系銀行も少なくない。
華僑系銀行は台湾系アメリカ人や華僑一世が開いたものが多いが、10年も前にこんな話を聞いたことがある。
カリフォルニアのある華僑系銀行で、ある日、中国語で電話がかかってきた。
「おたくの銀行は中国政府に報告義務がありますか?」
と聞くので、
「ありません」
と答えると、その日のうちにトランクに札束を詰めこんだ中国人がやってきて、銀行口座を開設して預けていったという。
銀行側も驚いたが、
「拒否する理由もありませんしね」
と笑っていたという。
中国人はもともと大金を持ち歩く習慣があり、それを知っている華僑系銀行では、大手銀行とちがい、現金の出所を根掘り葉掘り尋ねることが少ないのだ。
これが中国人の資金洗浄の温床になっていると指摘されて久しいが、未だに摘発されたという話は聞いたことがない。
だいいち、広大なアメリカでは地域性による変則的な事態も現実には起こりうる。
例えばニューヨークの場合、日本企業の駐在員が集中するマンハッタン地区にある大手銀行にはジャパンデスクが設けられ、日本人行員が対応して、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを持たない駐在員と家族にも「例外措置」として銀行口座を開設したりクレジットカードを発行したりする。
それから類推すれば、中国事情に詳しいシカゴの華僑系銀行が、信用ある提携先から紹介されてくる顧客に「例外措置」を取っていても、おかしくないはずだ。
■安全な海外へ向かう「逃避マネー」が深く浸透してきた
中国人観光客がアメリカで銀行口座を開こうとする目的は、"爆買い"に使う金を貯めたり、将来の子供の留学準備や住宅購入のためであるとされるが、中国政府が昨年10月から個人のクレジットカードに使用制限を設けたこととも関連があるだろう。
【参考記事】アングル:ドバイや英学生寮、中国マネーが狙う海外格安物件
だが実際のところ、中国から安全な海外へ資産を移そうとする「逃避マネー」の動向が、従来のように富裕層に限ったことではなく、一般の人々の間にも深く浸透してきたとみるべきだろう。
中国で消えてしまった個人資産2000億ドルが、こうしたルートを通じて大量にアメリカへ注がれていることは想像に難くない。
そして一度銀行口座を開設してしまえば、その後にどのような目的で利用したとしても、発覚しにくい。
「名義貸し」は犯罪だが、例えば香港では目下、銀行口座の「名義貸し」による資金洗浄が急増し、裁判所の告発案件は列を成している。
それがアメリカで起きない理由は見当たらない。
21世紀はグローバル化の時代だといわれるが、その急先鋒であった国際金融の世界は、今、迷路にはまり込んでいるようだ。
猛獣のように世界中を駆けめぐる汚濁した資金の流れを押しとどめようと、世界の金融センターは軒並み健全化に転換しているが、
ありあまる汚濁した資金は行き場を失い、怒涛の如くに香港に注ぎ込まれている。
中国政府が実質的に支配する香港で、果たして建前通りの金融規制が行われているのか、水面下ではどのような抜け道を通って資金洗浄が行われているのか、西側諸国はその実態を察知する術をもたない。
香港経由でアメリカに流入する大口の資金以外に、個人口座を通じて中国大陸から直接アメリカに流入する大量の小口資金は、目下、アメリカの大きな頭痛の種である。
銀行口座の新規開設を巡る攻防は、まさに水際で繰り広げられている熾烈な戦いなのである。
[執筆者]
譚璐美(タン・ロミ)
作家、慶應義塾大学文学部訪問教授。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。日中近代史を主なテーマに、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。著書に『中国共産党を作った13人』、『日中百年の群像 革命いまだ成らず』(ともに新潮社)、『中国共産党 葬られた歴史』(文春新書)、『江青に妬まれた女――ファーストレディ王光美の人生』(NHK出版)、『ザッツ・ア・グッド・クエッション!――日米中、笑う経済最前線』(日本経済新聞社)、その他多数。
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『
JB Press 2016.4.8(金) 藤 和彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46533
人民元の国際化で中国は世界のマネロンセンターに
「野望」を取り下げて資本規制の強化に戻るべき?
「中国からの資本流出は緩和しつつある」
3月20日、中国人民銀行の周小川総裁は北京で開催された国際フォーラムで改めて国内外の投資家の不安払拭を図った。
2月の外貨準備高の減少ペース(286億ドル減)は、たしかに1月(995億ドル減)と比べると鈍化していた。
また、人民元の対ドルレートが安定を取り戻しつつあるとの観測も出始めていた。
■危機的状況の中、トービン税導入案を検討
だが、3月末に人民銀行が商業銀行との間の「先物・先渡し(デリバテイブ)取引」における外国通貨の売り持ち高を公表した(289億ドル相当)ところ、人民銀行の2月の為替介入の規模が市場の予想に比べてはるかに大規模だったことが判明した(4月1日付ブルームバーグ)。
デリバテイブ取引では、
相手先(商業銀行)に米ドルの現金を渡すのが数カ月先の契約満期を迎えてからになる。
その間、人民銀行は米ドルを温存し、外貨準備を減らさずに済むというメリットがある。
しかし人民銀行が結んだ契約の満期が到来すれば、外貨準備は大幅に減少する。
数カ月後にはデリバテイブでごまかした分も上乗せされるため、外貨準備はこれまで以上のペースで減少するだろう。
国際通貨基金(IMF)の指針によれば、中国の外貨準備の必要水準は「2.8兆ドル」である(3月31日付日本経済新聞)。
2月の外貨準備高は「3.2兆ドル」であり、このままのペースで減少すれば今年夏までにその水準に達してしまう。
危機的な状況に追い込まれた人民銀行は、3月に入り外国為替取引に課税する規定の草案をまとめた(3月15日付ブルームバーグ)。
外為取引への課税は、1972年に提唱した米国の経済学者の故ジェームズ・トービン氏にちなんで「トービン税」と呼ばれることが多い。
このトービン税の導入は、人民元安を見込んだ投機的取引を防ぐために中国当局がこれまで講じてきた措置の中で、最も強力なものとなる。
ただし、トービン税の導入には中央政府の承認が必要で、導入時期も明らかではない。
世界を見渡してもこの措置が成功した事例はほとんどなく、人民元を国際的な準備通貨にするという周小川総裁自らの計画に大きな妨げとなる可能性が高い。
国際金融資本の圧力を弱めようとするために編み出された苦肉の策だろうが、「生兵法は怪我の元」になりかねない。
■あの手この手で資金を国外に
敵は外ばかりではない。
海外との人脈が多い中国人があらゆる手段を使って資金を国外に移す方策を講じている。
2月は香港からの輸入が前年比で89%増加したが、その主な要因は、企業が実際の輸入額を大きく上回る額を海外に支払っていることにあるようだ(3月9日付ブルームバーグ)。
人民元下落が続くとの懸念から、貿易インボイス(送り状)の金額を水増しすることにより、中国政府の資本規制を回避し資金を海外に移しているのだ。
香港の保険商品購入を通して資金を海外に持ち出す動きも活発化している(3月29日付ブルームバーグ)。
クレジットカードによる保険商品購入を抑制するため、中国当局は2月以降1回あたりの取引の上限を5000USドルに定めたが、電子送金を介さずに何回も決済端末を通すやり方が早速登場するなど、新規制の有効性が揺らいでいるという。
マネーロンダリング(マネロン)対策の厳しさから、銀行口座の新規開設が困難な米国で、中国人が「口座開設ツアー」を組んで次々と押しかけるという現象も起きている(4月1日付ニューズウィーク)。
米国ではテロリストや麻薬組織からの資金流入に厳重な監視の目を光らせているため、外国人(非居住者)による新規の銀行口座の開設数は減少傾向にある。
このような状況にもかかわらず、「シカゴのチャイナタウンにある複数の華僑系銀行では中国のパスポートさえ持参すれば、その場で簡単に銀行口座を開設できる」と言われ、連日中国からの観光客が殺到しているという。
また、豪州では、一人っ子政策で登場した「小皇帝」たちが高額な住宅を購入するために中国に住む両親から資金援助を受けるケースが急増しているという(3月31日付ブルームバーグ)。資金を海外へ移す新手の手法だろう。
■売掛債権の回収遅延が大きな問題に
マネロンまがいの手法が跋扈する中で、人民銀行は人民元安を阻止するために悪戦苦闘している。
だが、そもそも
通貨の価値は当該国のファンダメンタルズに依存する。
中国経済そのものが駄目になっては、人民銀行が孤軍奮闘しても「焼け石に水」である。
ここに来て、中国経済に対する懸念はより深刻さを増している。
米経済誌フォーブス(電子版、3月28日付)は、
今後1~3年以内に債務危機に陥る確率が最も高い国に中国
を選んだ。
中国の債務残高は2008年から2015年6月までの7年半で65兆元(約1100兆円)も増加した(国際決済銀行)が、
この間にGDPは36兆元しか増加していない。
かつて日本の銀行貸出残高はバブル期にGDP比で30%増加し、その後約130兆円(当時のGDPの3割)が発生した。
中国の銀行貸出残高は2007年からGDP比で30%増加しているため、日本の場合と同様に増加分のほぼ全額(約430兆円)が不良債権化するとの予測がある(富国生命保険株式部参与の市岡繁男氏)。
不良債権問題の顕在化は、利払い不能などの資金繰りの悪化から生ずることが多い。
中国では売掛債権の回収遅延が大きな問題として浮上している(3月21日付ブルームバーグ)ことが気にかかる。
ブルームバーグによると、販売完了から現金回収までの期間を示す売掛債権回転日数は中国では83日となり、1999年以来の長さになっている。
国有企業の売掛金残高は「過去2年間で23%増の約5900億ドルに膨らんだ」。
この額は台湾のGDPを上回る。
売掛金を現金化できない企業は、ネット経由のP2P金融など高コストでリスクの高い貸し手に頼らざるを得ない(3月24日付ロイター)。
資金の海外流出の拡大が、事態をより一層悪化させていることは間違いない。
1999年と言えば、朱鎔基首相(当時)が改革に大ナタを振るい、国有企業数千社が倒産した時代だった。
当時中国のGDPは日本の5分の1だったため、世界経済に与える影響は限定的だったが、今や世界第2位の経済規模となった中国が崩壊すれば、世界経済に与える影響は計り知れない。
■「メイド・イン・チャイナ」はもはや安くない
安価な労働力という中国経済躍進の神話も今や昔となっている。
昨年の中国都市部の就業者数の伸びは2年連続で2.8%にとどまり、過去20年で最低となった。
英民間研究機関のオックスフォードエコノミクスは3月17日、「中国の製造業のコストが米国と同水準になった」という衝撃的な調査結果を発表した。
それによれば、中国の人件費そのものは日米を下回っているが、
中国の生産性が低いために「米国が1ドルで生産できるものが、中国では96セントもかかっている」という。
米共和党の大統領候補指名を争うトランプ氏は
「中国が為替操作と一方的な貿易政策を通じて米国の中流層を苦境に追いやっている」
と非難しているが、トランプ氏が言うほど「メイド・イン・チャイナ」はもはや安くない。
この調査結果を知った中国メデイアは、中核的な産業である製造業が競争力を失われつつあることに危機感を露わにしている。
野放図な拡大政策を長期間にわたり実施したことで、人件費の高騰に加え不動産価格の高騰などが招いた製造コストの急上昇は、朱鎔基の時のように「痛みを伴う」構造改革を断行するしかない。
だが、構造改革を実施するには、はなはだタイミングが悪い。
2009年の世界的な金融危機後に始まった中国の人件費の急激な伸びが、景気減速に伴い鈍り始めたからだ。
中国当局は、石炭や鉄鋼分野の国有企業を改革する過程で発生する数百万人規模の余剰人員を農業や林業、公共サービス部門へ配置転換しようとしている。
だが、配置転換により賃金が下がることは避けられない。
これにより労働者の購買力が低下するため、経済を消費主導型へ移行させるという政府の方針にとって猛烈な逆風となる。
このような状況では果断なる構造改革は極めて困難だ。
だが、これを実現しないと「製造業」という金の卵を台無しにしてしまう。
■「人民元の国際化」という野望は時期尚早?
フィナンシャルタイムズによれば、
今年に入って3月16日までに中国資本が「海外企業狩り」に使った金額は1020億ドルに達し、昨年1年間の金額(1060億ドル)に肉薄している。
世界全体のM&A総額が減少する中で中国企業だけが突出している。
「進撃のチャイナマネー」と言いたいところだが、
中国経済の破綻を目の前に「チャイナマネーのエクソダス(脱出)」
が起きているととらえた方が実態に近いのではないだろうか。
人民銀行の周総裁が人民元の国際化が進まない状況に苛立ちを示していることとは裏腹に、中国の資本規制が緩和されるにつれて
「中国は世界の犯罪組織のマネーロンダリングセンター」(3月28日米AP)
との評判が急速に高まり、欧米各国がこぞって調査の強化に乗り出している。
その状況は皮肉以外のなにものではない。
中国経済のバブル崩壊を防ぐためにも、世界の治安を改善するためにも、
中国政府は「人民元の国際化」という時期尚早の野望を一刻も早く取り下げ、資本規制の強化に戻るべき
ではないだろうか。
』
【2016 異態の国家:明日への展望】
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