2016年3月12日土曜日

中国経済のハードランディングリスクが高まっている(4):エネルギー消費量が34年ぶり減少の意味するもの

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レコードチャイナ 配信日時:2016年3月8日(火) 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/a130585.html

都市化で「空っぽのゴーストタウン」を生み出すな―中国メディア

   2016年3月6日、人民網によると、中国国務院の李克強(リー・カーチアン)首相は5日に行った政府活動報告の中で、
「戸籍制度改革を深化させ、都市戸籍取得の条件を緩和し、
 『人、土地、資金』が連携した政策を打ち立て充実させるとともに、
 これを中国の2016年の重点活動とすること」
を打ち出した。

新型の都市化が、ここ数年の中国の発展において努力すべき大きな方向性の一つだ。
中国は農業人口が多く、割合も高いため、中国の都市化には独特な点が数多くある。
中国人がよく言うように、発展の過程で発生する問題がより多くなる可能性があり、
一部の都市では現実からかけ離れて「新しい都市」を無計画に建設する現象の例に事欠かない。
無計画な都市の拡張により都市部の占用地増加ペースは人口受け入れペースを大幅に上回り、人口がまばらで、生命の気配のない一連の新都市は「空っぽのゴーストタウン」と呼ばれるようになった。

現実が教訓として教えてくれるのは、都市化は住居を造り、新しいビルを建てればすぐに実現するものではなく、人々の都市化がカギになるということだ。
そこで「人、土地、資金」の連携が、中国の都市化における大きな課題になる。

「人、土地、資金」の連携とは、財政移転支出と農業移転人口の市民化との連携、都市建設用地の新規増加指標と農業移転人口の定住数との連携、インフラ建設投資の計画と農業移転人口の市民化との連携を指し、地方政府の農業移転人口受け入れの積極性を発動するための政策メカニズムだ。
政府活動報告は、カギは都市化の質の向上、内部の受け入れ能力の向上にあると強調する。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)



時事通信 3月12日(土)8時25分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160312-00000033-jij-int

限界迎えた国家システム
=痛み伴う構造改革、覚悟訴え-中国全人代

 5日に北京で開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)。
 冒頭、政府活動報告を読み上げた李克強首相は
 「中国は、ずっと挑戦に立ち向かいながら前進してきた。
 どんな困難でも乗り越えられる」
と述べ、経済減速下で痛みを伴う構造改革への断固たる覚悟を訴えた。
 習近平国家主席らは、高度成長を支えた国家システムはもはや限界に来ているという危機感が強いものの、
 改革実現への道のりは険しい。

 ◇「脱貧困」で格差是正

 李首相は2時間近い政府活動報告の中で「改革」というキーワードを68回連呼した。
 経営困難となった鉄鋼・石炭関連の「ゾンビ企業」を再編・清算し、安定成長を阻害する「つくり過ぎ」の解消に全力を挙げる意向も強調したが、利益をもたらさない国有企業の問題は歴代指導部が認識しながら放置してきた負の遺産だ。

 自転車操業が可能だった高度成長時代には表面化しなかった。
 しかし景気減速が本格化する中、
 痛みの伴う構造改革を断行すれば、大量の失業者があふれ、社会の不満が高まる懸念が強まっている。

 7000万人以上の貧困層を抱える農村の現実も深刻だ。
 李首相は農村活性化のため、「ブロードバンドネットワークを農村に普及させる」と訴えた。
 しかしネットサービス大手・騰訊(テンセント)の馬化騰会長は記者団に対し、
 「農村の農産物はネットを通じて既に販売されているが、包装や流通の問題があり、実現できることから始めている段階だ」
と指摘する。
 「農村の貧困は一生忘れられない記憶を私に残した」。
 習主席は昨年10月、文化大革命(1966~76年)時代に陝西省に下放した経験を基にこう語った。
 「脱貧困」は「反腐敗」と並ぶ習氏の中心的な政治課題となっており、2020年までの第13次5カ年計画期間中に「地域的な貧困を解消する」(李首相)決意だ。

 ◇戸籍制度の弊害

 李首相が、長年の難題である格差是正に向け、貧困層の底上げのほかに訴えたのが「(農民の)都市戸籍への転籍」。
 「(内陸の)中西部地域で1億人の都市化を進める」
と掲げた。

 中国では都市と農村を隔てる戸籍制度があり、農村戸籍で北京などに出稼ぎに来た労働者の子供は正式な教育や社会保障を受けられない。
 このため親と離れて暮らす「留守児童」は全国で約6100万人に上り、その実態は深刻な社会問題となっている。
 習指導部も、社会活性化に向けた弊害となっている戸籍制度の大幅緩和の必要性を認識している。
 しかし移動の自由が実現すれば、農業の衰退のほか、大都市の不安定化をもたらすという懸念が強い。

 国務院(中央政府)は今年2月、地方の小都市で一定期間定住していれば、出稼ぎ労働者も都市戸籍を取得できる規定をようやく制定。
 しかし北京など大都市では逆に、安定した仕事や住居、高い学歴などでポイントを積み重ねないと戸籍を取得できない制度の導入を進めており、真の戸籍制度改革にはほど遠いのが現実だ。
 
 社会問題に詳しい北京理工大学の胡星斗教授は
 「(人の移動を制限する)戸籍制度は国家・社会の安定を維持するためのものだが、制度を改革しなければ、都市化ばかりか経済の効果・利益にも悪影響をもたらす」
と解説した。(北京時事)



朝日新聞デジタル 3月12日(土)9時13分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160312-00000013-asahi-int

中国、エネルギー爆食に異変? 
30年で初の減少と報告


●中国のエネルギー消費量が34年ぶりに減少か

 中国のエネルギー消費量が昨年、30年間で初の減少を記録――。
 中国の国有石油大手が、自社でまとめた速報値をもとにこんな報告書を出した。
 中国が世界中の資源を大量に消費し、「爆食」とも呼ばれた構図が、転換点を迎えていた可能性がある。

 国有大手の中国石油天然ガス集団(CNPC)のシンクタンク部門の報告書によると、2015年の中国の1次エネルギー消費量は標準炭換算で42・4億トンとなり、前年を0・5%下回った。
 中国ではエネルギーの消費量を、石炭に換算した独自の「標準炭」という単位で表す。
 同社は「30年来で初の減少」としている。

 石炭使用量は3・8%減と減少幅が拡大し、
 電力使用量は0・8%の伸び
にとどまった。
 エネルギーを多く使う製造業が経済減速で不振に見舞われ、省エネの取り組みも進んで消費量が抑えられたとみられる。

 翌年の後半に確定する中国政府の統計によると、中国のエネルギー消費量は1981年に減少を記録して以降、2014年まで33年連続で右肩上がりが続いてきた
 ただ、14年の伸び率は2・2%で、15年はCNPCの報告書通りなら34年ぶりに減少に転じることになり、「増えたとしても伸びは1%以下にとどまる」との見方が出ている。
 中国のエネルギー消費が減れば、原油などの価格低迷に悩む資源国にとっては、さらなる打撃となる。

 中国政府は鉄鋼や石炭といった過剰生産が問題になっている業界で、大きく生産能力を減らす方針を打ち出している。
 政策が進めば、今後はさらなる抑制の要因となる。
 特に、環境への負担が大きい石炭の使用は大きく減る見通しだ。

 中国が地球温暖化対策で「30年ごろに二酸化炭素排出量を減少に転じさせる」とした国際公約は、大きく前倒しで達成される可能性も出てきた。



ロイター 2016年 03月 14日 07:10 JST
http://jp.reuters.com/article/china-parliament-credit-ratings-idJPL3N16L0EQ

中国の格付け見通し引き下げは誤った判断=中国銀監会主席

[北京 12日 ロイター] -
 中国銀行業監督管理委員会(CBRC)の尚福林主席は、中国や国内金融機関の格付け見通し引き下げは「誤った判断」との見方を示した。
 具体的な格付け会社名は挙げなかった。

 ムーディーズは2日、
 中国政府債の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
1].当局による経済改革実施能力への不透明感のほか、
2].債務拡大や歳入減
を要因として指摘した。
 国内25金融機関の見通しも「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。



ロイター  2016年 03月 14日 15:05 JST Peter Thal Larsen
http://jp.reuters.com/article/column-china-debt-swap-idJPKCN0WG0CU?sp=true

コラム:中国の不良債権株式化、銀行の自己資本不足招く恐れ

[香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 中国人民銀行(中央銀行)が検討を進めている不良債権の株式化は、国内銀行の自己資本不足を引き起こす恐れがある。

 新規則は融資を行った貸し手に対して、不良債権と株式の交換を容認するもの。
 経営状態の悪化した企業が受ける圧力は和らぐが、銀行の自己資本に対する下押し圧力は逆に高まるだろう。
 先進国では、経営の悪化した企業に融資している債権者が、融資と株式の交換に応じるのは決して異例ではない。
 しかし中国では銀行は金融以外の企業への投資が制限されており、経営の悪化した借り手の再建に動ける余地が乏しい。

 ロイターの10日の報道によると、導入の準備が進んでいる規則ではこうした制限が撤廃され、債務の株式への転換に道が開かれそうだ。
 既にこうした事例は起きており、経営不振に陥った造船の中国華栄能源(1101.HK)は8日、22億ドルの債務を帳消しにしてもらう代わりに株式の60%を債権者に譲渡すると発表した。

 ただ、こうした不良債権と株式の交換は過剰な負債を抱える中国企業にとっては助けになる半面、銀行にはマイナスの影響を及ぼす。
 確かに昨年末時点で1.7%に上昇した不良債権比率は低下するだろう。
 しかし銀行で損失が増えれば必要な自己資本も増える。

 中国の解釈によると、バーゼル銀行監督委員会の自己資本規則は企業融資のリスクウエートを100%としている。
 一方、国際決済銀行(BIS)による中国の規制の2013年の評価によると、株式投資のリスクウエートは最低が400%、最高なら1250%となっている。
 つまり企業向け融資を相当額の株式と交換した銀行は、少なくとも4倍の自己資本が必要になるということだ。

 しかもこの計算は、銀行が当該の融資について適正な水準まで評価の切り下げを済ませているという前提に立っている。
 実際にはそうしたケースはほとんどない。
 昨年末段階で、不良債権と、返済期限を過ぎているがまだ不良債権に分類されていない分を合わせた「問題債権」の融資全体に占める比率は5.5%に達していた。
 本当の数字はこれよりもはるかに高いだろう。

 つまり中国で大規模な債務の株式化が起きれば、貸し手は自己資本不足に陥る。
 国内銀の最大の株主である政府は対応を余儀なくされるかもしれない。
 それは債務問題の解決に向けて動き始めるための1つの方法ではあるかもしれないが、銀行に資金を投じている他の投資家は痛みを受けるだろう。

●背景となるニュース

* 人民銀行は、商業銀行が焦げ付いた融資を貸し出し先企業の株式と交換できるようにする法規制を準備している。
 ロイターが10日、関係筋2人の話として報じた。

*新規制が導入されると商業銀行の不良債権比率は低下する。
 中国の経済成長が四半世紀ぶりの水準に鈍化したため、不良債権は昨年10年ぶりの水準に急増した。

* この関係筋が匿名を条件に語ったところによると、規制の手直しについて説明した文書が近く公表される。
 人民銀行はこれまでのところコメント要請に応じていない。

* 中国銀行業監督管理委員会(CBRC)のデータによると、昨年末時点の融資全体に対する不良債権の比率は1.7%で、前年同期の1.25%から上昇した。
 返済期限を過ぎたがまだ不良債権に分類されていない分を含めると昨年末の比率は5.5%となる。2014年末は4.4%だった。

*造船の中国華栄能源は8日、141億元(22億ドル)の銀行借り入れについて、同社の株式と交換すると発表した。
 交換を行う銀行グループの行名は明らかにしていない。
 交換後に銀行などの債権者の持ち株比率は60%となる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



TBS系(JNN) 3月14日(月)19時39分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160314-00000076-jnn-int

中国 全人代開催中に炭鉱の町で大騒動 “賃金未払い”



 中国では今、日本の国会にあたる全人代が開かれていて、習近平指導部は、中国経済に対する内外の不安を打ち消すため、次々と改革を打ち出しています。
 ところが、こうしたアピールに水を差す出来事が中国東北部の炭鉱の町で起こっています。

 「警官が殴った!警官が殴った!」
 13日、黒竜江省双鴨山にある国有企業に炭鉱労働者たちが詰めかけました。
  訴えているのは“賃金の未払い”です。
 「去年は5~6か月分、今年に入ってからも一度も給料をもらってません」(炭鉱労働者)

 騒動の発端は6日、北京で開かれている全人代での黒竜江省トップのこの発言でした。
 「賃金の未払いは一切ありません」(黒竜江省 陸昊 省長)
 この陸昊氏、数々の国家指導者を輩出した共産主義青年団のトップを経験し、将来の国家指導者候補とも言われています。
  その人物が国の重要な会議で語った“きれいごと”に労働者やその家族たちの怒りが爆発したのです。
 「未払いはないだなんて、うそつき!」(炭鉱労働者)
 「金はどこに行ったんだ?省長は未払いはないと言ったが、我々はもらってない」(炭鉱労働者)

 中国でも有数の石炭の産地として栄えた双鴨山市ですが、2012年頃から石炭の需要が減少して生産過剰の状態となり、今では50万トンもの石炭が売れ残っています。
 炭鉱を経営する国有の『竜煤集団』は100億元を超える赤字を抱えながら、中国政府による巨額の支援で生き延びています。
 こうした国有企業は“ゾンビ企業”と呼ばれ、中国経済を脅かす要因の一つとして、今年の全人代でも取り上げられています。

 「国有企業改革で重要なのは、労働者の利益を守ることです」(国有企業改革 担当者)
 いつもなら地方によくあることとして片づけられがちな騒動ですが、今回ばかりは中国全土から注目を浴びる結果となりました。
 ネットには、当局がいくら削除しても、コメントの投稿が止まりません。

 「集めた全ての資金を給与の支払いに充てます」(竜煤集団 担当者)
 会社側は、とりあえず去年11月と12月の賃金を支払うと約束しましたが、その先の保証は一切なく、労働者たちの怒りは収まりません。
 「デモ隊が歩き出しました。
 “私たちは生きていたい、私たちはご飯が食べたい”というふうに横断幕には書かれています」(記者)
 「(会社は)生活費を払うって、約1万8000円は少なすぎ。受け入れられない」(炭鉱労働者)
 「給料を100%払えって難しい要求ではないでしょ?当たり前のことよ!」(炭鉱労働者)

 中国経済への不安を打ち消すべく、全人代で次々と改革を打ち出している習近平指導部。
 東北地方の炭鉱の町で起きた出来事は、改革がいかに難しいかを物語っています。



西日本新聞 3月15日(火)11時20分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00010004-nishinp-int

 「賃金未払いない」一転、
共産党ホープが撤回 
炭鉱労働者ら抗議実る 
中国黒竜江省の国有企業

 中国の全国人民代表大会(全人代)に出席している黒竜江省ナンバー2、陸昊省長(48)の発言がきっかけとなり、賃金未払いに怒る炭鉱労働者らによる大規模な抗議行動が発生、陸氏が一転して誤りを認める騒動が起きた。
  陸氏は中国共産党の若手ホープと目されており、話題になっている。

 抗議行動を起こしたのは、黒竜江省双鴨山市の国有企業に所属する炭鉱労働者。経営不振による賃金未払いが近年起きており、インターネット上に12日、「われわれは生き、食べなければならない」といった横断幕を掲げ、街頭でデモ行進する映像が流された。
 陸氏が6日、北京で開いた記者会見で「賃金未払いは一切ない」と述べたことに反発したという。

 黒竜江省のウェブサイトによると、陸氏は12日、賃金未払いの事実を認め
 「報告や情報が正確ではなかった教訓をくみ取らなければならない」
と語り、解決に全力を注ぐ考えを示した。
 さらに中国紙、京華時報の取材に
 「私は間違えた。間違いは直さなくてはならない」
と話したという。

 陸氏は胡錦濤前国家主席や李克強首相と同じく、共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)の第1書記を務めた。
 地方指導者の中では最も若い。

 黒竜江省は有数の産炭地。
 問題の国有企業は、生産量1万トン当たりの労働者数が全国平均の3倍以上に達しており、習近平指導部が「供給側改革」を打ち出す中、大規模なリストラを迫られている。



ロイター 3月16日(水)13時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160316-00000051-reut-cn

中国黒竜江省の炭鉱デモ収束、
地元政府が2カ月分賃金を支給

[双鴨山/中国 16日 ロイター] -
 中国黒竜江省双鴨山市で週末発生した炭鉱労働者による抗議活動は15日、市当局が活動中止の見返りとして2か月分の賃金を支給することで合意し、収束した。

 一時数千人規模にまで発展した抗議活動の急速な収束は、労働者5─600万人の一時的解雇を含む、国有企業の再編計画に乗り出した当局が、労働争議発生に敏感になっていることを改めて示した。

 ソーシャルメディアに掲載された写真には
 「われわれは生きていかなければならない。
 食べていかなければならない」
と書かれた横断幕を掲げ、竜煤集団に対し賃金未払いを抗議する労働者数千人が街を練り歩く様子が映し出されていた。

 抗議活動終了後も警察車両やパトロール隊の姿は見られたが、地元店主によると、賃金を支給された抗議者らは即刻現場を後にしたという。



サーチナニュース 2016-03-15 14:05
http://news.searchina.net/id/1604884?page=1

見習うべきは米国ではなくドイツ
・・・中国の製造業に「匠の精神」は根付くのか?

 経済成長が鈍化するなか、産業構造の転換を政府主導で大々的に進めている中国。
  急成長を支えた製造業も、これまでとは異なる形によって中国経済をけん引することが求められている。
 中国メディア・海外網は12日、中国が
 「製造強国からまだどれほどの距離にあるか」
とする記事を掲載した。

 記事は、北京大学国家発展研究院の姚洋氏に対するインタビューを紹介。
 今年の「両会」(全人代と全国政治協商会議)で発表された「政府工作報告」を踏まえ、中国製造業が進むべき道についての姚氏による見解を伝えた。

 姚氏は、製造業が依然として中国経済の屋台骨となるとしたうえで、昨今急速に成長し、中国政府も重要な産業と位置付けているインターネット産業との関係について言及。
 「アリババや騰訊は素晴らしいが、それが中国のすべてではない。
 もし製造業を捨ててしまえば、中国は根幹を失うことになる」
と論じている。

 そして、屋台骨であり続ける中国製造業の発展については、米国の「断崖のようなイノベーション」ではなく、ドイツの方式をモデルにすべきと提唱。
 「米国では1つの新たな発明が往々にして1つの業界を破壊し、雇用を消す。
 それゆえ、米国社会には少数の富裕者と大多数の貧困者という2極分化が生じた」
とする一方、ドイツは
 「既存の技術的基礎に対する革新を続けて高みに立つ。
 そして、技術の進歩と同時に雇用が拡大し、分厚い中間層が生まれ、社会が安定するのだ」
と評した。

 さらに、ドイツの製造業には「匠の精神を持った技術者」の育成という重要な経験があると指摘。
 「匠の精神」を提唱するうえで真っ先にやるべきことは
 「工業労働者の社会的地位を高めること」
であり、社会的地位や給与水準を保障する等級制や、技術学校体系の整備が必要であるとした。
 また、
 「労働者を低レベルの職業とみなす国に希望はない」
と論じ、「農民工」という言葉を使わないようにする動きを中央レベルから始めることを求めた。

 「匠の精神」を育むというドイツ製造業の方式に、中国製造業の未来を見出したことは誤りではないだろう。
 「モノなど作れて当然。大した仕事ではない」といった社会の見方を改め、モノづくりやモノづくりに携わる人へのリスペクトを生み出していくことは、彼らのモチベーション向上につながる。
 日本の「匠」にモノづくりの真髄を学ぶのもいい。

 ただ、社会主義市場経済という日本、米国、ドイツとは異なる「中国らしい」政治経済、社会体制のなかで、どうやって「匠の精神」を生む土壌づくりを進めていくかについてはよくよく議論をする必要があるだろう。
 今年の「両会」の政府報告書には「匠の精神」が盛り込まれた。
 これまではボリュームで世界に誇ってきた中国製造業が、
 文化的、精神的な面において「世界に誇れる中国のモノづくり」となる日は、やって来るだろうか。



ロイター 2016年 03月 16日 08:19 JST
http://jp.reuters.com/article/china-economy-labour-idJPKCN0WH100?sp=true

焦点:中国で高まる労働法批判、
過剰な保護が改革阻害との声

[北京 12日 ロイター] -
 中国の強力な労働者保護に対する批判が上層部からも浮上している。
 経済のリストラが進むなかで「硬直した政策が雇用創出を阻み、賃金を抑制している」との主張に対して、政策当局が社会不安を懸念しているからだ。

 中国の労働契約法と最低賃金法のせいで、業績不振に苦しむ経営者が、業績の好転を図ったり、事業の売却先を探すことが困難となっているとの批判は、海外や民間の企業幹部を中心に以前からあった。
 今や同じような不満が、減速経済の現代化を進め、重工業部門の過剰生産能力の削減に腐心する政策当局者からも、漏れるようになっている。

 輸出部門が盛んで、市場改革の先鞭をつけることも多く、経済規模が1兆ドルに達する広東省は8日、同省における最低賃金の定期上昇を停止。
 2016年から2018年までは2015年の水準、つまり月1500元強(2万6000円)に据え置くと発表した。
 国営新華社は同日、中国の楼継偉財政相が、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の演説で、自国の労働契約法を批判する意見を述べたことを大きく伝えている。

 労働契約法の制定は2008年に遡る。
 当時の中国は、薄給の労働者を酷使する労働搾取工場として有名になっており、社会主義を掲げて権力を独占する共産党にとって頭痛の種となっていた。
 この法律は、大半の労働者について週40時間労働と法定産休期間を定め、能力不足又は犯罪、重大な懲戒対象行為を理由として従業員を解雇する場合に、企業側に立証責任を負わせた。
 実施状況はお粗末だったとはいえ、この法律が定める基準は、新興市場諸国よりも先進諸国のレベルをめざす野心的なものだった。
 たとえば、EUでは週労働時間を48時間に制限しているが、中国では、月最大36時間認められている超過勤務を計算に入れても、最長労働時間はほぼ同じとなっている。
 最低賃金の規定は当該地域の平均の40─60%(実際には通常30─40%)とされているが、米国では約30%、イギリスでは50%だ。
 解雇に対する保護は日本の基準と同等となっている。

 「中国政府は、可能な限り最善かつ最も洗練された労働法制を追求し、経済の方はそれに対応できないにもかかわらず、簡単に適用してしまった」
 と語るのは、労働者の権利を擁護する監視団体「中国労工通報」で広報担当ディレクターを務めるジェフリー・クロソール氏だ。
 中国の賃金は2008年の法律制定以来、2桁の伸びを見せており、工場労働者の賃金は、バングラデシュ、ベトナム、カンボジアの賃金を大幅に上回っている。
 労働者保護のせいで、長期的に見れば労働者にとっても利益となる経済改革が妨げられていると考える人もいる。

 「企業と従業員にとって、労働契約法が与える保護の範囲がアンバランスになっている」
 と楼財政相は述べ、企業が中国から他国に雇用をシフトさせる誘因になっていると付け加えた。
 「最終的にそのコストを負担するのは誰か。
 この法律が守ろうとしている、当の労働階級なのだ」
と財政相は言う。

 労働運動家は、労働者保護は引き続き必要であり、企業が労働契約法に違反しても、特に地方政府とのコネがある場合には罰せられていないと指摘する。
 新華社の報道は中国語と英語の双方で配信されており、規制当局者から肯定的なコメントが寄せられていることから、法改正の動きが進んでいるのではないかという憶測が浮上している。
 いくつかの産業において生産能力過剰を解消し、その過程で国営企業において推定600万人規模の一時解雇を行おうとしている中国政府にとっては、ちょうどいいタイミングかもしれない。
 中国政府は、失業率の急上昇や国内需要の圧迫を招くことなく、こうした改革を進めたいと思っているが、強力な労働者保護のせいで、企業は、新たな雇用創出や、創出した雇用に高い賃金を支払うことに対して消極的になっている。

■<当局の干渉>

 広東省東莞市に工場を保有するダニー・ロー氏は、政府が近日中に労働契約法を「統合・整理」して、製造業者にとってのコストを引き下げてくれると期待しているという。
 これは、事業運営に対する当局の干渉に苛立っている企業にとっては朗報となるだろう。
 東莞市にオフィスを構えるGMMノンスティックコーティング社を経営するラビィン・ガンディー氏は、
 「政府の官僚は、我が社を訪れては、給与明細を見せて下さいと言うんだ」
と話す。
 「そして『御社の労働者の30%は昇給が必要。
 この人たちには15%の昇給を』などと言ってくる。収
 益性なんか何一つ気にかけてくれない」
 その結果、同社は次の生産施設をインドに建設することになった。
 ガンディー氏によれば、インフラの点では中国に劣るものの、コストは40%も安かったという。
 「もちろん、今後(中国では)あまり力を入れないつもりだ。
 その分の投資をインドに回す」
とガンディー氏は言う。

 ロイターが1月、重慶市にある印刷工場を訪れ、工場長へのインタビューを行っていた最中に、地元官僚の邪魔が入った。
 春節(旧正月)休暇前に給料を支払ったかどうか確認に来たのだという。
 「(昨年には)我々を会議に呼びつけて、従業員の解雇は許されないと言われた」
と彼は付け加えた。

 多くのエコノミストは、中国のビジネス活動や投資が振るわない原因は(ただし公式統計では失業率は5%以下に留まっている)、まさしく、企業にとって高い賃金と低い利益率が負担となり、債務の削減や投資に踏み切れないからだという。
 「赤字企業を支援するよりは労働者を保護する方がマシだ」
と、北京大学の経済学者、厲以寧教授は6日、全人代会議の合間に語った。
 とはいえ、地方官僚には、労働者保護の後退を危ぶむべき理由がある。
 自分が担当する地域で労働者の抗議行動が盛んになれば、物理的な危険も伴うし、キャリアにも響くからだ。

 経済調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの労働アナリスト、Cui Ernan氏は、特に石炭・鉄鋼部門での大規模な一時解雇が見られた地域では、扇動された労働者をなだめるために、政府が労働給付の積み増しさえ行うかもしれないと語る。
 「このところ、2015年末から2016年初めにかけて、労働者のストライキが過去最多水準になっている」
と同氏は指摘する。

(Pete Sweeney記者)(翻訳:エァクレーレン)


レコードチャイナ 配信日時:2016年3月21日(月) 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/a131239.html

中国で退職ブーム、
ストライキ増加の恐れ高まる―仏メディア

 2016年3月16日、仏国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(中国語電子版)は、中国は今後労働者の退職の波にさらされ、各地でストライキ発生の恐れも高まっていると伝えた。

 中国政府が進めているエネルギー環境、生産能力過剰に対する改革が、新たな退職ブームを招く可能性がある。
 中国で抗議行動に参加する多くの人々が政治を批判しており、賃金未払い、社会保障費給付の遅れ、劣悪な労働条件などに不満を抱いている。

 中国経済の成長鈍化に伴い、国内各地で抗議行動やストライキが起きている。
 工場、鉱山などの労働者は賃金、福利厚生費の給付の遅れ、リストラ、事業縮小などを受け、先行き不透明な未来に不安を抱き、激しい抗議行動に走っている。

 香港の労働団体によると、昨年は中国各地でストライキや抗議行動がのべ2700件以上発生。
 前年の2倍以上に達している。
 ここ数カ月でさらに増えており、1月には500回以上の抗議行動が起きた。






【2016 異態の国家:明日への展望】


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